中小企業の生成AI活用が二極化|44.2%が利用、39.3%は導入未検討

最終更新日:2026.07.15

エヌエヌ生命保険株式会社は2026年7月15日、全国の中小企業経営者5,673人を対象に実施した生成AI活用調査の結果を発表しました。

日常の検索や調べものに生成AIを利用している経営者は44.2%に上りました。一方、業務で利用しておらず、導入も検討していない経営者は39.3%でした。

すでに業務で活用する企業が利用拡大へ動く一方、導入の必要性を感じていない企業も多く、中小企業の生成AI活用が二極化している状況が示されています。

中小企業経営者の44.2%が生成AIを利用

調査は2026年5月1日から7日にかけて、法人格を持つ従業員300人以下の企業の社長、会長、取締役を対象にインターネットで実施されました。実査は楽天インサイトが担当しています。

日常の検索や調べものに生成AIを利用している経営者は44.2%でした。年代別では20~30代が67.4%で最も高いものの、60代以上でも42.7%が利用しています。

利用している生成AIサービスは、ChatGPTが67.6%で最多となり、Geminiが59.3%、Copilotが25.9%で続きました。

生成AIは一部の若い経営者だけが使うツールではなく、幅広い世代に浸透し始めていることが分かります。

業務利用は35.8%、39.3%は導入を検討せず

業務における利用状況を見ると、「日常的に利用している」が15.9%、「一部の業務で限定的に利用している」が19.9%でした。合わせると35.8%が、すでに何らかの形で生成AIを業務に取り入れています。

一方、「利用しておらず、導入を検討もしていない」は39.3%、「業務における利用を禁止している」は4.5%でした。

日常生活では生成AIを使っていても、業務への導入には進んでいない企業が少なくありません。個人利用から組織利用へ移行する際には、情報管理や利用ルール、費用対効果などを整理する必要があります。

未導入の最大理由は「必要性を感じない」

生成AIを業務で利用していない経営者2,809人に理由を尋ねたところ、「現時点では自社に必要性を感じていない」が42.2%で最多でした。

続いて、「具体的な活用方法や利用シーンがない」が29.7%、「実際の効果が見えない」が20.1%、「社内に詳しい担当者や推進役がいない」が18.2%となっています。

セキュリティやコストだけでなく、「自社のどの業務に使えるのか分からない」ことが、導入を妨げる大きな要因になっています。

中小企業のAI導入では、ツールの説明だけではなく、日常業務の中から活用できる作業を見つける支援が重要です。

利用企業の51.4%が1年以内の拡大を予定

すでに生成AIを業務で利用している、または一部で利用している経営者2,030人のうち、51.4%が今後1年以内に利用を拡大する意向を示しました。

現在の主な用途は「文書・メール作成」が53.4%、「情報収集・リサーチ」が49.6%、「翻訳・要約」が35.9%です。

利用は比較的取り組みやすい文章作成や情報収集から始まっています。一方、業務自動化は14.9%、社内ナレッジの活用や業務支援は15.1%にとどまりました。

今後は個人の作業時間を短縮する段階から、組織内の情報共有や業務プロセスの改善へ進められるかが焦点になります。

中小企業に求められるAI人材育成と業務設計

中小企業が生成AIを導入する際、最初から大規模なシステムや全社展開を目指す必要はありません。

まずはメールの下書き、議事録の要約、情報収集、社内文書の整理など、効果を確認しやすい業務から試す方法があります。そのうえで、作業時間、成果物の品質、修正回数などを測り、利用範囲を広げることが重要です。

同時に、入力してはいけない情報、出力内容の確認方法、著作権や個人情報への対応など、最低限の利用ルールも整える必要があります。

リスキリングドットコムの見解

今回の調査で注目すべきなのは、生成AIを利用していない最大の理由が、セキュリティやコストではなく「必要性を感じていない」ことです。

これは、生成AIの機能が知られていないというより、自社の業務課題とAI活用が結びついていない可能性を示しています。

中小企業に必要なのは、全社員に同じAI研修を実施することだけではありません。現場の業務を分解し、どの作業を効率化できるかを考え、生成AIの出力を検証できる人材を育てることが重要です。

経営者自身が基本的な特徴とリスクを理解し、小さな実証から成果を共有することで、利用を一部の社員だけに依存させない仕組みづくりにつながります。

生成AIを使うか、使わないかを感覚的に判断するのではなく、業務上の効果とリスクを比較しながら設計する力が、これからの中小企業経営に求められます。

出典元

エヌエヌ生命保険株式会社「中小企業の生成AI活用は『二極化』 生成AI利用44%、利用企業の51%が1年以内に拡大意向」