リコー、DSSを全社の共通言語にデジタル人材6,800人超を育成 配属先を先に決める育成も IPA事例

最終更新日:2026.10.28

IPA(情報処理推進機構)は2026年10月28日、DX推進ポータル「DX SQUARE」で、リコーがデジタルスキル標準(DSS)を全社の共通言語としてデジタル人材育成を進める事例のインタビュー記事を公開しました。

国内グループ約3万5,000人を対象に、学びを事業の現場へつなぐ仕組みが紹介されています。

ニュースの概要

リコーは2020年に「デジタルサービスの会社への変革」を掲げ、2021年にデジタル戦略部を立ち上げて人材育成を本格化しました。

2022年には社内の学習拠点「リコーデジタルアカデミー(デジアカ)」を開校しています。2024年度にはDSSを採用し、全社共通の人材像とスキルを再定義しました。

人材類型は6種、スキル項目は計90で、2026年4月には改訂されたDSSの内容も反映したとしています。

デジアカは2層構成です。全社員向けのデジタルリテラシー層はeラーニングで、ほぼ100%の社員が履修しました。

推薦された中・上級者向けのアップスキリング層は、ハンズオン研修や資格取得、OJTなどを組み合わせ、2025年時点で延べ約1万6,000人が受講したと説明しています。

ESG目標の人材育成目標は2025年度末までに4,000人でしたが、6,800人超を育成したとしています。

特徴的なのは、学びを実務につなぐ仕組みです。本務を離れて数ヵ月から1年間学習に専念する「スキルアッププログラム」では、事前に配属先を決め、スキルギャップを測ったうえで育成し、基準に達した人材を異動させます。

修了者は94名です。採用や配置でも「このロールでレベル3の人材」のように具体的な条件で人材像を共有できるようになったとしています。

2026年度からは、社員の保有スキル数の向上を新たなESG目標に掲げています。

リスキリングドットコムの見解

以下はリスキリングドットコムとしての見解です。この事例で注目したいのは、DSSを「研修メニューの分類表」ではなく、採用・配置・異動まで貫く共通言語として使っている点です。

多くの企業でリスキリングが成果につながりにくい理由の一つは、学んだ後の活躍の場が決まっていないことにあると考えます。

リコーの「出口を先に決めてから育成する」設計は、受講者数を追う段階から、配置と成果に結びつける段階へ移るためのヒントになります。

一方、全社員規模の体系をすぐに整えるのは中堅・中小企業には負担が大きいでしょう。まずは自社で必要な人材類型を1〜2つに絞り、DSSのスキル項目を物差しとして現状とのギャップを測るところから始めることが現実的だと考えます。

育成目標を「人数」から「保有スキル」へ移す動きも、人的資本開示の指標づくりの参考になります。

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