生成AI時代のDX人材育成|代替される業務と求められる上流構想力
最終更新日:2026.07.14
リンプレスは2026年7月3日、大企業のDX担当者を対象とした「生成AI時代のDX人材育成に関する実態調査」の結果を公表しました。
DXが実行段階に入る企業が増える一方で、生成AIによって代替されやすい業務と、人が担うべき上流工程のスキルが明確になりつつあります。
ニュースの概要
本調査は、従業員1,000名以上の企業でDX推進に携わる担当者・部門長111名を対象に、2026年6月24日から25日にかけて実施されました。
自社のDX推進状況については、「実行段階(本格的に推進中)」と答えた企業が45.0%で最多となり、前年から8.6ポイント上昇しました。一方で、「初期段階(部分的に取り組み開始)」が29.7%、「計画段階(検討中)」が16.2%と続き、企業間でDX推進の進捗に差があることもうかがえます。
DXを推進する中核人材に最も必要なスキル・能力としては、「IT企画力(業務とITの結びつけ)」が49.5%で首位となり、「リーダーシップ・影響力」が48.6%で続きました。
生成AIで代替できる業務では、「情報収集・リサーチ」が71.2%で最多となり、「資料・ドキュメントの作成」が66.7%で続きました。定型的な情報整理や文書作成は、生成AIによって置き換わりやすい領域として認識されています。
一方で、「目的設計・企画立案」や「関係者間の調整・意思決定」は、生成AIでは代替しにくいスキルとして挙げられています。単にツールを使う力ではなく、何のためにデジタルやITを使うのかを設計する力が、より重要になっているといえます。
DXプロジェクトが停滞する主な要因では、「要件定義段階」が64.0%で最多となり、「実行段階」の37.8%を大きく上回りました。DXが進まない原因は、実行力だけでなく、上流工程における目的設計や要件整理にあることが示されています。
リスキリングドットコムの見解
今回の調査で注目すべきは、生成AIが代替できる業務と、人が担うべきスキルの境界線が見え始めている点です。
情報収集や資料作成は生成AIによって効率化される一方、目的設計、要件定義、関係者調整、意思決定といった上流工程は、人が引き続き担うべき重要な領域です。
DX中核人材に必要なスキルとして「IT企画力」が最上位に挙がったことも、ツールを操作する技術力以上に、事業課題をITへ翻訳する力が問われていることを示しています。
企業のDX人材育成では、生成AIの使い方を教えるだけでは不十分です。AIに任せる業務を明確にしたうえで、人にしか担えない構想力、要件定義力、関係者を巻き込むリーダーシップを育てる必要があります。
要件定義段階でプロジェクトが停滞しやすいという結果は、リスキリングの重点を上流工程に置くべきだという示唆でもあります。
生成AI時代のDX人材育成では、作業を速くするスキルだけでなく、「何を変えるべきか」を見極め、組織を動かす力をどう育てるかが問われています。



