中小の平均雇用者数 6割の業種で減少 熊本の半導体は57人増 人材偏在が加速

最終更新日:2026.08.10

東京商工リサーチは2026年8月8日、企業データベースをもとに中小企業の1社あたり正社員数(雇用者数平均)の変化を分析した調査結果を公表しました。

全96業種のうち6割近くで平均が減少し、限られた労働力が特定の産業・地域に集中する「人材の偏在」が数字で裏づけられています。

ニュースの概要

調査は日本標準産業分類の中分類に基づき、中小企業の正社員に限定した1社あたり平均雇用者数を、2023年4月と2026年4月で比較したものです。

全96業種のうち、平均が増加したのは36業種にとどまり、減少が57業種、変化なしが3業種でした。増加幅が最も大きかったのは「航空運輸業」で、コロナ禍からの需要回復を受け、採用抑制から採用増へ転じた動きが表れています。

一方、減少幅の上位は「水道業」(1社あたり14.07人減)、「銀行業」、「ガス業」が並びました。東京商工リサーチは、これらを業界の衰退ではなく、スマートメーターの導入による検針業務の省力化や、銀行の支店統合といった効率化の結果とみています。

地域別では、TSMCが進出した熊本県の「電子部品・デバイス・電子回路製造業」が1社あたり351.10人から408.66人へと57.56人増え、産業集積が雇用構造を変えた例として示されました。

次世代半導体の量産を控える北海道は同業種が0.47人増と小幅にとどまり、今後の伸びが見込まれます。反対に石川県では能登半島地震の影響で同業種が11.97人減、鉄道業が51.34人減と落ち込みました。

同社は、人手不足と産業間の偏りをどう解消するかが課題であり、政府の成長戦略が掲げる重点分野と、実際に人手が足りない業種との乖離を是正する必要があると指摘しています。

リスキリングドットコムの見解

リスキリングドットコムとしては、この調査を「人が減った業種」の話ではなく、「職務が移動している」証拠として読むことが重要だと考えます。

水道業や銀行業の平均人数の減少は、検針や店頭事務といった定型業務が技術に置き換わった結果であり、そこで働いていた人材の価値が失われたわけではありません。

むしろ、設備データの分析や顧客への提案業務など、社内に新しく生まれた職務へ橋を架けられるかどうかが、企業の体力を分けます。

同時に、熊本の半導体のように人材需要が一気に立ち上がる産業では、外部採用だけでは到底追いつきません。地域の教育機関や同業他社と連携し、異業種からの転換者を受け入れる訓練の受け皿を整えることが求められます。

採用で埋めるのではなく、社内の職務転換で埋める。人事部門にはその設計力が問われています。

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