リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業とは【2026年最新】受講料7割軽減・最大56万円の条件と1年延長
最終更新日:2026.10.28
経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、在職中の人が転職を目指して学び直すとき、キャリア相談・講座受講・転職支援をまとめて受けられる国の補助事業です。
講座を修了すると受講費用の1/2以上、転職して1年間働き続けると合計7/10以上の負担が軽減されます。
2026年10月26日には、事業期間を1年間延長することが公式サイトで告知されました。この記事では、制度のしくみ、補助の条件、延長で変わる点、企業の人事が押さえておくことを整理します。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業とは
この事業では、経済産業省に採択された民間事業者(人材紹介会社やスクール等)が、個人向けに次の4つの支援を一体で提供します。
事務局は株式会社野村総合研究所が担当しています。個人は国に直接申請するのではなく、採択された支援事業者に登録して支援を受けるしくみです。
| 支援の段階 | 内容(公募要領より) |
|---|---|
| ①キャリア相談対応 | キャリアコンサルタント等がキャリア・スキルの棚卸し、キャリアゴールの設定、講座の検討を支援 |
| ②リスキリング提供 | 職業との関連が明確な講座(原則15時間以上)を提供し、修了時に受講費用の負担を軽減 |
| ③転職支援 | 職業紹介の許可・届出のある事業者が、転職準備の支援と職業紹介を実施 |
| ④フォローアップ | 転職後1年間の継続就業や、転職に伴う賃金上昇を確認 |
対象は、支援事業者への登録時とキャリア相談の初回面談時に在職者である人です。正社員だけでなく、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員も含まれます。
一方、経営者、個人事業主、フリーランスなど雇用契約のない人は対象外です。また、雇用主が変わる転職を目指していることが前提です。
講座の受講だけが目的の場合は支援を受けられません。同じ会社の中での正社員化や昇進、独立開業も、ここでいう「転職」には含まれません。
受講費用の補助はいくら?2段階の負担軽減
六次公募の公募要領では、個人の受講費用の負担軽減は2段階になっています。補助を受けるには、転職先の入社日までに講座を修了している必要があります。
| タイミング | 個人の負担軽減 | 国から事業者への補助上限(1人あたり) |
|---|---|---|
| 講座を修了したとき | 講座の定価の1/2以上 | 40万円(定価の1/2相当額) |
| 転職して1年間継続して就業したとき | 上記と合わせて7/10以上 | 追加で16万円(定価の1/5相当額) |
| 合計 | 7/10以上(定価80万円以上の講座は軽減額56万円以上で可) | 56万円 |
このため、民間の解説では「受講料の最大70%・最大56万円の補助」と紹介されることが多くなっています。
実際の軽減額や支払時期(キャッシュバック型か、受講料の割引型か)は支援事業者ごとに違います。転職しなかった場合は、追加の1/5の対象になりません。
2026年10月の「1年間延長」で何が変わるか
事業者向けの公募は、六次公募(2025年9月16日締切)をもって終了しています。七次公募は未定とされています。
六次公募の公募要領では、個人への支援期間は2027年3月31日までで、追加補助の対象となる転職先への入社日は2027年4月30日までとされていました。
これに対し、2026年10月26日の告知では次のことが示されました。日本成長戦略(2026年7月21日閣議決定)が掲げる戦略17分野などの人材育成と労働移動を支えるため、本事業を1年間延長する。
あわせて、一定の要件を満たした事業者の補助事業期間を延ばし、リスキリング経費を追加配分する。この延長により、転職後1年間のフォローアップの終期は令和9年度末から令和10年度末に延びるとされています。
ただし、延長の対象は「一定の要件を満たした事業者」です。すべての支援事業者で受付期間が延びるわけではありません。
個人の登録期限や講座の受講期限が新たにどうなるかは、告知資料では個別に示されていません。最新の条件は、公式サイトと利用する支援事業者で必ず確認してください。
利用するときの注意点と、企業の人事が押さえること
利用する側の注意点は主に3つです。1つ目は、スクールのサイトに「補助金対象」とあっても、本事業の対象かどうかは講座単位で決まることです。
公式サイトの採択事業者一覧と、各社の対象講座を確認しましょう。2つ目は、キャリア相談と転職支援を合わせて2回以上(1回30分以上)の直接面談が必要なことです。
3つ目は、趣味や教養のための講座は対象外であることです。
企業の人事にとっては、在籍している社員が社外への転職を前提に国の補助で学び直せる制度だという点が重要です。
社内でのキャリアの選択肢やリスキリングの機会が乏しいと、学び直しの意欲が高い人材ほど社外に移りやすくなる可能性があります。
社内の育成を整える方法としては、企業向けの人材開発支援助成金(厚生労働省)があります。こちらは目的が異なる制度なので、混同しないようにしましょう。
まとめ
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、在職者が転職を目指して学び直すとき、相談から転職後の定着までを一体で支援する制度です。
受講費用は修了時に1/2以上、転職して1年間継続就業すると合計7/10以上が軽減され、国の補助上限は1人あたり56万円です。
2026年10月26日に事業の1年間延長が告知されましたが、延長は要件を満たす事業者に限られます。利用前に公式サイトと支援事業者で最新の受付状況を確かめることが大切です。
リスキリングドットコムの視点
※以下は編集部の見解です。今回の延長は、成長戦略の重点分野への労働移動を、国が「学び直し×転職」の形で後押しし続けるという意思表示だとみられます。
企業にとっては、社員が外部の制度を使って学び直し、転職していく流れが今後も続くということです。人事が取り組むべきなのは、引き止め策よりも「社内でも同じように学び、挑戦できる」環境づくりでしょう。
社内公募や資格取得支援、人材開発支援助成金の活用などで、社内に学びとキャリアの選択肢を示せるかどうかが、人材の定着を左右する時代になりつつあります。
個人の立場では、補助の条件や期限を正確に確認したうえで、キャリア相談の段階から目指す職種を具体的に描くことが、制度を有効に使う近道です。
出典元
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 公式サイト「申請をご検討の事業者」(経済産業省事業・事務局:野村総合研究所)



