「NexTech Week 2024【春展】」生成AI時代におけるリスキリングの重要性を見つめ直す3日間

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  • イベントレポート

最終更新日:2024.06.12

「NexTech Week 2024【春展】」生成AI時代におけるリスキリングの重要性を見つめ直す3日間

2024年5月22日から24日にかけて、東京ビッグサイトにてAIなど最新テクノロジーに関する展示会「NexTech Week 2024」が開催された。

 

生成AI時代を生きるすべての人のリスキリングを推進する株式会社KIZASHIは、会場内にて最大規模のブースを出展。ブース内の特設ステージにて、生成AI、リスキリング、人材育成などのキーパーソンによるトークセッション・講演を実施した。その様子をハイライトにてお送りする。

リスキリングの価値を多くの人に届ける雑誌『RESKILLING』創刊

『RESKILLING』編集長 奥山翼(写真左)、よしあき氏(写真中央)、株式会社KIZASHI 取締役 堤雄三(写真右)

KIZASHIは5月21日、雑誌『RESKILLING』を創刊。その創刊記念記者発表会が22日に開催された。

AIの台頭とDX化ニーズの高まりに対して、新しい知見を獲得するためにリスキリングは必要不可欠である。その問題意識から、KIZASHIは幅広い世代にリスキリングの重要性を啓蒙するため、同誌の刊行を決定した。

記念すべきVol.1では、Z世代から圧倒的な人気を誇り“よしミチ”の愛称で知られる姉弟モデル、よしあき氏とミチ氏を表紙に起用。記者発表会では、リスキリングアンバサダーに就任したよしあき氏が登壇した。

よしあき氏は現在、世界のファッションやトレンドについて会話できるようになるため、英語の習得に奮闘中だと語った。

「好きなことや興味があるジャンルを学ぶことは、自分の可能性を広げるきっかけになります。ぜひ一緒にリスキリングに挑戦してみてください。」(よしあき氏)

生成AIの最新動向と人材教育の重要性

株式会社デジライズ 代表取締役 茶圓将裕氏(写真左)、Michikusa株式会社 代表取締役 臼井拓水氏(写真中央)、生成AI活用普及協会協議委員 協議員 小澤健祐氏(写真右)

23日のセッションでは、小澤健祐氏と臼井拓水氏、茶圓将裕氏の3名が登壇。小澤氏がファシリテーターとなり、生成AIの最新動向やデジタル人材育成で重要なことが語り尽くされた。

現在、主要な生成AIといえばChatGPT、Gemini、そしてClaudeだが、いずれも短期間で驚きの進化を遂げている。例えば「Gemini 1.5 pro」は膨大な出力結果の生成が可能なほか、マルチモーダル性能(テキスト、音声、画像など複数のデータを複合的に判断を行なう機能)が非常に高い。「ChatGPT-4o(GPT-4o)」は、回答速度と回答精度が大幅に向上した。

それぞれの特性を活かし、日本語の文章作成は「Claude 3 Opus」ー、動画解析や過去のSNS投稿の分析は「Gemini 1.5 Pro」、それ以外は「GPT-4o」と使い分けていると登壇者は話す。なお、各生成AIの出力結果は、デジライズ社がGMOインターネットグループ株式会社と手がけた「教えて.AI」で検証可能だ。

生成AIは、業務効率化に対して即効性が非常に高い。デジライズ社はGMO社の全社研修をおこなっており、合計で年間9万時間の業務削減を成功させた。これだけのインパクトを生み出すには、従業員のスキルアップが欠かせない。企業や個人に生成AIの研修を実施している茶圓氏と臼井氏に、研修で意識していることを聞いた。

「重要なのは、生成AIの基礎から理解させてから、さまざまな業務に活用できる土台を作ることです。私はワークショップを通じて、画像生成などから生成AIの面白さを体験し、楽しんで覚えることを意識しています。メンバーが自主的に学べるようになるまで、伴走し支援することが大切です」(茶圓氏)

「生成AIは仕事に役立つ道具ではなく、自分で“やってみたい”思ったことを実現できるツールです。研修やSNSの発信を通じて、その醍醐味を多くの人々に伝えていきたいと思っています。」(臼井氏)

生成AI時代におけるキャリアコンサルタントの役割

日本リスキリングキャリアコンサルタント協議会 理事長 古今堂靖氏(写真左)、一般社団法人ジャパンリスキリングイニシアチブ 代表理事 後藤宗明氏(写真中央)、株式会社カケダス代表取締役 渋川駿伍氏(写真右)

同じく23日には、後藤宗明氏、古今堂靖氏、渋川駿伍氏が登壇。生成AI時代におけるリスキリングの重要性と、キャリアコンサルタントの必要性について深堀りされた。

リスキリングは、生成AIやロボットの導入による「技術的失業」を防ぎ、労働者のアップデートを促進する手段として世界中から注目されている。後藤氏は、リスキリングは企業と個人の生存戦略であると話す。また渋川氏は、リスキリングは日本の未来を決定する分水嶺になると指摘した。

一方、日本ではリスキリングで得たスキルを活かす場所や昇給・昇格の仕組みが整備されていないなど、課題も多く抱える。今後、多くの労働者がリスキリングやキャリアに悩むこととなるだろう。彼ら/彼女らを支援する存在として、関心を集めているのがキャリアコンサルタントだ。

産業の構造変化と人材移動が活発化することが予想されるこれからの生成AI時代において、人々の不安に寄り添いキャリア形成をサポートするキャリアコンサルタントの担う役割は非常に重要だ。

一方、キャリアコンサルタントはデジタルスキルや成長産業に関する知識が不足しているという課題も抱えている。後藤氏が委員を務める有識者会議「日経リスキリングコンソーシアム・アドバイザリーボード」も、5月に発表したリスキリングに関する提言で同件について言及された。

「キャリアコンサルタントが新しい分野の知識・スキルを習得することで、アドバイスができる幅は大きく広がります。その観点から、キャリアコンサルタントのリスキリング支援の必要性に私たちは着目しました。」(後藤)。

古今堂氏と渋川氏は、日本リスキリングキャリアコンサルタント協議会を通じて生成A社会に対応できるキャリアコンサルタントの養成に務めている。両氏はその活動を通じて、現状の打開を図る。

「私たちは6月末より、キャリアコンサルタントがDXや生成AI、リスキリングについて学ぶ資格制度をスタートさせます。この活動を通じて、キャリアコンサルタントがリスキリングに取り組む人々に寄り添える資格にしたいと思います。」(古今堂氏)

「これからの時代、率先してリスキリングを体現している姿こそが、キャリアコンサルタントの目指すべき姿です。」(渋川氏)