就業調整パート48.7%が「もっと働ける」社会保険適用拡大でJILPT調査
最終更新日:2026.08.27
労働政策研究・研修機構(JILPT)は2026年8月26日、社会保険の適用拡大への企業の対応と短時間労働者の働き方を調べた調査結果を公表しました。
就業調整をしているパート・アルバイトのうち、希望の有無にかかわらず「実際にもっと働ける」人は計48.7%にのぼりました。
ニュースの概要
公表されたのは調査シリーズNo.268「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)および「働き方に関するアンケート調査」(労働者Web調査)です。
企業調査は全国の5人以上規模企業2万社を対象に2024年11月14日から2025年1月7日にかけて実施し、9,067社から有効回答を得ました(回答率45.3%)。
労働者調査は短時間労働者1万人を対象に2024年11月26日から12月7日に実施しています。調査の実施時期は2024年10月の適用拡大の直後にあたります。
2024年10月から適用拡大の対象となった常用雇用者51〜100人の企業のうち、要件を満たす短時間労働者が「いる」667社では、「適用する計」が65.1%、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」が30.6%でした。
JILPTは、2022年度調査で「適用する(意向)計」が約4割にとどまっていたのと比べ、顕著に増加したとしています。
実際に加入があった598社に適用を推進した理由を複数回答で尋ねると、「法律改正で決まったことだから」が60.5%で最多でした。
次いで「短時間労働者自身が希望したから」が43.3%、「待遇を改善し、定着を図りたいから」が26.6%、「より長い労働時間、働いてもらいたいから」が24.4%、「必要人数を確保したいから」が23.4%と続いています。
一方、いわゆる「106万円の壁」に対応するキャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)については、短時間労働者を雇用する6,062社のうち「知っているが、活用予定なし」が41.2%で最も多く、「知らないが、今後、活用を検討したい」が29.4%、「知らないし、今後も活用予定なし」が18.5%でした。
既に活用しているのは3.3%にとどまります。活用しない理由(複数回答)は「対象となる短時間労働者がいないから」46.7%、「本人が扶養の範囲内で働くことを希望するから」35.1%などでした。
現在就業調整をしている短時間労働者3,745人に、調整の必要がなくなった場合に現状以上に働くことを希望するかを尋ねたところ、希望する割合は計64.7%でした。
ただし内訳では「働くことを希望し、実際にもっと働ける」が28.3%、「希望するが、実際に働けるかどうかはわからない」が27.0%と分かれています。
「希望しないが、働こうと思えば実際にはもっと働ける」20.4%を合わせると、実際にもっと働ける人は計48.7%となりました。
リスキリングドットコムの見解
リスキリングドットコムとしては、この調査で示された「実際にもっと働ける」48.7%という数字を、社外の採用市場ではなく社内に眠る労働供給余力として捉える視点が重要だと考えます。
企業が適用を推進した理由に「待遇改善と定着」26.6%、「必要人数の確保」23.4%が並んだことは、社会保険の適用拡大が単なる法令対応ではなく、人材確保策として受け止められ始めている可能性を示しています。
ただし、労働時間を延ばすだけでは処遇改善は続きません。担当できる業務の幅を広げる教育訓練とセットで設計してこそ、時間の増加が生産性と賃金の上昇につながります。
助成金を「知っているが活用予定なし」が41.2%という結果も踏まえ、人事部門には制度の把握と、現場の管理職が短時間人材の職域設計を担えるようにする支援が求められます。
なお、賃金要件は法律の公布から3年以内に撤廃される予定で、企業規模要件も10年かけて段階的に縮小・撤廃されるとされており、今のうちに準備を進めておくことが重要です。



