リスキリングはROIの最も高い施策。CROが語る企業の生き残り戦略

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最終更新日:2024.06.26

デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せる中、中堅企業にとって社員のデジタルスキル向上及びDX推進が急務となっている。しかし、DX人材育成及びDXを推進する上で、企業はさまざまな課題に直面している。

シェアエックス株式会社は、DX人材を育成(リスキリング)し企業のDXを推進するサービス「Reskilling to DX」を展開。更に代表取締役の中川氏は、リスキリングを経営観点から解決するために支援先企業のCRO(最高リスキリング責任者)という新たな役職に就任する形で、持続可能なリスキリング体制の構築に尽力している。

多くの地方中小企業と接してきた中川氏に、中堅企業や個人はリスキリングとどう向き合うべきなのか、どのような意識でリスキリングを進めるべきなのかを伺った。

・シェアエックス株式会社公式ホームページhttps://www.share-x.city/company
・「Reskilling to DX」サービス概要:https://www.share-x.city/service

経営課題解決の最適解のひとつがリスキリング

多くの企業にとって、リスキリングの目的はDXの推進にある。中川氏は、DXもあくまでも売上拡大、もしくはコスト削減を目的に据えないといけないと話す。

「経営者の大半は、リスキリングによるDX人材育成、DX推進は重要性の高い課題と認識しています。しかし、緊急性で言うと後回しになりがち。なぜなら成果を出すのに時間がかかり、育成した人材の流出の懸念などが気になってしまうからです。より早く確実に成果を得たいのならば、外注ないし外部のプロ人材に任せた方が効率的だと考える経営者も少なくありません」

だが中川氏は、リスキリングこそがROI(投資利益率)の最も高い施策だと話す。

「ご相談いただける経営者様の多くは、地方企業の2代目、3代目社長です。経営者様は今後訪れるであろう労働者不足に強い危機感を覚えると同時に、従業員の昇給や労働環境改善を実現したいと切に願っています。それらをDX→企業成長と同時に解決する手段こそが、『Rekilling to DX』と私たちは考えています」

中川氏は1年間という期限付きで支援先企業のCROに就任。経営陣と二人三脚で、リスキリングとDXを同時に推進・支援している。限られた期間で中川氏が目指すゴールの1つに、支援先の従業員から中川氏の後を引き継ぐCROの育成が挙げられる。

「社内でリスキリングを推進できるスキームが築ければ、その後は最初にリスキリングした人材が次のCROとして、新しい人材を社内で育成できるようになります。また経営戦略としてリスキリングを推進することで、短期的な成果を得られ、かつプロ人材を雇用するよりも大きなコスト減につながります。さらに、社内CROが次のCROを育成し、社内でリスキリングを推進するサイクルが回るようになれば、中長期的な成果も得られるでしょう」

人材流出のリスクを働き方の多様化を活かすチャンスに

ROIと並び、多くの経営者が抱える不安がリスキリングした人材の流出だ。せっかく育てた人材が、高いスキルを武器に転職してしまうのではないか。しかしこの不安は、DX人材を社内で育てるサイクルの構築によって軽減可能だと中川氏は言う。

中川氏が注目しているのは、近年急激に進んでいる「働き方の多様化」を活用した従業員との新たな関係構築だ。

「例えば、リスキリングによって得られた知識・技術を活用できるよう、新たな部署の設置や新規事業開発を目指すという方法が考えられます。

また、ここ数年、正社員や業務委託、フリーランスなどさまざまな働き方を選択しやすくなりました。従業員の離職をネガティブに捉えず、パートナーや業務委託として今後も自社に関わってもらうことによって、Win-Winの関係を築くことも可能なはずです」

リスキリング推進は会社と社員にとって未来への投資・貯蓄」となる

少子高齢化が進む日本において、労働人口の減少は避けられない。生産性向上を図るのであれば「組織全体におけるDX推進、デジタルスキル向上」は必要不可欠だ。

「現在において、デジタルスキルを持つ人材が社内に育てば、ほぼ確実に利益向上とコスト削減につながります。ただし、育成人材でしっかりと社内のDXを任せること。この一点を鑑みても、中小企業がリスキリングを取り入れる価値は十分に高いといえるでしょう」

現在、政府主導による助成金も用意されている。中川氏が中小企業の経営陣に訴えたいのは、このタイミングを逃さず、経営陣も現場も前向きな姿勢でリスキリングに取り組むべきということだ。

さらに、リスキリングを促すには労働者の意識改革も欠かせないと中川氏は強調する。

「アメリカではかつて、キャリア形成において「4 to 40」という考え方が重視されていました。これは、大学4年間で学んだことを活かして、40年間働き60歳で引退するというサイクルを示す言葉です。

しかし近年、この言葉は「4 to 4」へと変化しているといいます。つまり、4年間学んだ知識を活かして4年働くという、学びのサイクルをより早く回していくというモデルが提唱されているのです。

日本では長らく、学歴や職歴がキャリア形成に大きな影響を与えていてきました。今もその傾向は変わりませんが、キャリアアップへの影響は年々減少しています。アメリカのように、これからは何を学んできたかという学習(リスキリング)履歴が、ますます重要になるでしょう。

新たなスキルを学び直すリスキリングは、会社にとっても社員にとっても『未来への貯蓄であり投資』なのだということを、経営陣は従業員にしっかりと伝えて、リスキリング to DXを推進していくべきだと思います」