AI利用者への企業訓練、日本26.9%で米国の半分以下 2026年労働経済白書
最終更新日:2026.09.29
厚生労働省は2026年9月29日、「令和8年版 労働経済の分析(労働経済白書)」を公表しました。副題は「AI等技術革新が進む中での労働市場の現状と課題」で、AIを利用する労働者のうち企業による訓練を受けた人の割合が、日本は米英独と比べて低い水準にとどまることを示しています。
ニュースの概要
白書の第Ⅱ部は、AIが経済成長や労働市場、人材育成に与える影響を分析しています。1995〜2004年のIT導入期に日本の実質GDP成長率は年平均1.0%で、米国の3.4%の3分の1程度だったとし、IT投資の遅れが成長を制約した可能性を踏まえ、積極的なAI投資の重要性を指摘しました。
一方、個人の生成AI利用率は日本が26.7%で、OECD平均の36.8%を下回ります。AIを利用する労働者のうち企業による訓練等があったと答えた割合は、金融・保険業で米国60.5%に対し日本26.9%、製造業で米国62.7%に対し日本33.3%でした。
また、労使双方が人的資本投資を行っているAI利用者ほど、AIによる「労働の質」の改善を報告していると分析しています。
ただし、数年先の事業展開を見据えて必要な人材を想定しながら能力開発を行う企業は、300人以上でも14.2%、9人以下では8.0%にとどまります。
雇用面では、AIが大きな雇用減少をもたらしている証左は現時点で確認されないとする一方、職種によって影響が異なる可能性に触れています。
さらに、論理的思考力やコミュニケーション能力など、特定の業務にとどまらない「メタスキル」が高い人ほど賃金が高い傾向があるとしました。
白書は、この関係は因果関係まで特定したものではないと注記しています。
リスキリングドットコムの見解
ここからはリスキリングドットコムとしての見解です。今回の白書で注目したいのは、AIツールの導入そのものよりも「使う人への訓練」で海外との差が大きい点です。
金融・製造のいずれでも、日本の訓練経験の割合は米国の半分程度でした。
ツールを配っただけで活用が進まない企業は、まず業務ごとに「どこでAIを使うか」を決め、その業務を担う人への訓練を用意することが求められます。
あわせて、白書がリ・スキリングを行わない理由として挙げた「会社から必要なスキルの明示がない」への対応も欠かせません。
メタスキルは短期の研修だけでは身に付きにくい能力です。私たちは、AIの操作研修と並行して、問いを立てて検証する力や対話力を日々の業務の中で鍛える仕組みづくりが重要だと考えます。
経営戦略と人材戦略を結び付けることが、AI投資の効果を高める前提になるでしょう。



