AI推進法とは【2026年最新】企業の責務・罰則の有無と第Ⅱ期AI基本計画を解説

最終更新日:2026.09.15

「AI推進法(AI法)が施行されたが、自社は何をすればよいのか」。人事・経営の現場でこうした疑問が増えています。

この記事では、AI法の基本、罰則の有無と企業の責務、2026年7月に閣議決定された第Ⅱ期人工知能基本計画、企業向けの指針・ガイドラインとの関係を、内閣府・経済産業省などの公式資料をもとに整理します。

AI推進法(AI法)とは

AI法の正式名称は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」です。内閣府によると、2025年5月28日に成立し、6月4日に公布・一部施行、9月1日に全面施行されました。

目的は国民生活の向上と国民経済の発展で、AIのイノベーションを促進しつつリスクに対応することを掲げています。

推進体制として、内閣総理大臣を本部長、全ての国務大臣を構成員とする「人工知能戦略本部」が内閣に置かれています。

政府はこの本部の案をもとに、施策の基本方針となる「人工知能基本計画」を定める仕組みです。

罰則はある?企業に課される責務

e-Gov法令検索で公開されている条文には、違反に対する罰則規定は設けられていません。いわゆる規制法ではなく、研究開発と活用を後押しする「推進法」の性格が強い法律です。

一方で、第7条はAIを事業活動で活用しようとする者を「活用事業者」と定め、積極的な活用による事業の効率化・高度化や新産業の創出に努めること、国や地方公共団体の施策に協力することを求めています。

また第16条では、国が権利利益の侵害が生じた事案を分析し、その結果に基づき活用事業者などに指導・助言・情報提供を行うと規定しています。

罰則がないことは、何もしなくてよいという意味ではない点に注意が必要です。

法律・基本計画・指針・ガイドラインの関係

AI法の周辺には、企業が参照すべき文書が複数あります。位置付けと最新の決定日を一覧にしました。

文書決定・公表位置付けと企業への関係
AI法2025年9月1日 全面施行基本理念、各主体の責務、戦略本部の設置などを定める法律。罰則規定なし
第Ⅱ期 人工知能基本計画2026年7月14日 閣議決定政府が実施する施策の基本方針。当面は毎年変更し、KPI等でモニタリングするとしている
適正性確保に関する指針2025年12月19日 人工知能戦略本部決定AI法第13条に基づく指針。事業者の自主的・能動的な取組を促す
AI事業者ガイドライン 第1.2版2026年3月31日 総務省・経済産業省AI開発者・提供者・利用者別の取組事項を示す実務書。チェックリスト等の付属資料あり

第Ⅱ期基本計画は副題を「日本AX、より強く、より豊かに」とし、「AIを使う」「AIを創る」「AIの信頼性を高める」「AIと協働する」の4方針を掲げています。

人材面では、AI実装人材の育成・確保、全ての国民のAIリテラシー向上、リ・スキリング支援が明記されました。

企業が備える3つのこと

指針とガイドラインの内容を踏まえると、一般的な事業会社が優先して取り組みたいのは次の3点です。

  1. 自社の立場を確認する:AI事業者ガイドラインは主体を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」の3つに分けています。生成AIを業務で使うだけの企業は主に「AI利用者」の事項が対象です。
  2. AIガバナンスを構築・運用する:指針は活用事業者に対し、AIガバナンスの構築・運用、透明性の確保、安全性の確保などを求めています。利用ルールや、個人情報・機密情報を不適切に入力しない仕組みづくりが出発点です。
  3. 社員のAIリテラシーを高める:ガイドラインの10の「共通の指針」には「教育・リテラシー」が含まれます。AIの出力を人の評価の参考にする場合は、人間による合理的な判断のもとで説明責任を果たすことも示されています。

基本計画は毎年の変更が予定され、AI法を含む制度も不断に見直すとされています。社内ルールは一度作って終わりにせず、最新の公式資料で定期的に確認することが重要です。

リスキリングドットコムの視点

以下はリスキリングドットコムとしての見解です。AI法に罰則がないことから、対応を後回しにする企業もあるかもしれません。

しかし法律が求めているのは「使わないこと」ではなく「適正に使いこなすこと」であり、その成否は現場の一人ひとりのリテラシーに左右されます。

第Ⅱ期基本計画がリ・スキリング支援や全ての国民のAIリテラシー向上を明記したことは、人材育成がAI政策の中核に位置付けられたことの表れと考えます。

人事部門としては、情報システム部門や法務と連携し、利用ルールの整備と研修を一体で設計することが求められます。

ガイドライン付属のチェックリストを研修教材として活用するのも一案です。

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