リスキリングの次に必要なのは「経験」|学びをキャリアにつなげる実践機会の重要性
最終更新日:2026.08.20
リスキリングへの関心が高まるなか、「何を学ぶか」「どの資格を取るか」に注目が集まりがちです。しかし、キャリア形成という視点で考えると、学習そのものはゴールではありません。
大切なのは、身につけた知識やスキルを実際の仕事で使い、それを経験として次のキャリアにつなげられるかです。これからのリスキリングでは、「学ぶ機会」だけでなく、その先にある「実践する機会」まで含めて考える必要があります。
「学んだ」と「仕事でできる」の間には距離がある
オンライン講座や資格取得など、社会人が新しい知識を学べる環境は以前より充実しています。一方で、新しい分野を学んだとしても、次のような壁に直面することがあります。
- 実務経験がない
- 自分にその仕事が向いているかわからない
- 転職するほどの自信がない
- 経験をどのように評価してもらえばよいかわからない
特に未経験の業界や職種へ移る場合、「知識を持っていること」と「実際に働けること」の間には一定の距離があります。だからこそ、これからのリスキリングには、学ぶ → 試す → 経験する → 振り返る → 次のキャリアにつなげるという循環が重要になります。

小さな「実践」がキャリアの選択肢を広げる
新しいキャリアを考えたとき、最初から転職だけを選択肢にする必要はありません。短期間の仕事、副業、社内での新しい業務への挑戦、プロジェクトへの参加など、小さな実践から始める方法もあります。
実際に仕事を経験することで、「自分に向いているのか」「どのスキルが不足しているのか」「さらに何を学ぶべきなのか」が見えやすくなります。これは、学習の前にすべてのキャリアプランを決める方法とは異なります。まず経験し、そこから必要な学びを見つける。こうした「経験起点」のリスキリングも、今後は重要になっていくでしょう。

学び・経験・キャリアをつなぐサービスも登場
こうした流れの一例として、スポットワークサービス「タイミー」を運営する株式会社タイミーは、正社員としての長期就業やキャリア形成を支援する「タイミーキャリアプラス」を展開しています。
同サービスでは、希望者に対してキャリア相談に加え、資格・免許取得やスキル習得を目的としたリスキリング講座、転職支援などを提供しています。公式サイトでは、フォークリフト、介護職員初任者研修、ITパスポートなどの講座も紹介されています。特徴的なのは、「学習」だけで完結させず、その後の仕事やキャリア形成までを一連の流れとして捉えている点です。
タイミーは2025年には、スポットワークでの勤務回数や勤務時間、業種、事業者からの評価などの勤務実績を履歴書として可視化する「タイミー履歴書」の機能も追加しています。ここから見えてくるのは、これまでの「学校や研修で学ぶ→就職する」という一方向のキャリア形成だけではなく、働きながら経験を蓄積し、その経験を次の仕事につなげるという新しい考え方です。
企業側にも求められる「経験を評価する視点」
この変化は、働く人だけの問題ではありません。企業の採用や人材育成においても、「どの会社に何年間在籍したか」「どの資格を持っているか」だけではなく、実際にどのような仕事を経験し、どのようなスキルを発揮してきたのかを見ることが重要になります。
リスキリングによって新しい能力を獲得した人材を活かすためには、企業側にも、「未経験だから採用しない」ではなく、「これまでの経験の中に活かせる能力はないか」という視点が求められます。
社内でも同様です。研修を受講した社員に新しい業務を任せなければ、せっかく身につけたスキルを使う機会がありません。リスキリング施策では、研修の受講人数や修了率だけでなく、学んだ後にどれだけ実践機会を提供できたかも重要な指標になっていくでしょう。
リスキリングドットコムの見解
これからのリスキリングで重要なのは、「何を学ばせるか」だけではありません。学んだことをどこで試し、その経験をどう評価し、次の仕事や配置につなげるのか。企業の人材育成でも、個人のキャリア形成でも、この一連の設計が重要です。
特にAIをはじめ技術変化が速い領域では、すべてを学んでから実務に入ることは難しくなっています。小さく学び、小さく実践し、経験から再び学ぶ。こうした循環をつくることが、これからのリスキリングを「研修」から「キャリア形成」へ変えていく鍵になるのではないでしょうか。



