AI日常利用55%も研修受講33% 未来の職務へのリスキリング不足
最終更新日:2026.07.30
AIを日常的に業務で使う働き手は5割を超えた一方、会社からAI研修を受けた人は3人に1人にとどまることが分かりました。
米調査機関ザ・カンファレンス・ボードが2026年7月28日に公表した調査は、企業の育成投資が「今のAI」に偏り、AIで変わる先の職務に備えたリスキリングまで届いていない実態を示しています。
ニュースの概要
調査は世界の働き手約1,300人へのアンケートと、企業幹部35人へのインタビューを組み合わせたものです。
生成AIやAIエージェントを毎日または週単位で業務に使う人は55.1%に達しました。一方、過去6か月間に勤務先が提供するAI研修を受けたと答えた人は33.3%にとどまり、28.3%は「自社はAI研修を提供していない」と回答しています。
学習環境にも差が出ています。AIスキルを伸ばす時間が十分にあると答えたのは48%、必要なツールやアクセス、リソースが十分だとしたのは47.6%でした。
同機関は、多くの企業の取り組みがAIリテラシーなどの基礎的な習得に集中し、現在の職務を前提とした能力向上にとどまっていると指摘します。
AIによって業務構造そのものが変わったあとに必要となる、職務転換を伴うリスキリングの準備が進んでいる企業は少ないという見立てです。
同機関の研究員は、AIリテラシーだけでは事業価値は生まれないと述べています。従業員は自社が技術変化への適応を支援してくれると信じられるときにAIへ前向きになるとの指摘もありました。
そのうえで、CHROが事業部門・技術部門・人材開発部門を共通の戦略のもとに束ねる役割を担うことを提言しています。
リスキリングドットコムの見解
リスキリングドットコムとしては、この調査の要点は「AIを使えるようにすること」と「AI後の仕事に移れるようにすること」は別物だという指摘にあると考えます。
利用率55%に対して研修受講33%という差は、実務の現場が先に走り、育成の仕組みが後を追う状態を表しています。
日本でも生成AIの業務利用は急速に広がっており、同じ構図が起きやすい状況です。
まずは自社のAI利用実態と研修提供状況を分けて可視化し、基礎リテラシー研修の先にある「職務そのものが変わる前提の再配置・再教育」まで設計することが重要です。
学習時間とツールが十分だと感じている人が半数程度にとどまる点も見過ごせません。制度を用意するだけでなく、業務時間の中に学べる余白を確保することが求められます。



