リスキリング、スキル明示で習得率88.2% 企業の支援は49.6%どまり
最終更新日:2026.09.18
労働政策研究・研修機構(JILPT)は2026年9月18日、「労働者の働き方の現状と意識の変化に関する調査(企業調査・労働者調査)」の結果を公表しました。
会社が必要なスキルを明示していた場合、リスキリングで「スキルを得ることができた」とする正社員は88.2%に達し、明示がなかった場合の70.8%を上回りました。
ニュースの概要
調査は厚生労働省政策統括官付政策統括室の要請研究として実施されたものです。全国の従業員30人以上の企業1万社と、その企業を通じて正社員6万人分の調査票を配付し、有効回収数は企業調査2,354票(有効回収率23.5%)、正社員調査8,720票(同14.5%)でした。
調査期間は2026年3月17日から4月17日、調査時点は同年2月末日です。
企業調査では、業務に必要なスキルを「明示している」が63.7%、「明示していない」が36.3%。リスキリングへの支援を「している」は49.6%で、「していない」が50.4%と半数を上回りました。
支援を行わない理由(複数回答)は「労働者に時間を取らせる余裕がない」が43.6%で最も高く、「制度を作る余裕がない」27.4%、「どのように取組を支援していいか分からない」25.1%が続きます。
正社員調査では、リスキリングによって「スキルを得ることができた」が80.6%。会社からのスキル明示の有無別では、明示があった人が88.2%、示されていなかった人が70.8%でした。
得られたメリット(複数回答)は「仕事の質が高まった」62.7%、「仕事の生産性が上がった」30.8%、「昇進・昇格・昇給ができた」21.6%です。
一方、これまでにリスキリングを「したことがない」人は53.9%を占め、やらない理由は「仕事が忙しく時間が取れない」33.7%、「何をしたら良いのか分からない」28.8%が上位でした。
生成AIについては、企業側で「業務内容の一部タスクを代替する」とした割合が事務職で44.9%となり、他の職種の2割台より高い結果です。
事務職の従業員数の見通しは「減少・計」が29.2%で、「増加・計」の4.9%を上回っています。
リスキリングドットコムの見解
リスキリングドットコムとしては、今回の調査で最も重い数字は支援を「していない」50.4%と、その理由の1位が「労働者に時間を取らせる余裕がない」43.6%だった点だと考えます。
意欲や教材の不足ではなく、時間の設計が壁になっているという構図が読み取れます。
同時に、スキル明示の有無で習得実感が88.2%と70.8%に分かれたことは、人事にとって着手しやすい示唆といえます。
求めるスキルを言語化して伝えるだけで、同じ研修でも成果の受け止め方が変わる可能性があるためです。
また、リスキリングに価値がなかったとする人の理由には「会社から評価されないから」39.3%、「処遇改善などのメリットを感じないから」39.1%が並びます。
スキルの見える化、学ぶ時間の確保、処遇や登用への接続を一組で設計することが重要です。



