子どもの不登校で親の4人に1人が離職・転職など|人事の53.4%は実態を把握できず
最終更新日:2026.07.15
サイボウズのソーシャルデザインラボは2026年7月8日、子どもの不登校・行き渋りが親の就労に与える影響と、企業側の認識や対応とのギャップに関する調査結果を発表しました。
不登校・行き渋りの影響で、離職や転職、時短勤務などの行動を取った親は24.8%に上りました。一方、人事担当者の53.4%は、こうした事情を抱える従業員の実態を十分に把握できていません。制度の整備だけでなく、情報の周知や相談しやすい職場づくりが問われています。
子どもの不登校で親の24.8%が働き方を変更
調査は2026年6月2日から9日にかけて、企業で正社員として働く子育て中の親1,000人と、企業の人事担当者500人を対象に、インターネットで実施されました。
親1,000人のうち500人は、過去または現在、不登校や行き渋りのある小中学生の子どもを持つ保護者です。
不登校・行き渋りの影響で実際に行動を取った親の割合は24.8%でした。内訳は、離職が5.8%、転職が8.0%、時短勤務・職種変更が7.8%、休職が3.2%となっています。
男女別でも、男性が22.8%、女性が26.8%と、いずれも2割を超えました。子どもの不登校への対応は、一部の母親だけではなく、幅広い働く親のキャリアや就労に影響する問題であることが分かります。
親の33%が「どこにも相談できなかった」
利用したい制度を使えなかった際の相談先を尋ねたところ、「どこにも相談できなかった」と回答した親は33.0%に上りました。
職場の上司に相談した人は18.4%、人事・労務に相談した人は10.2%にとどまっています。不登校への対応と仕事の継続をめぐる悩みを、職場へ十分に相談できていない状況がうかがえます。
職場に相談しなかった理由では、「相談しても変わらないと思った」が29.6%、「言い出せない雰囲気だった」が22.0%、「評価に悪影響があると思った」が12.2%でした。これらを合わせると63.8%となり、相談後の対応や評価への不安が従業員の相談を妨げていることが分かります。
人事担当者の53.4%は従業員の実態を把握できず
企業の人事担当者に、子どもの不登校や行き渋りで困っている従業員がいるかを尋ねたところ、「いないと思う」が25.6%、「おそらくいるが把握していない」が27.8%でした。
合計53.4%の人事担当者が、対象となる従業員の存在や実情を把握できていない状況です。
また、こうした従業員への支援に「すでに取り組んでいる」と回答した企業は16.6%にとどまりました。不登校・行き渋りを従業員の離職リスクとして「あまり認識していない」「まったく認識していない」と回答した人事担当者も、合計43.8%に上っています。
親の53.6%が制度の積極的な周知を希望
不登校や行き渋りのある子どもを持つ親が企業に最も求めているのは、「使える制度の積極的な周知」で、53.6%でした。
一方、制度の活用方法を「積極的に周知している」と回答した人事担当者は19.4%です。「入社時や制度説明時に案内している」が28.8%、「申請があれば案内している」が27.4%で、従業員が必要になった時点で初めて制度を知る運用も少なくありません。
子どものケアに直面した従業員が、その状況下で自ら制度を探すことには限界があります。対象者からの申告を待つだけではなく、利用できる制度や相談窓口を平時から伝える「プッシュ型」の周知が必要です。
人事と従業員の間にある相談環境の認識差
人事担当者の45.8%は、自社について「相談しやすい職場だと思う」または「どちらかといえば思う」と回答しました。
しかし、親が職場に相談しなかった理由には、言い出しにくい雰囲気や、相談しても状況が変わらないという諦め、評価への悪影響に対する不安が挙げられています。
制度の有無と、実際に従業員が安心して利用できるかどうかは別の問題です。制度利用によって評価やキャリアに不利益が生じないことを明確にし、上司や人事が適切に対応できる体制を整える必要があります。
リスキリングドットコムの見解
今回の調査は、子どもの不登校・行き渋りへの対応が、従業員個人や家庭だけの問題ではなく、人材の定着や人的資本経営に関わる課題であることを示しています。
企業がまず取り組むべきなのは、新しい制度を増やすことだけではありません。既存の休暇、時短勤務、在宅勤務、フレックスタイム、休職制度などについて、どのような場合に利用できるのかを分かりやすく伝える必要があります。
同時に、管理職や人事担当者への研修も重要です。相談を受けた際に個人の事情を否定せず、業務量や勤務時間、チーム内の役割を柔軟に調整できるマネジメント力が求められます。
制度の利用状況だけでなく、相談件数、制度の認知率、利用後の定着率、従業員の心理的安全性などを把握することも必要です。従業員が家庭の事情を抱えてもキャリアを中断せず、働き続けられる環境をつくれるかどうかが、人的資本経営の実効性を左右します。



