従業員エンゲージメント市場158億円へ 人的資本開示で中堅企業へ拡大

最終更新日:2026.08.18

矢野経済研究所は2026年8月17日、国内の従業員エンゲージメント市場に関する調査結果を公表しました。

2026年の市場規模は前年比118.6%の158億円に達する見込みで、人的資本情報の開示方針変更を背景に、計測から改善へと企業の関心が移っていることが示されました。

ニュースの概要

調査は2026年4月から6月にかけて、国内で従業員エンゲージメント関連のプロダクト・サービスを展開する事業者を対象に、直接面談やヒアリング、アンケート、文献調査を組み合わせて実施されました。

対象とした市場は、年間契約で継続的にエンゲージメントを測定する「診断・サーベイクラウド」で、単発利用のサービスやタレントマネジメントシステムに付随する機能は含まれていません。

市場規模は事業者の売上高ベースで算出されています。市場規模は2024年が111億3,000万円、2025年が133億2,000万円(前年比119.7%)と推移し、2026年は158億円(同118.6%)に達する見込みです。

2年続けて前年比2割弱の高い伸びが続く計算になります。伸長の背景として挙げられたのが、2026年2月に変更された人的資本情報の開示方針です。

開示への対応を迫られたことで、企業はエンゲージメントスコアを単なる社内アンケートの結果ではなく経営指標として扱うようになり、「計測する」段階から「計測結果をもとに改善する」段階へと軸足を移しています。

実際、診断と改善支援をパッケージ化したプランの採用が2025年に加速しました。導入の裾野も広がっており、採用難や人手不足への危機感から、従業員数300〜1,000人規模の中堅企業を中心に新規導入が拡大しています。

一方で将来展望としては、2030年に向けて市場規模の伸び率は落ち着く見込みで、関心の中心はコンサルティング領域やタレントマネジメントシステムへ移っていく可能性があると指摘されています。

リスキリングドットコムの見解

リスキリングドットコムとしては、この調査で最も重要なのは市場規模の数字そのものではなく、「計測から改善へ」という段階の移行だと考えます。

エンゲージメントサーベイは実施すること自体が目的化しやすく、スコアを取得したまま打ち手につながらない例が少なくありません。

開示が求められるようになったことで、スコアの推移を説明する責任が生じ、改善施策とセットで語らざるを得なくなったことが市場を押し上げたと読み取れます。

ここで鍵を握るのが、現場の管理職の力量です。低いスコアが出た部署に対して、対話の場をつくり、育成機会や職務の再設計につなげられるかどうかで結果は大きく変わります。

中堅企業への普及が進む今こそ、サーベイの導入と同時に、管理職のフィードバック力やキャリア支援スキルを高める研修設計を並行して進めることが重要です。

ツールは課題を可視化しますが、解決するのは人の側の力量です。

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