企業の8割が「縦割り意識」を実感─人事白書2026が示すリスキリングの構造課題

最終更新日:2026.07.22

企業の80.9%が、部門間の縦割り意識を「強い」「どちらかといえば強い」と感じていることが、『日本の人事部 人事白書2026』で明らかになりました。業績の良し悪しにかかわらず高い割合を示しており、組織に根付く構造的な課題が浮かび上がっています。

5,103社が回答した人事実態調査

株式会社HRビジョンは2026年7月2日、企業の人事担当者や経営者を対象とした調査をまとめた『日本の人事部 人事白書2026』を発刊しました。

調査は2026年3月3日から31日に実施され、5,103社、延べ5,274人が回答。採用、人材育成、評価、組織文化などについて165問を尋ねています。

リスキリングを進めるうえでの最大の障壁は、「日々の業務が忙しすぎて、学ぶ時間がない」の70.1%でした。

さらに、「学んだことを生かす異動先やプロジェクトがない」が43.9%、「学習や自己啓発を評価につなげる仕組みがない」が41.8%に上っています。研修の提供だけでなく、学習後の実践機会や人事制度の整備も不足していることが分かります。

曖昧な会議も学習時間を圧迫

働きがいに悪影響を与える慣行では、「目的が曖昧な会議や定例会」が45.6%で最多でした。「恒常的な長時間労働」が27.7%、「使いづらい社内システム・ITツール」が26.1%で続いています。

採用分野では、全体の87.7%がAIを活用していない一方、従業員5,001人以上の企業では、選考関連でAIを導入する割合が34.3%に達しました。企業規模によって人事DXの進展に差があることも示されています。

リスキリングドットコムの見解

部門の壁が高い組織では、社員が新しいスキルを学んでも、他部署のプロジェクトや新たな職務で実践する機会を得にくくなります。リスキリングが進まない理由を、社員の意欲だけに求めるべきではありません。

企業には、研修の新設と同時に、会議や報告業務を見直して学習時間を確保すること、部門横断プロジェクトや社内公募によって実践機会を設けること、習得したスキルを評価や配置へ反映することが求められます。

人的資本経営の実効性を高めるには、研修の受講者数ではなく、学んだ人が部門を越えて知識を共有し、新しい業務で能力を発揮できたかまで確認する必要があります。

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