横浜市・仙台市が生成AIで選挙事務を効率化|7割超が業務効率化を実感
最終更新日:2026.07.14
NECとぎょうせいは、横浜市・仙台市の選挙管理委員会事務局の協力のもと、自治体の選挙事務に関わる市民応対業務を効率化する生成AIの実証実験を実施しました。
利用者の9割以上が回答精度を「正確」と評価し、7割以上が「業務効率化に寄与する」と回答しています。正確性が強く求められる行政実務で、生成AI活用の可能性が広がりつつあります。
ニュースの概要
NECとぎょうせいは2026年7月6日、自治体選挙事務に関わる市民応対業務を効率化する生成AIを共同開発し、横浜市選挙管理委員会事務局と仙台市選挙管理委員会事務局の協力のもと、両市で実証実験を実施したと発表しました。
実証は2026年5月から6月末まで行われ、生成AIの回答精度と業務効率化の効果を検証しました。
自治体の選挙事務では、市民や候補者などからの多様な問い合わせに対し、公職選挙法や判例、実務上の解釈を参照しながら正確に対応する必要があります。一方で、選挙は不定期に行われるため、職員間でノウハウが定着しにくく、ベテラン職員に依存しやすいことが課題となっていました。
今回の実証では、NECが提供する「NEC自治体支援生成AIサービス」上に、ぎょうせいの選挙専門書籍データを取り込んだ実証用環境を構築しました。問い合わせ内容を自然文で入力すると、生成AIが関連情報を検索し、根拠となる法令や文献とともに回答を提示します。
また、公共領域でのAI活用では、回答の正確性や安全性が特に重要です。そのため、今回の実証ではハルシネーションチェック機能やe-Gov法令検索との連携も実装し、AIの回答を職員が確認できる仕組みを備えました。
実証後のアンケートでは、両市を合わせて利用者の9割以上が回答精度について「正確」と評価し、7割以上が「業務効率化に寄与する」と回答しました。文書検索にかかる手間や時間の削減、職員ごとの応対品質・速度の平準化が期待できる結果となっています。

リスキリングドットコムの見解
今回の実証は、自治体DXが「単なる事務効率化」から、専門知識の継承と業務品質の平準化へ進みつつあることを示しています。
選挙事務のように、法令や判例、専門文書に基づく正確な対応が求められる業務では、生成AIの活用に慎重さが必要です。一方で、根拠資料を提示し、職員が確認できる仕組みを組み込めば、AIは職員の判断を支援する有効なツールになり得ます。
重要なのは、AIに任せきることではありません。職員がAIの出力を読み解き、根拠を確認し、住民対応に適切に反映できる力を身につけることです。
自治体職員に求められるリスキリングも変わります。これからは、生成AIの基本的な使い方だけでなく、法令・制度情報の確認、根拠資料の照合、ハルシネーションへの注意、個人情報や機密情報の取り扱いまで含めた実務的なAIリテラシーが必要になります。
人手不足やノウハウ継承の課題を抱える自治体にとって、生成AIは業務を代替する存在ではなく、職員の専門性を補完し、行政サービスの質を支える存在になり得ます。
今回の横浜市・仙台市での実証は、自治体DXにおける生成AI活用の現実的な一歩として注目されます。



