1on1ミーティングの進め方【2026年最新】導入5ステップと頻度・時間の目安
最終更新日:2026.09.10
1on1ミーティングは多くの企業に広がりましたが、「何を話せばよいか分からない」「予定が入っても流れてしまう」といった声は今も根強く残っています。
この記事では、2026年時点の公的統計と最新の民間調査をもとに、1on1の導入から定着までの5ステップ、効果が出やすい頻度・時間の目安、形骸化を防ぐ運用の注意点を整理します。
1on1ミーティングとは|2026年の実施状況
1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で定期的に行う短時間の対話を指します。半期や通期の実績を確認する評価面談とは目的が異なり、部下の経験の振り返り、キャリアの見通し、コンディションなどを扱う「部下のための時間」として設計する点が特徴です。
背景には制度面の要請もあります。職業能力開発促進法第10条の3は、事業主が労働者の自発的な職業能力の開発・向上を促進するため、必要に応じて情報の提供やキャリアコンサルティングの機会の確保などの援助を行うものとしています。
1on1そのものが法律上のキャリアコンサルティングにあたるわけではありませんが、日常業務のなかでキャリアの話題を扱う場として位置づける企業が増えています。
もっとも、仕組みの整備は足踏みしています。厚生労働省が2026年7月31日に公表した令和7年度「能力開発基本調査」によると、キャリアコンサルティングを行うしくみを正社員に対して導入している事業所は48.4%で、前回より1.0ポイント低下しました。
正社員以外では30.1%(同1.3ポイント低下)です。計画的なOJTを正社員に実施した事業所も60.6%と0.5ポイント下がり、能力開発や人材育成に「何らかの問題がある」とする事業所は80.1%にのぼります。
現場の頻度感も調査に表れています。1on1支援サービスを手がけるmentoが2026年8月26日に発表した企業調査(2026年7月実施、従業員100名以上の企業に勤める課長393名)では、1on1の実施頻度は「月1回」が33.6%で最も多く、「月2〜3回」18.6%、「週1回以上」10.2%、「実施していない」8.4%でした。
キャリアについて「よく話せている」とした管理職は35.6%にとどまり、「話したいが話せていない」が53.6%を占めています。
1on1の進め方 5ステップ
導入でつまずく企業の多くは、目的の共有と運用ルールの設計を飛ばして「まず全社で始める」ところから入っています。
次の順序で進めると、上司の負担と現場の納得感を両立させやすくなります。
- 目的と対象範囲を決める:育成・キャリア支援・定着のどれを主目的にするかを言語化し、評価面談や業務報告と役割を切り分けます。全社一斉ではなく、特定部門やマネジメント層から小さく始めると検証しやすくなります。
- 頻度・時間・実施ルールを決める:月あたりの回数、1回の所要時間、リスケジュール時の扱い、記録の残し方を先に決めます。管理職1人あたりの部下数から総所要時間を試算し、既存業務との整理までセットで検討することが重要です。
- テーマの型を用意する:話題は部下が選ぶ前提としつつ、業務の振り返り、スキル・学習、キャリア、体調・働き方といった選択肢を提示します。白紙から始めると雑談か進捗確認に流れやすいためです。
- 管理職のトレーニングと支援を行う:傾聴と問いかけの基本、話しすぎないための時間配分、キャリアの話題の扱い方を研修や実践支援で補います。上司自身が上位者との1on1を受けている状態をつくることも有効とされます。
- 記録と振り返りで改善する:実施率だけでなく、部下側の満足度やキャリアの話題の有無をサーベイで測り、四半期ごとに運用ルールを見直します。数字が伸びない部門には個別に支援を入れる運用が求められます。
頻度と時間の目安|月2〜3回・30分以上1時間未満
頻度と時間の設計には参考になるデータがあります。パーソル総合研究所が2025年2月27日に公表した「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」(2024年6月実施、直近半年間で1on1を実施した正社員3,000名)では、部下の成長度が最も高かったのは「月2〜3回以上」かつ「1回あたり30分以上1時間未満」の組み合わせ(7.4点)でした。
1回の時間を長くすれば良いわけではないとしています。
テーマを誰が決めるかでも差が出ています。同調査では、部下がテーマを設定する場合の成長度は6.9点、上司が設定する場合は6.4点でした。
一方で、直近半年に1on1を経験した部下は55.7%、平均実施頻度は月0.8回と報告されており、推奨される頻度と実態には開きがあります。
形骸化を防ぐ運用と注意点
第一に、評価や進捗の詰めの場にしないことです。評価に直結すると部下は課題や不安を出しにくくなり、対話の質が下がります。
評価面談とは時期・目的・記録の扱いを分けて周知することが重要です。
第二に、管理職の負荷と評価軸を同時に見直すことです。前掲のmento調査では、管理職として評価されると感じる項目は「チーム成果を出すこと」が57.5%、「部下の育成・キャリア支援」が50.9%でした。
育成が評価に結びつきにくい状態のまま回数だけ増やすと、後回しにされやすくなります。
第三に、頻度の目標だけを追わないことです。実施率が上がっても、キャリアや本音が扱われていなければ効果は見えにくくなります。
実施率と併せて、部下側の実感を測る指標を置くことが求められます。
まとめ|導入前に決めておく3点
1on1を機能させるために先に決めておきたいのは、(1)主目的と評価面談との切り分け、(2)頻度・時間・記録のルール、(3)テーマは部下が決めるという原則の3点です。
参考値としては月2〜3回・1回30分以上1時間未満が挙げられますが、部下数や業務特性によって現実的な水準は変わります。
小さく始めて指標で確かめ、四半期単位で調整する進め方が現実的です。
リスキリングドットコムの視点
リスキリングドットコムとしては、1on1を「コミュニケーション施策」ではなく「学びの起点」として設計し直す余地が大きいと考えます。
能力開発基本調査でキャリアコンサルティングの仕組みも計画的OJTも前回より低下し、人材育成に問題を抱える事業所が80.1%に達している状況では、研修制度を増やすより先に、部下が自分の課題を言語化できる場を確保するほうが費用対効果は高いと見ています。
その際の要点は、対話の中身を学習行動につなげることです。テーマを部下が決める運用は、裏を返せば「何を学び直すか」を本人が決める訓練にもなります。
あわせて、育成やキャリア支援を管理職の評価に組み込み、時間を使う正当性を制度側から与えることが定着の条件になるという見方です。
以上は当サイトの見解であり、効果は組織の状況によって異なります。



