人事部の生成AI活用は39.2%どまり 賃上げ73%も人員・専門性不足が壁
最終更新日:2026.08.14
パーソル総合研究所が「人事部トレンド定量調査2026」を公表し、人事部門で生成AIを日常的に活用している企業は39.2%にとどまることが分かりました。
賃上げを実施・予定する企業は73.0%まで広がる一方、人事部自身は人員不足と専門性不足という二重の壁に直面しています。
ニュースの概要
調査は2026年3月4日から16日にかけて、従業員300名以上の企業に勤める係長以上の正規雇用者および経営層2,000名を対象にインターネットで実施されました。
主な分析対象は内資系企業に勤める1,934名です。
人事課題の重心は2021年の前回調査から変化し、「従業員満足度・エンゲージメント向上」「最適な人員配置」「従業員の定着・離職防止」といった定着・活躍支援の領域が上位に並びました。
経営課題としては、人材確保・育成やDX・AI活用など「人材と組織の変革」に関する項目が上位を占め、「人材育成・リスキリング・最適配置」を挙げた企業は45.3%にのぼります。
賃上げについては、引き上げを実施済みまたは予定している企業が73.0%となり、2022年度の水準から11.2ポイント拡大しました。
判断基準として最も多かったのは「物価動向」で29.7%でした。業績や予算達成だけでなく、人材を確保するための待遇改善という色合いが強まっています。
一方、人事業務におけるAI活用は道半ばです。人事部内でAIを日常的に活用している企業は39.2%にとどまり、活用時の懸念として「機密情報・個人情報の漏洩リスク」が34.8%で上位に挙がりました。
ただしAI活用が進んでいる企業ほど人材ポートフォリオの見直しに踏み込んでおり、一般事務職を減らす見込みが42.5%、デジタル・IT職を増やす見込みが56.3%と、職種構成の転換が具体的に進んでいます。
その施策を担う人事部自身の課題としては、「人員不足」が45.2%、「専門性不足」が44.6%、「企画構想力の低さ」が39.3%と続きました。
働き方改革の副作用として「管理職への負担増」を挙げる回答も4割を超えています。
リスキリングドットコムの見解
この調査で最も重いのは、変革を推進すべき人事部門が人員と専門性の両方で不足しているという事実です。リスキリングドットコムとしては、人事部門こそが最初のリスキリング対象であると考えます。
AI活用が進む企業で一般事務職の減少とデジタル職の増員が同時に見込まれている以上、その異動と再教育を設計する側に、データ分析やAIリテラシーの土台が必要になります。
人事部のAI活用が4割にとどまる背景には情報漏洩への不安がありますが、これは利用禁止ではなく、扱ってよいデータの範囲を定めたガイドラインと実務研修で解ける課題です。
まずは採用文書の作成や研修設計の下書きなど、個人情報を伴わない業務から着手することが有効です。賃上げが73.0%まで広がった今、原資を生み出す生産性向上と人材投資をどう結び付けるかが問われます。



