人事評価制度の作り方【2026年最新】設計5ステップと10月改正の注意点

最終更新日:2026.09.29

人事評価制度をこれからつくる、あるいは古くなった仕組みを組み直したい——そんな相談が増えています。2026年10月にはパートタイム・有期雇用労働者に関するルールが改正され、賃金を決める際に「職務内容や成果、能力等を公正に評価」することが、これまで以上に明確に求められます。

この記事では、人事評価制度の作り方を設計5ステップで整理し、評価項目の決め方と、2026年時点で押さえるべき法令・制度の注意点をまとめます。

人事評価制度とは|2026年に見直しが進む背景

人事評価制度とは、従業員の仕事ぶりを一定の基準で確認し、その結果を育成・配置・処遇に結びつける仕組みのことです。

評価そのものが目的ではなく、「何を評価するか」を示すことで、会社が求める行動や身につけてほしいスキルを社内に伝える役割を持ちます。

評価の土台になるのが等級制度です。労務行政研究所が2026年6月3日に公表した「企業における人事労務関連制度の実施状況」(回答298社)によると、職能資格制度の導入率は53.7%、役割等級制度は46.6%、職務等級制度は35.9%でした。

とくに職務等級制度は2013年調査の12.6%から35.9%へと伸びており、同研究所は仕事・役割基準の制度が拡大傾向にあるとしています。

政策面でも、内閣官房・経済産業省・厚生労働省は2024年8月28日に「ジョブ型人事指針」を公表し、導入企業20社の事例を公開しています。

同指針は、職務ごとに必要なスキルを明らかにすることで、従業員が自らの意思でリスキリングを行い職務を選択できる制度へ移行していくことが重要だとしたうえで、企業の実態は千差万別であり、自社のスタイルに合った導入方法を各社が検討できることが大切だとしています。

制度を丸ごと真似るのではなく、自社の目的に合わせて設計することが出発点になります。

人事評価制度の作り方|設計5ステップ

  1. 目的と対象を決める:育成のためか、処遇の納得感のためか、配置・登用のためかを先に一つに絞ります。目的が曖昧なまま項目を作ると、評価が「点数をつける作業」になりがちです。あわせて、対象とする等級・職種、実施頻度(半期・通年)を決めます。
  2. 等級制度を整える:評価は「どの等級に求める水準か」と対で意味を持ちます。職能(人の能力)・役割(担う役割の大きさ)・職務(仕事の中身)のどれを軸にするかを決め、等級ごとの期待水準を1〜2行で言語化します。
  3. 評価項目と基準をつくる:等級ごとに評価項目を置き、各項目を行動レベルの文章で定義します。「積極性がある」ではなく「担当外の課題を自ら提起し、改善案を出している」のように、観察できる事実で書くと評価者間のばらつきが減ります。
  4. 運用の流れと反映ルールを決める:期初の目標設定、中間面談、期末評価、フィードバック面談までの日程と、誰が一次・二次評価を行うかを定めます。評価結果を賞与・昇給・昇格にどう反映するかを決め、就業規則・賃金規程の記載と整合させます。
  5. 評価者を訓練し、運用しながら直す:評価者研修で基準の読み合わせと事例演習を行い、部門間の甘辛差を調整する場を設けます。初年度から完成形を目指さず、1年運用したうえで項目や様式を見直す前提で始めるほうが定着しやすくなります。

評価項目の決め方|業績・能力・情意の3軸で整理する

評価項目は、一般に「業績(成果)」「能力(職務遂行に必要な知識・技能)」「情意(勤務態度・協働姿勢)」の3つに整理すると設計しやすくなります。

管理職は業績と部下育成の比重を高く、若手は能力と情意の比重を高くするなど、等級によって配分を変えるのが一般的です。

ゼロから項目を起こすのが難しい場合は、厚生労働省が業種・職種別に整備している「職業能力評価基準」など、公的に公開されている指標を下敷きにする方法もあります。

自社の言葉に置き換えながら使うと、記述の粒度がそろいやすくなります。

リスキリングを進めたい企業では、能力評価の中に「学んだ内容を業務でどう使ったか」を入れる設計が有効です。

研修の受講そのものではなく、業務への適用を評価対象にすることで、学びが成果につながっているかを確認しやすくなります。

2026年10月のルール改正と、運用上の注意点

厚生労働省によると、2026年10月からパートタイム・有期雇用労働者に関するルールが3点改正されます。

第一に、雇い入れ時の労働条件明示事項に「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」が追加されます。

第二に、同一労働同一賃金ガイドラインが改正され、家族手当や住宅手当、夏季・冬季休暇などの具体例が追加・充実されます。

第三に、雇用管理上の措置として、待遇の相違の説明は資料を用いた口頭説明または資料の交付によって行うこととされ、賃金の決定にあたっては職務内容や成果、能力等を公正に評価することが求められます。

つまり、評価基準を文書化し、説明できる状態にしておくことが実務上の前提になります。あわせて、次の2点にも注意が必要です。

1つ目は就業規則との整合です。賃金の決定・計算の方法や昇給に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項とされているため(労働基準法第89条)、評価結果を賃金に反映する仕組みを作る際は、就業規則や賃金規程の記載と矛盾がないか確認します。

2つ目は不利益変更です。制度変更によって賃金が下がる従業員が生じる場合、労働契約法第9条・第10条を踏まえ、変更内容の合理性、従業員への周知、労使の話し合いが欠かせません。

まとめ

人事評価制度づくりは、目的の決定から始まり、等級・評価項目・運用ルール・評価者育成という順番で積み上げるのが基本です。

2026年10月の改正により、評価と処遇の理由を説明する場面はさらに増えます。制度の精緻さより、「何を評価するかを言葉にし、その通りに運用し、説明できる」状態をつくることが先決です。

各制度の要件や様式は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省の公式サイトで確認することをおすすめします。

リスキリングドットコムの視点

ここからは編集部の見解です。リスキリングドットコムとしては、人事評価制度を「差をつけるための道具」ではなく、「会社が何を伸ばしてほしいのかを社内に示す装置」として捉え直すことが重要だと考えます。

職務等級制度が2013年の12.6%から2026年には35.9%へと広がった背景には、仕事の中身を言語化しなければ人が動かない、という現場の実感があるはずです。

そして2026年10月の改正は、評価の理由を説明できるようにすることを、制度運用の前提として押し上げました。

説明できる評価をつくる作業は、結果として「どんなスキルに価値があるのか」を経営が定義し直す作業でもあります。

評価項目に学習の適用を組み込めば、研修は「受けて終わり」から「使って評価される」へと変わります。制度の完成度を上げることより、社員が次に何を学べばよいか分かる評価表になっているかを、まず点検してみてはいかがでしょうか。

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