労働争議295件で6.1%増 賃金要求が6割で最多 教育訓練も要求に
最終更新日:2026.08.04
厚生労働省は2026年8月3日、「令和7年(2025年)労働争議統計調査」の結果を公表しました。労働争議の件数と参加人員がともに増え、要求事項では「賃金」が6割を占めています。
ニュースの概要
調査によると、2025年に発生した「総争議」の件数は295件で、前年より17件(6.1%)増加しました。
総参加人員は10万532人で、前年から5,207人(5.5%)増えています。総争議の件数は長期的には減少傾向でしたが、2019年以降はほぼ横ばいで推移しています。
このうち実際にストライキなどを伴う「争議行為を伴う争議」は77件で前年から1件(1.3%)の増加にとどまった一方、行為に参加した人員は1万7,354人と、前年の8,982人から8,372人(93.2%)増えてほぼ倍増しました。
労働損失日数は3万1,380日で、前年の2,501日から大幅に膨らんでいます。産業別にみると、争議行為を伴う争議の件数は「医療、福祉」が44件で最も多く、行為参加人員も8,418人で最多でした。
労働損失日数では「運輸業、郵便業」が3万120日と全体の大半を占めています。企業規模別(民営企業)では、企業数の延べ数で「1,000人以上」が57企業と最も多くなりました。
主要要求事項(1件につき主なもの2つまでの複数回答)は「賃金」が178件で総争議の60.3%を占め、前年比15.6%増でした。
次いで「組合保障及び労働協約」が110件(37.3%)、「経営・雇用・人事」が82件(27.8%、8.9%減)と続きます。
「賃金以外の労働条件」は53件(18.0%)で26.2%増え、内訳では「職場環境・健康管理」が35件(45.8%増)、「教育訓練」が2件計上されました。
リスキリングドットコムの見解
リスキリングドットコムとして注目したいのは、賃金要求が6割に達する一方で「賃金以外の労働条件」が26.2%増え、職場環境・健康管理や教育訓練が要求として姿を現している点です。
賃上げが続く局面では、処遇の水準だけでなく働く環境と成長機会が労使の争点に移りつつあると読み取れます。
教育訓練はまだ2件にとどまりますが、従業員が学び直しの機会を労働条件の一部として認識し始めた兆しと見ることができます。
人的資本経営を掲げる企業にとって、リスキリングの機会提供は福利厚生の一項目ではなく、労使が合意形成すべき対象になりつつあります。
争議が医療・福祉に集中している事実は、人手不足が深刻な産業ほど育成と定着への投資が追いついていない実態も示しています。
労使対話の議題に人材育成計画を明示的に載せることが、離職の抑制と生産性の向上の双方に効いてくると考えます。



