エンジニアの転職意向12.4% リスキリング志向は全体の1.5倍 ランスタッド調査

最終更新日:2026.09.02

総合人材サービス大手のランスタッド(日本法人:ランスタッド株式会社)は2026年9月2日、就業意識調査「ランスタッド エンプロイヤーブランドリサーチ 2026」のエンジニアリング職種版の結果を公表した。

日本のエンジニアは転職意向が全体平均より低い一方、リスキリングによる市場価値向上を重視する割合は全体の約1.5倍に達したという。

ニュースの概要

同調査は2026年1月に実施されたオンラインアンケートで、国内の18〜65歳の学生・就業者・非就業者4,464名が回答した。

今回公表されたのは、そのうちエンジニアリング専門職261名を抽出した分析結果である。

雇用の流動性に関する項目では、他社への転職を計画していると答えたエンジニアは12.4%で、日本全体の13.5%を下回った。

社内での異動・キャリアチェンジを計画する割合も4.2%(日本全体4.9%)にとどまり、いずれも平均より低い。

一方で、雇用の安定のために「リスキリングによる市場価値の向上」が必要と答えた割合は30.3%となり、日本平均の20.6%を約10ポイント上回った。

ランスタッドはこの傾向を、会社を移らずに自律的にスキルを磨いて自らの雇用可能性を担保する「スキル自律」の姿勢だとしている。

理想の雇用主に求める条件でも差が出た。「魅力的な給与と福利厚生」は64.8%(日本全体59.2%)、「最新技術に触れられること」は21.1%で日本平均を10ポイント以上上回った。

「強力な経営陣・リーダーシップ」も20.7%(日本平均14.7%)と高い。反対に「快適な職場の雰囲気」は44.4%で日本平均を下回り、同社が挙げた主要項目の中では相対的に低い位置づけだった。

同社プロフェッショナルタレントソリューション事業本部の志賀大介氏は、エンジニアは物理的に職場を移らなくても能力を研ぎ澄まし続けることを防衛策と考えているとし、学び続けられる環境の提供が優秀な技術者の定着につながるとの見方を示している。

なお本結果はエンジニアリング職261名の回答に基づくもので、企業規模や技術領域別の内訳は公表資料には示されていない。

リスキリングドットコムの見解

リスキリングドットコムとしては、この調査結果は「離職率が低い=定着している」という読み方の危うさを示していると考える。

転職意向が平均より低くても、その裏側で市場価値を高める準備が進んでいるなら、待遇や技術環境が競合に劣った瞬間に流出は起こり得る。

示唆は明快だ。技術者にとって学習機会と最新技術に触れられる環境は、福利厚生と同列に評価される要素になりつつある。

人事が打ち出すべきは職場の雰囲気の良さではなく、レガシー環境の刷新、学習時間の業務内確保、スキルの可視化と処遇への接続である。

あくまで一民間企業の調査であり、対象も261名と限られる点は割り引いて読む必要がある。ただし自社のエンジニアが「静かに次を準備している」可能性を前提に、育成投資を定着施策として設計し直す価値はある。

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