政府職員18万人が生成AI活用へ|ガバメントAI「源内」が示す行政DX人材の課題

最終更新日:2026.07.14

ガバメントAI源内と政府職員18万人の生成AI活用による行政DX

デジタル庁は、政府職員が安全・安心にAIを活用できる基盤として、ガバメントAI「源内」の展開を進めています。

2026年度中には、全府省庁の約18万人の政府職員が生成AIを利用可能となる予定です。行政DXを進めるうえで、生成AIをどう業務に組み込み、職員の生産性向上や業務品質の改善につなげるかが重要なテーマになっています。

ニュースの概要

デジタル庁によると、ガバメントAI「源内」は、政府職員が生成AIを日常業務で安全に活用するための利用環境です。2025年5月に成立したAI法や、同年12月に閣議決定されたAI基本計画を背景に、政府自らが先導的にAIを利活用する取り組みとして進められています。

「源内」では、対話型チャット、文章作成、要約、校正、翻訳などの日常業務を支援する汎用AIに加え、行政実務に特化したAIアプリケーションも提供されます。たとえば、国会答弁作成支援AIや、行政のバックオフィス業務を支援するAIなど、行政現場の具体的な業務に即した活用が想定されています。

デジタル庁は2026年度に、全府省庁の約18万人の政府職員を対象とした大規模実証を行う予定です。職員の成功体験づくりを進めながら、生成AIの効果と課題を検証し、2027年度以降の本格導入につなげる方針です。

また、「源内」の展開にあわせて、高度なAIアプリケーションの開発、国内大規模言語モデルの開発支援、政府共通の大規模データセットの整備、他府省庁への技術支援も進められます。

特に重要なのは、生成AIを単なる便利なチャットツールとして使うのではなく、行政実務のデータやノウハウをAIが参照できる状態に整えることです。デジタル庁は、AIを前提に業務やデータのあり方を見直す考え方を示しており、行政DXは「業務にAIを足す」段階から、「AIを前提に業務を再設計する」段階へ進みつつあります。

リスキリングドットコムの見解

ガバメントAI「源内」の展開は、生成AI活用が民間企業だけでなく、行政の中核業務にも広がり始めたことを示す重要な動きです。

注目すべきは、対象が一部の専門職ではなく、全府省庁の約18万人の政府職員に及ぶ点です。これは、AI活用が専門人材だけのスキルではなく、日常業務を担う多くの職員に求められる基礎能力になりつつあることを意味します。

一方で、AIを導入するだけでは行政DXは進みません。職員が生成AIの出力を適切に確認し、根拠資料を照合し、業務判断に活かす力を身につける必要があります。AIリテラシー、データ活用力、情報管理、業務プロセス設計といった複合的なスキルが求められます。

この構図は、民間企業にもそのまま当てはまります。生成AIを全社導入しても、社員が使いこなせなければ成果は限定的です。さらに、社内データや業務ナレッジが整理されていなければ、AIは十分な力を発揮できません。

AI時代のリスキリングでは、プロンプトの書き方だけでなく、AIに任せる業務と人が判断すべき業務を切り分け、データを整え、成果物を検証する力を育てることが重要です。

ガバメントAI「源内」は、行政DXの取り組みであると同時に、日本全体のAI人材育成の方向性を示す事例といえるでしょう。

出典元

デジタル庁:ガバメントAI「源内」