欧米5カ国の賃金制度、国内でも職種で多様 JILPTがジョブ型検討へ文献調査

最終更新日:2026.09.30

労働政策研究・研修機構(JILPT)は2026年9月30日、ドイツ・フランス・スウェーデン・イギリス・アメリカの賃金制度と賃金決定の仕組みを文献調査で整理した資料シリーズNo.308「欧米諸国における賃金制度とその運用」を公表しました。

ニュースの概要

本資料は、諸外国の賃金制度と賃金決定について明らかにされている知見を整理し、今後の研究課題を明確にすることを目的とした文献調査です。

JILPTの研究員と大学・研究機関の研究者が執筆し、欧米5カ国を対象にしています。JILPTによると、ドイツでは最低賃金法、産業別労働協約、労使協議制が重層的に賃金を規律しており、職務評価や役職グレードが普及するとともに、グローバル標準の人事制度の適用も進んでいるとしています。

フランスは国・産業・企業の各レベルで賃金決定が相互に影響し、高水準の法定最低賃金(SMIC)と、拡張適用される産業別協約が大きな役割を果たしていると整理しました。

スウェーデンは高い組合組織率を背景に、産業別交渉と企業レベルの決定を組み合わせ、具体的な賃上げ数値を定めない「数値なし協約」によって企業への分権化が進んでいるとしています。

イギリスは企業が職務分析と市場賃金の情報を組み合わせて賃金を決めており、賃金情報の不透明さや男女間格差が政策課題になっていると指摘しました。

アメリカは外部労働市場の市場賃金を重視する「市場志向性」が特徴で、給与レンジを市場水準と連動させる仕組みが形成されているとしています。

そのうえでJILPTは、国ごとの違いに加え、同じ国の中でも労使関係の特徴などの影響により、職種等に応じて賃金制度や賃金決定の実態は多様であると結論づけています。

成果は職務給やジョブ型人事管理に関する企画立案等に活用される予定です。

リスキリングドットコムの見解

以下はリスキリングドットコムとしての見解です。日本では「ジョブ型=欧米型」とひとくくりに語られがちですが、今回の整理からは、欧米といっても協約中心のドイツ・フランス、分権化が進むスウェーデン、市場賃金を重視する英米と、仕組みがまったく異なることが読み取れます。

同じ国の中でも職種によって実態が多様だという結論は、特定の国の制度をそのまま移植するアプローチの限界を示しているように思われます。

リスキリングドットコムとしては、職務給を検討する企業には、まず自社の職種ごとに「何を基準に賃金を決めるか(職務価値か、市場水準か)」を言語化することが重要だと考えます。

あわせて、職務と賃金を結び付けるなら、社員が上位の職務へ移るための学び直しの道筋を用意することも求められます。

賃金制度改革とリスキリング施策を一体で設計する視点が、今後いっそう重要になるのではないでしょうか。

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