DX推進スキル標準とは【2026年最新】ver.2.0の6類型・17ロールを比較|人材育成への使い方

最終更新日:2026.10.22

DX推進スキル標準(DSS-P)は、DXを進める専門人材の「役割(ロール)」と「必要なスキル」を国が整理した指針です。

経済産業省とIPA(情報処理推進機構)は2026年4月16日に「デジタルスキル標準ver.2.0」を公表し、DX推進スキル標準の人材類型を5つから6つに広げました。

この記事では、ver.2.0の6類型・17ロールの違いを比較表で整理し、自社の人材育成にどう使うかを解説します。

DX推進スキル標準とは?DXリテラシー標準との違い

デジタルスキル標準(DSS)は、2つの標準で構成されています。1つは全てのビジネスパーソン(経営層を含む)が身につけるべき知識・スキルを示す「DXリテラシー標準(DSS-L)」です。

もう1つは、組織の中で専門性を持ってDXを推進する人材を対象にした「DX推進スキル標準(DSS-P)」です。

DXリテラシー標準は「Why(DXの背景)」「What(DXで活用されるデータ・技術)」「How(データ・技術の利活用)」と「マインド・スタンス」の4つの観点で学習の指針を示しています。

これに対してDX推進スキル標準は、DXの推進に必要な役割を「類型」と、その下位区分である「ロール」に分け、ロールごとに求められるスキルの重要度を定義しています。

全社員の底上げにはDSS-L、推進役の育成・採用にはDSS-Pを使う、と整理すると分かりやすいでしょう。

2026年4月のver.2.0で何が変わったか

IPAのプレス発表によると、改訂の背景には、AI活用の進展でデータの整備・利活用を担う役割の重要性が高まったことと、DXにビジネス変革や組織変革まで求められるようになったことがあります。

生成AIの普及を受けた改訂は2023年8月と2024年7月にも行われており、今回はそれに続く見直しです。

主な変更点は次のとおりです。

  • 「データマネジメント」類型を新設し、データスチュワード、データエンジニア、データアーキテクトの3ロールを定義(データエンジニアはデータサイエンティスト類型から移動)
  • ビジネスアーキテクト類型のロールを、ビジネスアーキテクト、ビジネスアナリスト、プロダクトマネージャーの3つに再定義
  • デザイナー類型でグラフィックデザイナーを削除し、コミュニケーションデザイナーを新設
  • データサイエンティスト類型にAIの実装・運用やAIガバナンスなどのスキルを追加
  • デザインマネジメント実践に関するスキルを追加し、DXリテラシー標準にも追記

6類型・17ロールの比較表

ver.2.0のDX推進スキル標準は、6つの類型と17のロールで構成されています。各ロールの責務をIPAの資料をもとに要約すると、次のようになります。

類型ロール主な役割(要約)
ビジネスアーキテクトビジネスアーキテクト/ビジネスアナリスト/プロダクトマネージャー経営戦略を事業構造と変革ロードマップに落とし込み、要求の整理や製品・サービスの成果責任を担う
デザイナーサービスデザイナー/UX/UIデザイナー/コミュニケーションデザイナー顧客価値を定義し、製品・サービスの体験や、ブランドの意義を伝えるコミュニケーションを設計する
データサイエンティストデータビジネスストラテジスト/データサイエンスプロフェッショナルデータ・AIの活用戦略を立て、データの処理・解析から業務変革やビジネス創出につながる知見を導く
データマネジメント(新設)データスチュワード/データエンジニア/データアーキテクトデータの品質・信頼性・安全性を確保し、データ整備やパイプライン、全社のデータアーキテクチャを設計する
ソフトウェアエンジニアフロントエンドエンジニア/バックエンドエンジニア/クラウドエンジニア/SRE/フィジカルコンピューティングエンジニアデジタルサービスを支えるソフトウェアの機能や、開発・運用環境の信頼性を実現する
サイバーセキュリティサイバーセキュリティマネージャー/サイバーセキュリティエンジニアデジタル活用に伴うセキュリティリスクを評価し、対策の管理・統制や導入・運用を担う
出典:IPA「デジタルスキル標準 ver.2.0」(2026年4月)のロール一覧をもとに編集部が要約

各ロールに必要なスキルは、全類型に共通する「共通スキルリスト」(5カテゴリー・13サブカテゴリー)から選び、ロールごとに重要度を示す仕組みです。

たとえば「データ整備・活用」カテゴリーには、データマネジメントやAI実装・運用といったサブカテゴリーが含まれています。

自社の人材育成に使う5つのステップ

DX推進スキル標準は、産業や職種を問わず使えるよう汎用的な表現で書かれています。そのため、そのまま当てはめるのではなく、自社の事業に合わせて具体化することが前提です。

標準の活用イメージをもとに、進め方の一例を示します。

  1. DXで実現したい経営ビジョンと戦略を確認し、必要な人材の方針を決める
  2. 17ロールの中から、自社が優先して備えるべきロールを選ぶ
  3. 選んだロールごとに、共通スキルリストを使って自社版の人材要件を定義する
  4. 現在の社員のスキルを要件と照らし、育成・採用・外部活用のどれで埋めるかを決める
  5. 全社員にはDXリテラシー標準をもとにした研修を行い、推進役が動きやすい土台をつくる

IPAは、標準に示した役割を最初から全て揃える必要はなく、事業規模やDXの進み具合に応じて一部の役割から揃えていくことを想定しています。

1人が複数のロールを兼ねたり、複数人で1つのロールを担ったりすることも想定されています。

活用するときの注意点

まず、ver.1系の資料をもとに作った人材要件やスキルマップは、ver.2.0のロール名と食い違う場合があります。

とくに「データエンジニア」の所属類型や、ビジネスアーキテクト類型・デザイナー類型のロール構成が変わっているため、社内資料や研修体系の表記を見直しておくと混乱を防げます。

次に、研修サービスや資格の中には、旧版の類型にもとづいて紹介しているものもあります。外部研修を選ぶ際は、どの版に対応しているかを確認するとよいでしょう。

標準本体と分冊版はIPAのWebサイトで公開されているので、最新の内容は公式資料で確認してください。

まとめ

DX推進スキル標準ver.2.0は、データマネジメント類型の新設により6類型・17ロールになりました。

AIを業務に生かすには、分析する人材だけでなく、データを整え、品質と安全性を保つ人材が欠かせないという考え方が反映されています。

まずは自社に必要なロールを絞り込み、人材要件と育成計画に落とし込むところから始めるのが現実的です。

リスキリングドットコムの視点

以下はリスキリングドットコムとしての意見です。今回の改訂で最も実務に響くのは、データマネジメント類型の新設だと考えます。

生成AIの導入が進む一方で、社内データが部署ごとにばらばらで、AIに安心して渡せないという悩みは多くの企業で聞かれます。

データスチュワードは、事業の現場を知る人が担うことを想定したロールです。IT部門の採用だけに頼らず、業務に詳しい既存社員をリスキリングで育てる道筋として、人事部門が主体的に検討する価値があるのではないでしょうか。

標準を「全部揃えるべき一覧」ではなく「自社の優先順位を決める地図」として使うことをおすすめします。

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