管理職61.2%が「育成キャンセル」 ハラスメント懸念で指導回避 若手8割は率直な指導望む
最終更新日:2026.08.17
ハラスメントと受け取られることを恐れて、上司が必要な指導を控える「育成キャンセル」が広がっています。eラーニング大手のライトワークス(東京都千代田区)が2026年8月6日に公表した意識調査で、管理職の61.2%が育成キャンセルを経験している一方、20代の78.2%は率直な指導を望んでいることが分かりました。
ニュースの概要
調査は2026年6月11日から15日にかけてインターネットで実施され、上司から指導を受ける20代の社員443人と、部下の育成を担う30〜50代の管理職443人の計886人が回答しました。
同社は学習管理システムやeラーニング教材、人材育成コンサルティングを手がける企業で、今回は自社の調査として結果を公表しています。
管理職の63.3%が、ハラスメントと受け取られるリスクなどを理由に必要な指導をためらった経験があると回答しました。
実際に指導を控える「育成キャンセル」を経験した管理職は61.2%にのぼり、このうち18.1%は意図的に、43.1%は無意識のうちに指導を控えていました。
指導を控える理由は「繰り返し指導しても改善しない」が55.4%で最も多く、「ハラスメントと受け取られるリスク」が34.0%で続いています。
若手側でも、上司が必要な指導を避けていると感じる人が63.6%に達しました。指導を控えられた状況について「受け入れられる」が45.7%、「心地よい」が27.9%と一定の肯定的な受け止めがある一方、「同僚とのスキル差が不安」が40.3%、「自分の弱みが分からない」が37.2%、「市場価値が停滞する」が28.3%と、成長機会の喪失への懸念も示されました。
ハラスメントの境界線については、1対1で穏やかな口調で行うフィードバックを「指導」とみなす回答が若手56.6%、管理職58.9%とほぼ一致し、公開の場での叱責や感情的に声を荒らげる行為を「ハラスメント」とする認識も両者で共通していました。
同社は対策として、職種ごとの具体例を伴うOK・NGの境界ガイドライン整備(管理職の47.5%が要望)や、評価権限から独立した第三者相談窓口の設置(38.1%)、若手が助言を求める力を養う仕組みづくりを挙げています。
リスキリングドットコムの見解
リスキリングドットコムとしては、育成キャンセルは業績のように数値で表れないまま静かに進行する点にこそ、経営上のリスクがあると考えます。
注目したいのは、何が指導で何がハラスメントかという境界線の認識が、若手と管理職でほぼ一致していたことです。
つまり現場に足りないのはルールそのものではなく、そのルールを日常の場面で運用しきる自信と技術だと言えます。
多くの企業ではハラスメント防止研修とフィードバック研修が別々に設計されていますが、両者を切り離すほど管理職は「言わない」という安全策に流れやすくなります。
避けるべき言動と、伝えるべき内容の届け方を一体で学ぶ設計が求められます。加えて、若手側が助言を求める力を育てる双方向の仕組みも欠かせません。
人的資本の開示が広がるなか、研修の実施時間だけでなく、日常の指導が機能しているかを捉える指標を持つことが重要です。



