建設業の人材育成へ助成金73億円 技能者の4分の1が60歳以上 厚労省・国交省
最終更新日:2026.09.04
厚生労働省と国土交通省は2026年9月4日、「建設業の人材確保・育成に向けて(令和9年度予算概算要求の概要)」を公表しました。
資料によると、建設業の技能者のうち60歳以上が約4分の1を占める一方、29歳以下は全体の約12%にとどまります。
両省は、建設業が「地域の守り手」として役割を果たし続けるためには担い手の確保が急務だとし、若者や女性の入職・定着の促進に重点を置きつつ、処遇改善・働き方改革・生産性向上を一体で進める方針を示しています。
両省の連携の軸となるのが、技能者の能力・経験を登録・蓄積する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の活用促進です。
厚労省は建設事業主等に対する助成金を、令和8年度当初予算の71億円から73億円に拡充して要求しました。
このうち人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)では、CCUSカード登録者の場合に賃金助成額を1.1倍とする措置を令和9年度末まで延長し、あわせて一部資格試験の受験費用を経費助成の対象に加えるとしています。
人材確保等支援助成金のCCUS等活用促進コースでは、CCUSを活用した中小建設事業主の雇用管理改善の取組を支援します。
人材育成の柱としては、業界団体が訓練カリキュラムの策定から訓練生募集、職業訓練の実施、就職支援までをパッケージで担う「建設労働者育成支援事業」に4.9億円、建設機械の運転技能とパソコンスキル講習等を組み合わせた建設分野のハロートレーニングに1.1億円を要求。
個人の主体的な学び直しを支える教育訓練給付金等は、558億円から582億円へ増額して計上しています。魅力ある職場づくりでは、雇用管理責任者等に対する研修に1.1億円を要求し、基礎講習に加えて指導する立場の人と若年労働者の関係づくりを学ぶ「コミュニケーションスキル等向上コース」を実施するとしています。
国交省側は「国土と経済成長を支える建設産業の供給力強化 等」として29.8億円の内数を要求(令和8年度当初予算は3.5億円)。
その中の新規事業「建設産業の供給力強化事業」では、政府の重要施策であるリ・スキリングの推進に併せ、それと密接不可分な処遇改善と生産性向上を両輪として進め、業界による計画的な取組を支援するとしています。
リスキリングドットコムの見解
今回の要求で注目したいのは、助成の「増額」よりも支給条件の設計だと考えます。人材開発支援助成金でCCUSカード登録者の賃金助成を1.1倍にするのは、訓練の実施そのものではなく、訓練履歴が本人のキャリアデータとして残る形に誘導する設計です。
学びが個人の記録に紐づき、その記録が処遇に反映されて初めて、学び直しは定着します。これは建設業に限った話ではありません。
自社の研修が受講記録の管理で止まっていないか、スキルデータが評価や配置とつながっているかは、どの業種の人事にとっても点検に値する論点です。
教育訓練給付金の増額要求も含め、来年度は「誰の学びを、どう記録し、どう報いるか」を先に決めた企業ほど制度を使いこなせるとみています。
なお概算要求は要求段階であり、最終的な予算額や制度内容は今後の編成過程で変わる可能性があります。
出典元
厚生労働省「建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていきます~厚生労働省・国土交通省の令和9年度予算概算要求の概要~」(2026年9月4日公表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75797.html
厚生労働省・国土交通省「建設業の人材確保・育成に向けて(令和9年度予算概算要求の概要)」(資料PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/11606000/001743960.pdf



