AI特例で問われる個人情報活用|企業に必要なデータガバナンス人材とは
最終更新日:2026.07.14
AI開発や統計作成に関わる個人情報の活用ルールが、大きな転換点を迎えています。
個人情報保護委員会は2026年4月7日、個人情報保護法等の一部改正法案の閣議決定を公表しました。法案には、統計等の作成を行う第三者に個人情報を提供する場合などについて、一定の条件下で本人同意を不要とする措置が盛り込まれています。
ニュースの概要
今回の改正法案は、デジタル技術の急速な進展により、個人情報を含むデータの利活用ニーズが高まる一方で、違法な取扱いによる権利侵害リスクも増していることを背景にしています。
参議院の議案情報によると、同法案は2026年7月10日に参議院本会議で可決されました。主な内容には、統計等の作成を行う第三者への個人情報提供について、統計等の作成内容の公表などを条件に本人同意を不要とすることが含まれています。
また、16歳未満のこどもの個人情報に関する規律整備、特定生体個人情報に関する利用停止請求の拡充、不適正利用や不正取得への対応、違法な取扱いによって利益を得た事業者への課徴金制度なども盛り込まれています。
つまり今回の改正は、単純な規制緩和ではありません。AI開発や統計作成に必要なデータ活用を進める一方で、個人の権利保護や違法利用への抑止力も強化する内容です。
企業に問われるのは、データを「使えるかどうか」だけではありません。どの目的で使うのか、本人の権利利益を害しないか、第三者提供の条件を満たしているか、説明責任を果たせるかといった判断力が必要になります。
リスキリングドットコムの見解
AI時代の企業にとって、個人情報活用は避けて通れないテーマです。
生成AIやAIエージェントの活用が進むほど、企業は社内データ、顧客データ、行動データ、問い合わせ履歴、採用・人事データなどをどう扱うかを問われます。AIの精度を高めるにはデータが必要ですが、その扱いを誤れば、信頼の毀損や法的リスクにつながります。
そのため、今後重要になるのがデータガバナンス人材です。
データガバナンス人材とは、単に法律に詳しい人材ではありません。個人情報保護、AI活用、セキュリティ、業務プロセス、社内ルールづくりを横断して理解し、事業部門と管理部門の橋渡しができる人材です。
たとえば、AI開発に使うデータの利用目的を整理する力、第三者提供や委託先管理のリスクを確認する力、AIの出力や学習データに個人情報が含まれる可能性を見極める力、そして現場の従業員にわかりやすく運用ルールを伝える力が求められます。
特に人事領域では、採用、評価、配置、育成、エンゲージメント調査など、個人に関わるデータを多く扱います。AIを使った人材分析やタレントマネジメントを進める企業ほど、個人情報保護とデータ活用の両立が重要になります。
今回の制度変更は、企業にとってAI活用を進める好機であると同時に、データを扱う責任がより重くなる転機でもあります。
AIを導入するだけでは、競争力にはなりません。データを安全に、適切に、説明可能な形で活用できる人材を育てることが、これからのAI時代のリスキリング課題になるでしょう。
出典元
個人情報保護委員会:「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について
参議院:個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案
内閣府:AI制度研究会 中間とりまとめ



