一次面接のAI化に29.7%が前向き|転職者が求める効率性と「人による対話」
最終更新日:2026.07.15
レバレジーズ株式会社が運営するAI人事プラットフォーム「NALYSYS」は2026年7月8日、直近3年以内に正社員として転職活動を行った515人を対象とする「AI時代の転職活動に関する調査」の結果を発表しました。
一次面接がAI面接に置き換わることについて、29.7%が前向きな姿勢を示し、否定的な回答の18.2%を上回りました。一方、最終面接のAI化には抵抗感も見られます。
採用DXが進むなか、企業にはAIで効率化する工程と、人が対話すべき工程を明確に分ける選考設計が求められています。
一次面接のAI化には29.7%が前向き
AI面接を実際に受けた経験がある人は7.8%にとどまりました。
一方、一次面接がAI面接に置き換わることについては、29.7%が「ポジティブ」または「どちらかというとポジティブ」と回答しています。「ネガティブ」または「どちらかというとネガティブ」の18.2%を上回りました。
前向きに捉える理由では、「面接官の態度や相性に左右されず、公平に評価される」が54.2%で最も多くなっています。「24時間いつでも受けられる」も31.4%に上り、評価の公平性や受験時間の柔軟性に期待が集まっています。
仕事を続けながら転職活動を行う人にとって、夜間や休日を含めて受験時間を選べるAI面接は、選考参加のハードルを下げる可能性があります。
最終面接では「人による対話」を求める傾向
一次面接とは対照的に、最終面接のAI化については33.0%が否定的な姿勢を示し、前向きな回答の18.2%を上回りました。
選考の初期段階では、応募条件の確認や定型的な質問、公平なスクリーニングなどにAIを活用することが受け入れられ始めています。
一方、最終面接では、企業文化や価値観との相性、入社後の役割、キャリア形成などについて、人と直接話したいという意識が強いと考えられます。
AI面接をすべての選考工程に一律で導入するのではなく、選考段階に応じて活用範囲を変える必要があります。
約3割が面接日程の不一致で選考を辞退
面接の日程が合わないことを理由に、企業の選考を辞退した経験がある人は29.9%でした。
また、在籍企業の業務が忙しく、転職活動を一時的に中断した経験がある人は、「何度もある」の30.6%と「1~2回程度ある」の25.7%を合わせて56.3%に上っています。
調査回答者の78.6%は、企業に在籍しながら転職活動を行っていました。仕事と選考を両立するうえで、面接時間の確保や日程調整が大きな負担になっています。
日程調整の難しさは、求職者だけの問題ではありません。企業にとっても、採用したい人材との接点を失う機会損失につながります。
AI面接や録画面接、オンライン面接などを選択肢として用意することは、候補者が選考に参加しやすい環境づくりにつながります。
面接官の対応も候補者体験を左右
調査では、面接内容や面接官の対応を理由に、選考辞退を考えた経験がある人が46.1%に上りました。
理由としては、「面接官の高圧的な態度や不快な言動」が58.2%で最も多く、「経歴やスキルを正しく理解しようとする姿勢が感じられなかった」も33.0%となっています。
採用DXを進める際には、AIツールの導入だけでなく、人が担当する面接の質を高めることも欠かせません。
AIによって日程調整や定型的な確認を効率化できても、人による面接で候補者体験を損なえば、選考辞退を防ぐことはできません。
面接官の質問力や傾聴力、候補者への情報提供力を高める研修も、採用DXと並行して進める必要があります。
転職活動でのAI利用は28.5%
転職活動でAIを利用した経験がある人は28.5%で、およそ3人に1人でした。
AI利用者の用途では、「履歴書や職務経歴書の文章作成」が81.0%で最多となっています。
一方、転職活動で苦労した経験がある人は82.3%に上り、具体的な負担では「履歴書・職務経歴書を作成する時間や手間がかかる」が55.4%で最も多くなりました。
負担の大きい書類作成を、生成AIで効率化しようとする動きが広がっていることが分かります。
ただし、AIが作成した文章をそのまま提出すれば、自分の経験や強みが正確に伝わらない可能性もあります。求職者には、AIの出力を確認し、自分の言葉に修正する情報活用力が必要です。
企業に求められるAI面接の運用設計
AI面接の導入では、採用業務を効率化できるかだけでなく、候補者が納得できる選考になっているかを確認する必要があります。
AIを活用しやすい工程としては、次のようなものが考えられます。
応募条件や経歴の確認、面接日程の調整、定型的な質問、初期選考における情報整理などです。
一方、企業文化や価値観の共有、応募者のキャリア志向の確認、入社後の働き方や役割に関する対話は、人が担う意義の大きい領域です。
AIによる評価を導入する場合は、評価項目や判断基準を明確にし、候補者へ利用目的を説明することも重要です。
個人情報の管理や評価結果の確認体制、人による再確認の仕組みも整える必要があります。
AI面接を人の単純な代替として導入するのではなく、候補者と企業の双方が負担なく、必要な対話に集中できる環境をつくるために活用する視点が求められます。
リスキリングドットコムの見解
今回の調査は、採用プロセスにおけるAI活用の「線引き」を考える手がかりになります。
書類作成、日程調整、応募条件の確認など、求職者と採用担当者の双方に負担が大きい工程には、AIや自動化を活用する余地があります。
一方、候補者の価値観やキャリア志向を理解し、企業側の情報を伝える対話までAIに委ねることには、慎重な設計が必要です。
採用担当者には、AIの出力や評価を過信せず、その妥当性や偏りを確認するリテラシーが求められます。
面接官についても、応募者の経験やスキルを正しく理解し、対話を通じて自社で働く意味や成長機会を伝える力を高めなければなりません。
採用DXとは、単に人の業務をAIへ置き換えることではありません。
AIが担う工程と人が担う工程を明確にし、効率性、公平性、候補者の納得感を同時に高めることが、これからの選考設計では重要になります。



