雇用調整助成金に熊本地震の特例 計画届の事後提出可・教育訓練の減額ルール撤廃

最終更新日:2026.08.21

厚生労働省は2026年8月20日、令和8年熊本地震に伴い事業活動の縮小を余儀なくされた事業主向けに、雇用調整助成金の特例措置を実施すると発表しました。

計画届の事後提出が可能になるほか、熊本県内では教育訓練の実施状況に応じて助成率を引き下げるルールが撤廃されます。

ニュースの概要

対象となるのは、令和8年7月28日に発生した熊本地震に伴う経済上の理由により、休業・教育訓練・出向を行う事業主です。

休業等の初日が令和8年7月28日から令和9年1月27日までの間にある場合が特例の対象になります。

全国の事業所を対象とした措置は4点です。生産指標の確認期間を3か月から1か月に短縮すること、最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象とすること、地震発生時に事業所の設置後1年未満の事業主も助成対象とすること、そして計画届の事後提出を可能とすることです。

通常は事前提出が原則のため、被災直後に手続きが間に合わない事業主への配慮といえます。

熊本県内の事業所には、さらに2つの追加措置が設けられます。1つは「残業相殺」の撤廃です。通常は休業等をさせる一方で所定外労働を行わせた場合、支給対象となる休業等の延べ日数から所定外労働時間分を控除しますが、今回はこの取扱いを撤廃します。

もう1つは教育訓練に関するルールで、通常は支給日数が30日を経過した日以降、教育訓練の実施率が10%未満の場合に助成率を引き下げるところ、こちらも撤廃するとしています。

助成の対象は1年の期間内に実施した休業等で、上限日数は1年間で100日です。厚労省は「経済上の理由」の具体例として、需要の減少や風評被害による販売・集客の困難、取引先の被災による原材料や商品の取引困難、交通の途絶による生産・販売環境の悪化、電気・水道・ガスや通信の途絶、損壊した施設・設備の修理業者の手配や修理部品の調達に期間を要する場合を挙げています。

施設や設備が直接的な被害を受けて事業活動を休止・縮小する場合でも、これらの理由を伴うものであれば「経済上の理由」があるものとして取り扱うとしています。

リスキリングドットコムの見解

リスキリングドットコムとしては、熊本県内で「教育訓練の実施率に応じた助成率引き下げ」が撤廃された点に注目しています。

通常の運用では支給日数が30日を超えると教育訓練を組み込まなければ助成率が下がりますが、被災直後の現場に訓練を設計する余力があるとは限りません。

今回の緩和は、実務の実態を踏まえた現実的な措置と受け止められます。

一方で、雇用調整助成金はもともと休業だけでなく教育訓練も助成の対象に含む制度です。事業が止まっている期間の使い方は、復旧後の生産性を左右します。

安全確保と事業再建が最優先であることは言うまでもありませんが、体制が整った段階で、業務のデジタル化や多能工化といった次につながる訓練を計画に織り込む視点も重要です。

なお、これは当サイトの見解であり、個別の支給要件の判断は所轄の労働局・ハローワークへの確認が求められます。

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