自動車運転者の監督対象81.2%で法令違反 労働時間違反が最多 厚労省
最終更新日:2026.08.13
厚生労働省は2026年8月6日、トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して、2025年に実施した監督指導の結果を公表しました。
監督指導を実施した4,123事業場のうち、81.2%にあたる3,346事業場で労働基準関係法令違反が確認されました。
労働時間の違反が39.3%で最多
主な法令違反は「労働時間」が39.3%で最多となり、「割増賃金の支払」19.7%、「労働時間の状況の把握」6.3%が続きました。
また、自動車運転者の拘束時間や休息期間などを定めた「改善基準告示」に違反していた事業場は2,188事業場で、監督対象の53.1%でした。
違反内容は「最大拘束時間」40.2%、「休息期間」28.3%、「総拘束時間」27.4%の順となっています。重大・悪質な労働基準関係法令違反による送検は67件でした。
厚生労働省は、トラック運転者の長時間労働を是正するため、2022年12月から都道府県労働局に「荷主特別対策チーム」を設置。長時間の恒常的な荷待ちを発生させないよう、発着荷主などへの働きかけも進めています。
なお、今回の監督指導は自動車運転者を使用する全事業場を無作為に調べた統計ではありません。法令違反の疑いなどがある事業場に対して監督指導が行われるため、81.2%という数値を業界全体の違反率として捉えない注意が必要です。
リスキリングドットコムの見解
今回の結果は、運輸業における人手不足対策を「採用」だけで考えることの限界を示しています。
労働時間や拘束時間を適正化するには、管理職が改善基準告示や勤怠管理について正しく理解することに加え、運行・勤怠データを活用して超過の兆候を早期に把握できる体制が必要です。
一方、デジタル化だけで問題が解決するわけではありません。荷待ち時間や非効率な業務プロセスそのものを見直さなければ、現場の負担は残ります。
企業には、管理職への労務管理教育、配車・勤怠データの可視化、業務プロセス改善を一体で進めることが求められます。人材確保が難しい環境だからこそ、安全に働き続けられる職場づくりを人材戦略として捉えることが重要です。



