オンボーディングの進め方【2026年最新】新卒3年以内離職率33.8%を踏まえた受け入れ5ステップ
最終更新日:2026.09.17
新しく入社した社員が早く職場になじみ、力を発揮できるよう会社として受け入れを設計する取り組みが「オンボーディング」です。
厚生労働省の最新公表では、新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は33.8%で、採用しても約3人に1人が3年以内に辞めている計算です。
この記事では、オンボーディングの基本、入社前から定着までの進め方5ステップ、入社時に外せない法令手続き、形骸化させないための注意点を、公的データをもとに整理します。
オンボーディングとは|新人研修・OJTとの違い
オンボーディングは、内定・入社から戦力化・定着までの受け入れプロセス全体を指す言葉です。法令で定義された用語ではなく、企業ごとに範囲は異なりますが、一般には入社前の連絡や入社手続き、配属先での業務習得、人間関係づくり、定期的な振り返りまでを含みます。
入社直後の集合研修(新人研修)や、現場で仕事を教えるOJTは、オンボーディングを構成する要素の一部と位置づけると整理しやすくなります。
対象は新卒に限らず、中途採用者や異動者も含めて設計するのが一般的です。
なぜ必要か|新卒の3年以内離職率は大卒33.8%
厚生労働省が2025年10月24日に公表した「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は新規大卒就職者で33.8%(前年差1.1ポイント低下)、新規高卒就職者で37.9%(同0.5ポイント低下)でした。
低下したとはいえ高い水準が続いています。特に差が大きいのが事業所規模です。
| 事業所規模 | 高卒の3年以内離職率 | 大卒の3年以内離職率 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 63.2% | 57.5% |
| 5〜29人 | 54.6% | 52.0% |
| 30〜99人 | 45.2% | 41.9% |
| 100〜499人 | 36.7% | 33.9% |
| 500〜999人 | 29.9% | 31.5% |
| 1,000人以上 | 26.3% | 27.0% |
大卒では1,000人以上の事業所が27.0%なのに対し、5〜29人では52.0%と約2倍です。産業別では宿泊業・飲食サービス業(大卒55.4%)が最も高くなっています。
規模や業種による差の要因は統計からは特定できませんが、受け入れ体制を仕組みとして整えることは、規模を問わず取り組める定着策の一つといえます。
オンボーディングの進め方5ステップ
以下は、入社前から定着までを5つの段階に分けた進め方の一例です。期間の区切りは法令や公的な基準ではなく、自社の職種や採用形態に合わせて調整してください。
- 目的と「戦力化の状態」を決める:配属後に何ができるようになれば一人立ちか、職種ごとにゴールと期間の目安を定め、人事と配属先の役割分担を明確にします。
- 入社前の準備と情報提供:労働条件の明示、PC・アカウント・座席の用意、初日の予定や職場の紹介を事前に伝え、入社当日の不安を減らします。
- 入社初日〜1週目の受け入れ:社会保険などの手続き、会社理解のオリエンテーション、配属先メンバーとの顔合わせを行い、困ったときに相談できる担当者(メンターなど)を紹介します。
- 配属後の業務習得(OJT+Off-JT):ゴールから逆算した育成計画に沿って、現場のOJTと研修を組み合わせます。教える側の負担が偏らないよう、担当と時間をあらかじめ確保します。
- 定期的な振り返りと改善:上司やメンターとの面談で課題を早めに把握し、本人・受け入れ側のアンケートや定着状況をもとに、次の受け入れに向けてプログラムを見直します。
入社時に外せない手続きと法令のポイント
オンボーディングの土台として、法令上の手続きを確実に行う必要があります。2024年4月からは労働条件明示のルールが変わり、すべての労働契約の締結時に、雇い入れ直後の就業場所・業務内容に加え、将来の配置転換などを含む「変更の範囲」も明示することが求められています。
社会保険は、日本年金機構が健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を採用日から5日以内に提出するよう案内しています。
雇用保険の被保険者資格取得届は、被保険者となった日の属する月の翌月10日までにハローワークへ提出します。
細かな要件は最新の公式情報で確認してください。
形骸化させないための注意点と国の制度
よくある失敗は、入社初日の研修だけで終わり、配属後のフォローが現場任せになることです。人事が全体設計、配属先が日々の育成を担うなど役割を決め、振り返り面談の時期をあらかじめ予定に入れておくと継続しやすくなります。
中小企業が若手の定着に取り組む際には、厚生労働省の「ユースエール認定制度」も参考になります。常時雇用する労働者が300人以下の事業主が対象で、直近3事業年度の新卒者などの正社員として就職した人の離職率が20%以下であることや、人材育成方針と教育訓練計画の策定、研修内容やメンター制度の有無などの情報公表が要件に含まれています。
認定されるとハローワークでの重点的なPRや日本政策金融公庫の低利融資などを受けられます。
まとめ
新卒の3年以内離職率は大卒33.8%、小規模事業所では5割を超える水準です。オンボーディングは、ゴール設定、入社前準備、初週の受け入れ、配属後の育成、振り返りと改善という流れで、入社前から定着まで切れ目なく設計することがポイントです。
法令手続きを確実に押さえたうえで、自社の規模や職種に合った受け入れの仕組みを整えることが求められます。
リスキリングドットコムの視点
ここからはリスキリングドットコムとしての見解です。採用難が続くなか、オンボーディングは「採用コストを無駄にしないための投資」として捉え直す価値があると考えます。
特に中小企業では、専任の教育担当を置けないことが多いため、ゴールの一覧表、初週のチェックリスト、面談の予定表といった「型」を一度作り、使い回せる状態にすることが現実的です。
また、生成AIツールの利用ルールや社内ナレッジの探し方を入社直後に伝えておくと、新しく入った人が一人で調べて解決できる場面が増え、教える側の負担軽減にもつながるとみています。
受け入れた社員の声を毎回集めて改善する仕組みこそが、定着率を高める近道ではないでしょうか。



