OJTとOff-JTの違い【2026年最新】実施率・費用データと使い分け・助成金の対象

最終更新日:2026.09.03

人材育成の設計でまず迷うのが「OJT(オンザジョブトレーニング)」と「Off-JT(職場外訓練)」の使い分けです。

この記事では、厚生労働省の調査で用いられる定義の違い、2026年7月に公表された最新データが示す実施率と費用の実態、そして自社の育成計画にどう配分するかの考え方を整理します。

助成金の対象になる範囲もあわせて確認します。

OJTとOff-JTの違い|厚労省の定義で押さえる

厚生労働省の「能力開発基本調査」では、両者を次のように区別しています。まず「計画的なOJT」は、日常の業務に就きながら行う教育訓練のうち、教育訓練計画を作成して対象者・期間・内容・指導担当者などを具体的に定め、段階的・継続的に実施するものを指します。

つまり、先輩が隣で教える日常的な指導のすべてがOJTとして数えられるわけではなく、計画に基づいて意図的に設計されている点が要件になります。

一方の「Off-JT」は、業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練です。社内で実施する集合研修も、外部のセミナーや講座への派遣も、業務を離れて行うものであればOff-JTに含まれます。

この線引きを曖昧にしたまま「うちはOJT中心です」と説明している企業は少なくありませんが、計画書も指導担当者も定めていない場合、調査上の「計画的なOJT」には該当しません。

育成の実態を点検する最初のステップは、自社の取り組みがどちらに分類されるかを整理することです。

比較表|OJTとOff-JTの特性の違い

両者は優劣ではなく役割が異なります。主な違いを整理すると次のとおりです。

比較項目計画的なOJTOff-JT
実施の場日常業務のなか業務を離れた研修・講座
身につきやすいもの自社固有の業務手順・実務の勘所体系的な知識・他社にも通用する汎用スキル
直接コスト低い(指導者の時間が主な負担)受講料・教材費・移動費が発生
品質のばらつき指導担当者の力量に左右されやすい内容が標準化され均質になりやすい
対象人数少人数・個別対応向き多人数への一斉展開に向く
効果測定業務成果に紐づくが切り分けが難しいテスト・修了要件で把握しやすい
新領域への対応社内に知見がないと教えられない社外の知見を取り込める

リスキリングのように社内に前例のない領域を扱う場合、OJTだけでは着手が難しくなります。まずOff-JTで共通言語をつくり、その後に実務でOJTとして定着させる順序が現実的です。

最新データ|実施率は微減、Off-JT費用は増加

厚生労働省が2026年7月31日に公表した令和7年度「能力開発基本調査」(令和7年10月1日時点、企業7,452社・事業所7,194か所・個人20,127人が対象)は、両者の実施状況を次のように示しています。

計画的なOJTを正社員に対して実施した事業所は60.6%で前回より0.5ポイント低下、正社員以外に対しては25.1%で2.0ポイント低下しました。

個人調査では、Off-JTを受講した労働者は37.3%で0.3ポイント上昇した一方、自己啓発を行った労働者は35.5%で1.3ポイント低下しています。

Off-JTまたは自己啓発のいずれかを行った労働者は45.9%にとどまりました。

費用面では対照的な動きが見られます。教育訓練費用(Off-JT費用または自己啓発支援費用)を支出した企業は54.4%で0.5ポイント低下したものの、Off-JT費用の労働者一人当たり平均額は2.0万円と前回より0.5万円増えました。

自己啓発支援費用は0.4万円で横ばいです。支出する企業は減りながら、支出する企業は単価を上げている構図で、投資の集中が進んでいるとみられます。

なお、事業所ベースのOff-JT実施率は前年度の令和6年度調査で全体73.8%(正社員71.6%)でした。

能力開発や人材育成に問題があるとする事業所は80.1%と高止まりしており、正社員へのキャリアコンサルティング導入は48.4%、教育訓練休暇制度を導入している企業は5.7%と、制度面の整備はなお途上です。

使い分けの考え方と、助成金で押さえる注意点

設計の出発点は「そのスキルが自社固有か、汎用か」の見極めです。自社の商品知識や業務プロセスのように社内にしか答えがないものはOJTが適し、生成AIの活用やデータ分析、法改正対応のように社外に標準的な知見があるものはOff-JTが効率的です。

そのうえで、Off-JTで学んだ内容を実務で使う場面を上司が意図的につくる「接続」を設計しないと、研修が受けっぱなしで終わります。

計画的なOJTの要件である計画書・期間・指導担当者の明確化は、この接続を仕組みにする手段でもあります。

費用負担の軽減策として、厚生労働省の「人材開発支援助成金」があります。同助成金は現在、人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなど複数のコースで構成されており、人材育成支援コースには厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練を対象とする区分も設けられています。

ただし対象となる訓練時間や手続きの期限はコースごとに異なり、要件は改正されることがあります。申請を検討する際は、必ず最新のコース別パンフレットなど公式情報で対象範囲と期限を確認してください。

日常のOJTがそのまま助成対象になるわけではない点にも注意が必要です。

まとめ|「どちらか」ではなく配分を設計する

OJTとOff-JTは代替関係ではなく補完関係にあります。汎用知識はOff-JTで一気に底上げし、自社固有の実務は計画的なOJTで定着させる。

この二層構造を職種ごとに配分し、計画書として明文化することが、実施率の微減が続くなかで育成成果を確保する現実的な打ち手になります。

まずは自社のOJTが「計画的」の要件を満たしているかを点検するところから始めることが重要です。

リスキリングドットコムの視点

リスキリングドットコムとしては、今回の調査で最も注目すべきは「支出企業は減り、一人当たり単価は上がった」という組み合わせだと考えます。

これは全社一律の研修から、対象を絞った重点投資へ舵を切る企業が増えている兆候と読めます。合理的な判断ではありますが、能力開発に問題があるとする事業所が80.1%に達している事実と重ね合わせると、投資から外れた層の学習機会がさらに細るリスクも見えてきます。

特に計画的なOJTの実施率は正社員以外で25.1%まで下がっており、非正規で働く人の育成が構造的に手薄です。

人手不足が続く環境では、この層のスキル底上げが定着率にも直結します。Off-JTの予算配分を議論する前に、まず自社のOJTが計画として存在しているかを確認する。

地味ですが、費用をかけずに着手できる最も効果的な一手だと考えます。(本段落は当サイトの見解です)

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