2024年世界デジタル競争力ランキング 日本は31位も、世界最下位のデジタル人材スキル
最終更新日:2025.02.14
11月14日、スイスのビジネススクール国際経営開発研究所(IMD)は2024年世界デジタル競争力ランキングを発表した。67カ国を対象とした今回のランキングでは、前年3位から順位を2つ繰り上げたシンガポールが1位を獲得しました。2位はスイス、3位はデンマークと続き、前年1位だったアメリカは4位となりました。日本は昨年より順位を1つ上げて31位となった一方で、人材知識レベルに関しては過去最低の53位となりました。さらに、人材のデジタル・技術スキルの知識レベルは67か国中67位と、世界デジタル競争力ランキング最下位の結果となりました。
以下では、過去5年間のデータも参考にしながら日本の状況について深堀していきます。日本の順位を見ていく前に、67か国の全体順位が気になる方は、本記事の一番下にて記載していますのでそちらをご覧ください。
また、下記記事では世界経済フォーラムが2025年に発表した「Future of Jobs Report 2025(仕事の未来レポート2025年版)」を基に、今後5年で成長する仕事と無くなる仕事について解説しています。もしよろしければコチラもご覧ください。
世界デジタル競争力ランキングから読み解く、世界と日本のリスキリング進行速度
過去5年間における、日本の世界デジタル競争力ランキング順位の推移
IMD世界デジタル競争力ランキングは、各国のデジタル技術を活用した経済発展や競争力に関する調査です。『知識(Knowledge)』『技術(Technology)』『将来への準備(Future Readiness)』の3つの主要分野から評価され、各要素はさらに細かい要素へ分解されます。過去5年間のデータによると、日本の世界デジタル競争力ランキングは27位から31位と4つ順位を落としています。『知識』の中に属する『人材(Talent)』は、46位から53位と7つ順位を落としています。さらにその中に細分化される『人材のデジタル・技術スキル(Digital/Technological skills)』は、上記でも述べた通り67か国中67位と最下位でした。

| 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | ||
| 総合 | 27位 | 28位 | 29位 | 32位 | 31位 | |
| 知識 | 22位 | 25位 | 28位 | 28位 | 31位 | |
| 人材知識 | 46位 | 47位 | 50位 | 49位 | 53位 | |
| 技術 | 26位 | 30位 | 30位 | 32位 | 26位 | |
| 将来への備え | 26位 | 27位 | 28位 | 32位 | 38位 | |
出典:『IMD | World Digital Ranking Results』を基にリスキリングドットコムで作成
世界と日本のリスキリング進行速度と、日本の課題
過去5年間の結果から、特に深刻なのが『知識』分野における課題です。『知識』は2020年の22位から2024年には31位に低下。そのなかでも、『人材知識』に至っては、2020年の46位から2024年には53位へとさらに順位を落としています。唯一『技術』だけが、過去最高順位タイと昨年より大幅に順位を上げています。
上記の結果は、日本の人材が新しい知識やスキル、特にデジタルスキルを身につけることに遅れをとっていることを示唆しています。実際、『人材』分野における『デジタル・技術スキル』は67位と最下位であり、世界的なデジタル人材育成の潮流から大きく取り残されている現状が明らかになりました。
つまり、この5年間のランキング低迷は、日本企業におけるリスキリングの遅れの表れと言えます。AI、IoT、データサイエンスなど、デジタル技術はあらゆる産業の成長エンジンとなっています。これらの技術を使いこなせる人材を育成しなければ、日本経済の成長は望めません。
企業は従業員へのリスキリング投資を強化し、デジタルスキル習得を積極的に支援していく必要があります。政府もまた、デジタル人材育成のための教育プログラム、支援制度拡充やリスキリング促進政策を推進する必要があります。
リスキリングとは、新しい職業に就くために必要なスキルや知識を身につけることです。デジタル化が加速する現代において、リスキリングは個人のキャリアアップだけでなく、日本経済全体の成長を左右する重要な課題となっています。
日本がデジタル競争力を強化し、国際社会で優位性を保つためには、リスキリングに国を挙げて取り組む必要があります。5年間のランキング推移を教訓とし、官民が連携してデジタル時代に対応できる人材育成こそ、日本の未来を切り開く鍵となるでしょう。
2024年世界デジタル競争力ランキングの一覧
| 1位 | シンガポール |
| 2位 | スイス |
| 3位 | デンマーク |
| 4位 | アメリカ合衆国 |
| 5位 | スウェーデン |
| 6位 | 韓国 |
| 7位 | 香港 |
| 8位 | オランダ |
| 9位 | 台湾 |
| 10位 | ノルウェー |
| 11位 | アラブ首長国連邦 |
| 12位 | フィンランド |
| 13位 | カナダ |
| 14位 | 中国 |
| 15位 | オーストラリア |
| 16位 | イスラエル |
| 17位 | アイルランド |
| 18位 | イギリス |
| 19位 | アイスランド |
| 20位 | フランス |
| 21位 | ベルギー |
| 22位 | リトアニア |
| 23位 | ドイツ |
| 24位 | エストニア |
| 25位 | オーストリア |
| 26位 | カタール |
| 27位 | サウジアラビア |
| 28位 | スペイン |
| 29位 | ルクセンブルク |
| 30位 | バーレーン |
| 31位 | 日本 |
| 32位 | チェコ共和国 |
| 33位 | ニュージーランド |
| 34位 | カザフスタン |
| 35位 | ポルトガル |
| 36位 | マレーシア |
| 37位 | タイ |
| 38位 | ラトビア |
| 39位 | ポーランド |
| 40位 | イタリア |
| 41位 | スロベニア |
| 42位 | チリ |
| 43位 | インドネシア |
| 44位 | プエルトリコ |
| 45位 | クウェート |
| 46位 | クロアチア |
| 47位 | ルーマニア |
| 48位 | キプロス |
| 49位 | ギリシャ |
| 50位 | ヨルダン |
| 51位 | インド |
| 52位 | スロバキア共和国 |
| 53位 | ハンガリー |
| 54位 | 南アフリカ |
| 55位 | トルコ |
| 56位 | ブルガリア |
| 57位 | ブラジル |
| 58位 | コロンビア |
| 59位 | メキシコ |
| 60位 | ボツワナ |
| 61位 | フィリピン |
| 62位 | アルゼンチン |
| 63位 | ペルー |
| 64位 | モンゴル |
| 65位 | ガーナ |
| 66位 | ナイジェリア |
| 67位 | ベネズエラ |
出典:『IMD | World Digital Ranking Results』を基にリスキリングドットコムで作成




