【対談】AIは「使うもの」ではなく「向き合うもの」
最終更新日:2026.04.10
インタビュアー:株式会社KIZASHI 吉田 圭佑
ゲスト:株式会社はぎもコンサルティング 代表取締役 萩森 まさ子
—萩森さんが語る、本質的なAI活用とは
“使える人”と“使われる人”を分ける、見えない境界線
吉田
今日はよろしくお願い申し上げます。まず最初に、生成AIパスポートを受ける前って、どれくらいAIを使われていたんですか?
萩森さん
正直に言うと、ほとんど使ってなかったですね。
周りで使っている人はいたので、やり方を聞いてちょっと触り始めたくらいのタイミングでした。その時にこの講座に出会って。
吉田
かなり初期の段階ですね。
萩森さん
そうですね。でも今振り返ると、あのタイミングが絶妙でした。
ある程度「触ったことがある」状態で受けたことで、一気に理解が深まったというか。受けた後は、使い方も向き合い方も大きく変わりました。

AIは「使える」だけでは足りない時代に入った
吉田
最近、ChatGPTを使っている人は増えましたよね。でも正直、「なんとなく使っている人」が多い印象もあります。
萩森さん
まさにそこがポイントで。
今の生成AIって、“使える人”と“理解して使っている人”で、アウトプットの質が全然違うんですよね。
吉田
たしかに。「それっぽい文章」は誰でも作れるけど、
“意図した成果”を出せるかは別の話ですよね。
萩森さん
そうなんです。
しかも問題はそれだけじゃなくて、著作権や情報漏洩などのリスクを知らずに使っているケースも多い。
実は生成AIって、
便利さと同時に“リスクを扱う技術”でもあるんですよね。
歴史を知ることで「信頼」が生まれる
吉田
具体的に、どのあたりが一番変わりましたか?
萩森さん
一番大きかったのは「歴史」と「成り立ち」です。
正直、ここまで深くやると思ってなかったんですけど、これが本当に良かった。
というのも、私、15年くらい前にAIの営業を受けたことがあって。当時は全然使い物にならなかったんですよ。
文字もまともに扱えないし、「これは無理だな」と思って、ずっと信用してなかった。
吉田
確かに、その印象を持ってる方は多いですよね。
萩森さん
そうなんです。でも今回その「うまくいかなかった時代」や「挫折の歴史」を知ったことで、
「今のAIがどれだけ進化しているのか」が腹落ちした。
その瞬間に、“あ、これは信頼できる”って感覚が生まれたんですよね。
便利さの裏にある“リスク”を扱えるか
吉田
信頼できるようになった、というのは大きいですね。
萩森さん
ただ、ここで一つ大事にしていることがあって。
「信頼しても、信用するな」
これは昔、上司に言われた言葉なんですけど、当時は正直、冷たい言葉だなと思っていたんです。でも今になって、意味がすごく分かるようになった。
吉田
AIにもそれが当てはまると。
萩森さん
完全に当てはまりますね。
AIって、嘘もつくし、知ったかぶりもする。でもそれを理解した上で使えば、これ以上ないパートナーになる。

生成AIは「個人スキル」から「組織インフラ」へ
吉田
経営視点で見ると、この流れってどう見ていますか?
萩森さん
完全に“インフラ化”ですね。
これからの組織は、
「AIを使える人がいる」ではなく、
“全員が一定レベルで使える前提”になる。
吉田
英語とかPCみたいな位置づけですね。
萩森さん
まさにそれです。
だからこそ、個人のスキルというより、
組織としての共通言語をどう持つか
が重要になる。
AIは「右腕」であり、マネジメント対象である
吉田
右腕、ですか。
萩森さん
はい。やっていることは、実はシンプルなんですよ。
マネジメントと全く同じで、
・誰に向けたものか(ペルソナ)
・何を達成したいのか(目的)
・何が事実なのか
これを整理して、プロンプトとして渡すだけ。
そうすると、AIは驚くほど精度高く応えてくれる。
“なんとなく使う”から“意図して使う”へ
吉田
使い手によって、アウトプットが変わるということですね。
萩森さん
むしろ、すべてはそこに尽きると思います。
怖いのは、「自分にとって都合のいい答え」を作れてしまうことなんです。
AIって優秀だから、プロンプト次第でいくらでも寄せてくる。
でもそれをやると、どんどん現実からズレていく。
だから私は、
・願望を入れすぎない
・事実ベースで入れる
・必ずエビデンスを確認する
この3つは徹底しています。最終判断は、必ず自分です。

プロンプトは“指示”ではなく“対話”である
吉田
すごく営業に近い考え方ですね。
萩森さん
まさに同じです。
営業も、「相手は誰か」「何を求めているか」を外したら、絶対にズレるじゃないですか。
AIも同じで、自分の言いたいことを押し付けた瞬間に、価値がなくなる。
だからこそ、ペルソナと目的に徹底的に向き合う必要がある。
吉田
ちなみに、萩森さんはプロンプトがかなり上手い印象ですが、その理由って何だと思いますか?
萩森さん
過去の経験ですね。
これまで、部下の資料を何百と校閲してきたし、プレゼンも修正してきたし、1on1で方向性も整えてきた。
それと全く同じなんですよ。
AIが出してきたものを見て、「これは違う」「ここをこう直そう」とフィードバックする。
つまり、プロンプトって“指示”じゃなくて“対話”なんですよね。
資格ではなく、“思考OS”を手に入れるという選択
吉田
最後に、これからAIを活用していきたい方に一言お願いします。
萩森さん
生成AIパスポートって、単なる資格ではなくて、
“AI時代の思考OSをインストールする手段”だと思っています。
・何を任せるのか
・どこまで信じるのか
・どう使えば価値になるのか
これを言語化できるかどうかで、5年後の仕事の質は大きく変わる。

AIは「使うもの」ではなく「向き合うもの」
萩森さん
「AIは使うものではなく、向き合うもの」
歴史を知り、限界を知り、可能性を知る。 その上で、信頼はするけど信用しない。
これができれば、AIは間違いなく最強のパートナーになります。
終わりに
「AIを使うかどうか」ではなく、
「どう使うか」で差がつく時代。
なんとなく使う側から、
“意図して成果を出す側”へ。
その一歩を踏み出すかどうかで、
これからのビジネスは大きく変わっていく。




