新入社員の2割が職場で孤独 生成AIへの相談21.7%、3年以内の勤続意向は41.6%
最終更新日:2026.08.19
マイナビは2026年8月18日、マイナビ転職が実施した「新入社員の孤独感に関する実態調査」の結果を発表しました。
2026年4月に入社した新入社員の20.1%、約5人に1人が職場で孤独を感じていることが分かりました。
さらに、孤独感がある層では働きがいを感じる割合が低く、現在の会社での勤続意向にも大きな差がみられています。
生成AIを仕事の相談相手として利用する新入社員も一定数いるなか、企業には研修内容だけでなく、「質問できる」「相談できる」育成環境そのものをどう設計するかが問われています。
新入社員の5人に1人が職場で孤独を感じる
調査は2026年6月17日から19日にWEBで実施され、2026年卒の新入社員800名から回答を得ました。
「今の職場で孤独を感じたことがある」と回答した割合は20.1%でした。
孤独感がある人の対人関係に関する不安や悩みでは、「業務中、みんな忙しそうで話しかけづらい・質問しづらい」が43.5%で最多となりました。
次いで「職場に苦手な人・どうしても合わない人がいる」が31.1%、「仲が良い、または気軽に話せる同僚がいない」が29.8%となっています。
単純に職場に人がいるかではなく、困ったときに声をかけたり、質問したりできる関係があるかが、新入社員の孤独感に関係していることがうかがえます。
孤独を感じる新入社員の21.7%が生成AIに相談
仕事の相談相手にも、孤独感の有無による違いがみられました。
孤独感がない層では「社内の同期」が48.4%で最多だった一方、孤独感がある層では「友人・同級生(他社で働く同期など)」が41.0%で最も多くなっています。
さらに、孤独感がある層では21.7%が「生成AI(ChatGPTなど)」に相談すると回答しました。
生成AIは、分からない用語を調べたり、仕事の進め方を整理したり、文章の下書きを作成したりする際には有効なツールです。
一方で、社内固有の判断基準や業務の背景、職場の暗黙知などはAIだけでは把握できません。
生成AIへの相談が広がるほど、企業側には「AIに聞くこと」と「上司・先輩に確認すべきこと」を新入社員が判断できるようにするAIリテラシー教育も必要になってきます。
孤独感がある層は働きがいが23.9ポイント低い
孤独感は、働きがいや定着にも関連しています。
現在の職場に「働きがいがある」と回答した割合は、孤独感がある層では59.7%でした。
これに対し、孤独感がない層では83.6%となっており、その差は23.9ポイントに上ります。
一方で、孤独感がある層でも「誰かの役に立っていると思える仕事である」「配属当初と比べて成長したと感じる」と回答する人は一定数います。
仕事そのものに成長実感があっても、周囲とのつながりが弱ければ、職場全体への働きがいにつながらない可能性があります。
3年以内の勤続意向は41.6%
「今の会社で何年ぐらい働くと思うか」という質問でも違いが表れました。
孤独感がある層では「3年以内」が41.6%で最多となりました。
一方、孤独感がない層では「10年以上」が31.1%で最も高く、職場で感じる孤独と勤続意向には大きな差がみられます。
ここで注意したいのは、41.6%をそのまま「退職予定者」と捉えることです。
今回の調査は実際の退職行動を追跡したものではありません。ただし、新入社員の定着を考えるうえで、職場での人間関係や相談環境を無視できないことを示す結果といえるでしょう。
新人育成で必要なのは「質問できる環境」の設計
今回の結果から企業が考えるべきなのは、新入社員本人のコミュニケーション能力だけではありません。
「分からないことがあれば何でも聞いて」と伝えていても、上司や先輩が常に忙しそうであれば、新入社員側は質問をためらいます。
そのため、
- OJT担当者と相談先を明確にする
- OJT担当者に育成のための時間を正式に確保する
- 定期的な1on1を実施する
- 新入社員側から声をかけなくても上司・先輩から定期的に確認する
- 同期同士が相談・交流できる機会をつくる
といった、個人の努力に依存しない仕組みが重要になります。
新人研修を実施して終わりではなく、配属後の日常業務まで含めて育成を設計する視点が求められます。
リスキリングドットコムの見解
リスキリングドットコムでは、今回の結果を「最近の新入社員はコミュニケーションが苦手」といった個人の問題だけで捉えるべきではないと考えます。
特に注目したいのが、孤独を感じる理由として「忙しそうで話しかけづらい・質問しづらい」が最多だった点です。
リスキリングやOJTが機能するためには、教材や研修プログラム以前に、分からないことを質問し、フィードバックを受けられる環境が必要です。
さらに、生成AIが仕事の相談相手になりつつあることも、新人育成のあり方を変えていく可能性があります。
企業が生成AIの利用を単純に禁止するのではなく、「まずAIで調べる」「社内固有の判断は上司に確認する」「AIの回答をそのまま採用せず検証する」といった使い分けを教えることも、新しい時代のOJTに含まれてくるでしょう。
一方で、AIは質問への回答はできますが、新入社員の表情や仕事への不安を察知して声をかけたり、職場固有の暗黙知を伝えたりする役割を完全に代替するものではありません。
AIを活用できる環境と、人に質問できる環境を両立させること。
新入社員の定着と早期戦力化を考える企業にとって、研修内容だけでなく、日々の接点や相談経路を含めた「育成環境の設計」が一段と重要になっています。



