上場企業の人的資本開示93.1%に拡大|課題は指標設計と人材育成KPI

最終更新日:2026.07.08

タレントマネジメントシステム「タレントパレット」の導入企業を対象とした調査で、上場企業の人的資本開示の取り組み率が93.1%に達したことが分かりました。

一方で、開示に使う指標が定まらない企業も多く、人的資本経営を企業価値向上につなげるには、人材育成やエンゲージメントをどう可視化するかが課題となっています。

ニュースの概要

プラスアルファ・コンサルティングは2026年7月8日、タレントパレット導入企業118社を対象とした「人的資本開示の実態調査(2025年度調査版)」の結果を公表しました。

上場企業で人的資本開示に取り組む企業の割合は93.1%となり、前年の66.2%から約27ポイント拡大しました。有価証券報告書での開示義務化などを背景に、上場企業では人的資本開示がほぼ標準的な取り組みになりつつあります。

非上場企業でも変化が見られます。「外部に情報を開示しない」とする企業は前年の60.3%から39.5%へ減少し、自社ホームページでの開示も55.8%に広がりました。企業規模を問わず、採用競争力の向上やステークホルダーからの信頼獲得に向けて、人的資本情報を開示する動きが広がっています。

人的資本経営に取り組む理由は、「エンゲージメント向上」が83.2%で最多となり、「事業・企業価値の向上」が67.3%で続きました。人的資本開示は、単なる開示義務への対応から、企業価値向上を支える取り組みへと位置づけが変わりつつあります。

一方で、人的資本開示を進める上での最大の課題は「活用する指標が定まっていない」で、45.8%の企業が回答しました。重要な指標としては「エンゲージメント」(81.6%)や「育成」(77.2%)が上位に挙がっていますが、施策は実施しているものの、定量的な指標として開示・共有する段階には至っていない企業も多い状況です。

リスキリングドットコムの見解

人的資本開示の取り組み率が急拡大していることは、企業が人材を経営資源として捉え直している表れといえます。一方で、「開示すること」自体が目的化する危うさには注意が必要です。

調査が示しているのは、多くの企業が指標設計の段階でつまずいているという現実です。人的資本開示の本質は、経営戦略と人材戦略を結び付け、育成やエンゲージメントへの投資が企業価値にどうつながるのかを、自社の言葉で説明することにあります。

法定項目をそろえるだけでは、投資家や求職者にとって十分な判断材料にはなりません。自社の事業戦略に沿った独自指標を設計し、その改善に向けた具体的な打ち手まで示すことが求められます。

特にリスキリングにおいては、研修受講者数や受講時間だけでなく、スキル習得後の配置転換、業務成果、エンゲージメントの変化まで追う視点が重要です。

指標づくりに悩む企業ほど、まずは自社の人材戦略の「ストーリー」を明確にすることが第一歩になります。人的資本開示は、数字を並べる作業ではなく、人材への投資を企業成長につなげるための経営コミュニケーションとして捉えるべきでしょう。

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