日本企業のAI投資3120万ドルで世界平均超え 79%が人材育成の遅れを懸念
最終更新日:2026.07.17
SAPジャパンは2026年7月16日、SAP SEとOxford Economicsによる調査「The SAP Value of AI Report 2026」の日本に関する結果を発表しました。
日本企業のAI投資は世界平均を上回る一方、AIエージェントを本格活用するためのデータ・人材・ガバナンスの整備が追いついていない実態が明らかになりました。
ニュースの概要
調査は世界13カ国のビジネスリーダー2,600名を対象に実施され、日本では従業員数500名以上の企業に属する経営層200名が回答しました。
対象業種は機械、銀行、ハイテク、素材、自動車、消費財、エネルギー、通信、公共など多岐にわたります。日本企業の今年のAI投資額は平均3,120万米ドルで、世界平均の2,800万米ドルを上回りました。
投資額は今後2年間で44%増加する見通しで、AI投資のROIは今年の22%から2年後には39%へ高まると予想されています。
AIエージェントによるROIの見込みは2,110万米ドルとされました。一方で、準備状況には大きな開きがあります。
AIエージェントの変革可能性を認識している経営層は82%に上るものの、「十分に備えている」と答えた企業はわずか2%にとどまりました。
全社戦略と連動した投資を行っている企業は20%で、45%は投資が「断片的」であると回答しています。課題は大きく3点に整理されました。
データ面では、70%が「データ準備は完了している」と答えながら、71%が不完全なデータの問題を抱えています。
人材面では、79%が「アップスキリングがAIの進化に追いついていない」と懸念を示しました。ガバナンス面では、70%がAIエージェントの展開速度に組織が対応できていないと回答しています。
投資額の大きさに対し、それを成果に変える組織側の基盤づくりが遅れている構図が浮かび上がります。
リスキリングドットコムの見解
投資額が世界平均を上回りながら「十分に備えている」が2%という落差は、日本企業のAI活用が資金ではなく実行体制で滞っていることを示しています。
リスキリングドットコムとしては、79%が挙げた「アップスキリングの遅れ」こそが最大のボトルネックだと考えます。
AIエージェントは業務プロセスそのものを組み替える技術であり、ツールの操作研修だけでは投資回収に届きません。
自社の業務をどう再設計するか、AIに何を任せて人が何を担うのかを判断できる人材を、現場と管理職の双方に育てることが重要です。
また、投資の45%が「断片的」という結果は、人材育成計画が事業戦略と接続していない裏返しでもあります。
ROIを22%から39%へ引き上げる2年間を、スキルの可視化と育成投資を戦略に組み込む期間として設計することが求められます。



