日本企業の27%が生成AIの組織的取組なし 米国1.4%と大差 総務省白書
最終更新日:2026.07.28
総務省は7月24日、令和8年版情報通信白書を公表しました。生成AIの利用は個人・企業とも急拡大した一方、業務変革に向けて「組織的な取組はない」と答えた日本企業が27.0%にのぼり、主要国と大きな差が開いています。
ニュースの概要
今回の白書は「AIの進展がもたらす多面的な影響」を特集し、人とAIが健全に協働するデジタル社会の実現に向けた課題を整理しています。
個人の生成AI利用経験率は日本が58.8%で、2024年調査の26.7%から倍増しました。ただし米国とドイツは75.6%、中国は93.6%で、依然として開きがあります。
企業側では、何らかの業務で生成AIを使う割合が日本で86.4%(前年55.2%)まで上昇し、米国90.9%、ドイツ91.6%、中国98.1%との差は縮まりました。
問題は使っているかどうかではなく、その先にあります。業務変革に向けて「組織的な取組はない」と回答した日本企業は27.0%で、米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%と比べて突出して高い水準です。
企業規模別では大企業18.1%に対し中小企業は45.6%と、規模による差も鮮明でした。個人が利用しない理由は「生活や業務に必要ない」42.4%、「使い方が分からない」38.8%が上位を占めています。
白書はAIを盲信も拒絶もせず「適切にAIを信頼できる力」を高めることが重要だとし、経営層の危機意識、人材育成、利用ポリシーやガイドラインの整備、評価の仕組みづくりを企業の課題として挙げました。
リスキリングドットコムの見解
リスキリングドットコムとしては、今回の白書で最も重い数字は利用率ではなく「組織的な取組はない」27.0%だと考えます。
ツールを配ることと、業務プロセスや評価制度をつくり替えることは別の仕事です。日本は個人利用が倍増し、企業の導入率も9割近くに達しました。
数字の上では主要国に追いついています。それでも変革につながらないのは、現場の使い方が個人の工夫にとどまり、組織の標準になっていないためです。
中小企業の45.6%という数値はとりわけ深刻で、人材と時間の制約が変革を止めている構図がうかがえます。
人事部門に求められるのは、研修でリテラシーを底上げすると同時に、AIを前提とした業務の再設計を評価の対象に組み込むことです。
使える人を増やすだけでなく、使うことが仕事の前提になる状態を設計することが重要になります。



