令和8年版 厚生労働白書が示す2040年の人手不足──医療・介護・福祉に学ぶ「テクノロジー×リスキリング」
最終更新日:2026.09.30
2026年9月29日、厚生労働省が「令和8年版 厚生労働白書」を公表しました。第1部の特集テーマは「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」。2040年を見据えて深刻化する人手不足に、テクノロジーの活用と人材の育成でどう向き合うかを描いた内容です。
一見すると医療・介護・福祉に限った話に見えますが、「人手不足をテクノロジーと人材育成で乗り越える」という構図は、あらゆる業界の経営・人事に通じます。この記事では、白書の要点を整理したうえで、全産業に共通するリスキリングの示唆を読み解きます。
この記事で分かること
- 令和8年版 厚生労働白書の特集テーマと要点
- 2040年に向けた人手不足の深刻さ(介護職員の必要数)
- 「テクノロジー×現場のリスキリング」という全産業への示唆
※ 生成AIの活用が「利用は進むが組織的取組は追いつかない」現状は、令和8年版 情報通信白書が示した生成AI活用の壁もあわせてご覧ください。
令和8年版 厚生労働白書とは?特集の要点
結論から言うと、令和8年版 厚生労働白書(2026年9月29日公表)の特集は「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」で、2040年を見据えた人手不足に、ICT・AI・ロボットなどのテクノロジー活用による生産性向上で対応する方向性を示しています。
構成は大きく2つ。第1章で医療・介護・福祉の現場の現状と2040年に向けた課題を整理し、第2章でテクノロジー活用による生産性向上の取り組みを取り上げています。人が減っていく前提のなかで、限られた人数でも質の高いサービスを維持するにはどうするか——という問いが、白書全体を貫くテーマです。
2040年、人手不足はどれくらい深刻か?
白書によれば、介護職員は2040年度に約272万人が必要とされ、これは2026年度から約57万人の増加にあたります。働き手全体が減っていくなかでこれだけの人材を新たに確保するのは容易ではなく、採用だけで穴を埋める発想には限界があります。

この構図は、医療・介護・福祉に限りません。少子高齢化で生産年齢人口が減り続ける日本では、多くの業界が同じ「構造的な人手不足」に直面します。だからこそ、白書は人を増やすことと並行して、一人ひとりの生産性を高める方向に軸足を置いているのです。
白書が示す方向性──「テクノロジー活用 × 人材育成」
白書が生産性向上の柱に据えるのが、ICT・AI・ロボットといったテクノロジーの活用です。介護記録の電子化、見守りセンサー、介護ロボット、AIによる業務支援などにより、間接業務を減らし、人にしかできないケアに時間を振り向ける——という考え方です。
ただし、機器やシステムは「導入すれば効果が出る」ものではありません。現場がそれを使いこなせて初めて、生産性は上がります。操作に習熟し、業務フローを見直し、データを活かす。つまりテクノロジー活用の前提として、現場人材のリスキリング(学び直し)が欠かせないのです。スキルを可視化して育成につなげる考え方は、「スキルの見える化」が人事の重要課題にでも解説しています。
医療・介護・福祉に限らない、全産業への3つの示唆
この白書から、業界を問わず経営・人事が読み取っておきたい教訓は次の3つです。

- 人手不足は全産業共通の経営課題:2040年に向けて働き手は減り続ける。採用だけでは補えず、今いる人材をどう活かすかが問われる。
- テクノロジーは「導入」より「使いこなす」:ICT・AI・ロボットは入れて終わりではない。現場が使いこなして初めて生産性が上がる。
- 現場のリスキリングが分かれ目:テクノロジーを扱える人材を育てられるかが、生産性と人材定着を左右する。
国レベルでも、AI・半導体などの重点分野で人材育成を後押しする動きが進んでいます(参考:「リスキリング・人材確保推進会議」始動──戦略17分野と国の認定制度)。人手不足への対応は、もはや一部業界の課題ではなく、国と企業が同時に取り組むテーマになっています。
リスキリングドットコムの見解
ここまでは白書の事実を整理しました。ここからは当メディアの見解です。今回の白書が医療・介護・福祉を題材にしながら投げかけているのは、「人が足りない時代の答えは、採用ではなく“今いる人材×テクノロジー”の掛け算にある」というメッセージだと受け止めています。
そして、その掛け算を成立させる要が現場のリスキリングです。どれだけ優れたツールを入れても、使いこなす人が育たなければ生産性は上がりません。逆に、学び直しを支える環境を整えられれば、限られた人数でも成果を伸ばし、働く人の負担も減らせます。人手不足を「採用の問題」ではなく「育成の問題」として捉え直せるかどうか。そこに、これからの企業の分かれ目があります。
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公開日:2026年9月30日



