【2026年最新】人材開発支援助成金の申請手順 計画届は1か月前まで・支給申請は2か月以内

最終更新日:2026.08.18

社員研修に人材開発支援助成金を活用したい場合、まず押さえておきたいのが「計画届」と「支給申請」の2つの期限です。

原則として、訓練開始日の6か月前から1か月前までに「職業訓練実施計画届」を管轄の労働局へ提出し、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請を行います。いずれも重要な申請期限であり、期限を過ぎると原則として助成を受けられないため注意が必要です。

2026年度は、中高年齢者向け訓練や設備投資加算の新設など制度が拡充された一方、eラーニングや定額制訓練、DX・GX関連訓練の要件も見直されています。

この記事では、人材開発支援助成金の申請手順と2026年度の主な変更点、申請時につまずきやすいポイントを整理します。

人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金は、事業主などが雇用する労働者に対し、職務に関連する専門的な知識・技能を習得させる職業訓練などを計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。

主なコースには、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース、教育訓練休暇等付与コースなどがあります。

基本的な「人材育成訓練」では、10時間以上のOFF-JTを対象に、中小企業の場合は経費の45%、賃金は1人1時間当たり800円を助成します。賃金要件・資格等手当要件を満たした場合は、経費60%、賃金1,000円に加算されます。

事業展開等リスキリング支援コースでは、中小企業の場合、経費75%、賃金1人1時間当たり1,000円が基本です。訓練の目的や対象者によって適用できるコースと助成額が異なるため、研修会社を決める前に制度上の位置づけを確認することが重要です。

人材開発支援助成金の申請5ステップ

1. 社内の人材育成計画を整える

まず、自社でどの人材にどの能力を身につけてもらうのかを整理します。

人材開発支援助成金では、原則として「職業能力開発推進者」の選任と「事業内職業能力開発計画」の策定・周知が求められます。研修ありきではなく、自社の人材育成方針の中に訓練を位置づけることが出発点です。

2. コースと訓練内容を決める

次に、対象者、訓練内容、実施方法をもとに利用するコースを決めます。

10時間以上のOFF-JTなのか、OJTとOFF-JTを組み合わせるのか、DX・GXや新規事業に必要なリスキリングなのかによって申請するコースは変わります。

研修名だけではなく、「誰が、どの職務に必要な何を学ぶのか」を明確にすることが重要です。

3. 訓練開始の1か月前までに計画届を提出する

「職業訓練実施計画届」と必要書類は、原則として訓練開始日の6か月前から1か月前までに、事業所を管轄する労働局へ提出します。

たとえば7月1日に訓練を始める場合、提出期間は原則として1月1日から6月1日までです。

2025年4月からは、労働局による計画届の「確認・受理」が廃止され、「受付」のみとなりました。支給要件を満たしているかの本格的な審査は支給申請後に一括して行われます。

そのため、計画届を提出できたこと自体が、助成金の支給を保証するものではありません。

4. 計画どおりに訓練を実施し、記録を残す

訓練開始後は、計画どおりに研修を実施し、受講時間や出席状況、訓練経費の支払い、賃金台帳など支給申請に必要な記録を残します。

訓練日時、場所、時間数、内容などを変更する場合は、変更届が必要になることがあります。届出が必要な変更を行う場合は、事前に管轄労働局へ確認するのが安全です。

5. 訓練終了後2か月以内に支給申請する

訓練が終了したら、訓練終了日の翌日から起算して2か月以内に支給申請書と必要書類を提出します。

この期限も厳守が必要です。計画届から支給申請までを一つのスケジュールとして管理しておくことが重要です。

2026年度の主な変更点

2026年度は複数回にわたり制度が改正されています。変更時期を分けて整理すると理解しやすくなります。

2026年4月8日からの主な変更

中高年齢者実習型訓練を新設

人材育成支援コースに、訓練開始日時点で45歳以上の雇用保険被保険者を対象とする「中高年齢者実習型訓練」が新設されました。

OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練が対象で、中小企業では経費助成60%、賃金助成800円/時、OJT実施助成10万円となります。

長期教育訓練休暇の代替要員を支援

人への投資促進コースでは、中小企業が従業員に長期教育訓練休暇を取得させる際、新たに代替要員を雇用・派遣で確保した場合の「新規採用助成」と、既存社員が業務を代行する場合の「職務代行助成」が追加されました。

新規採用助成は業務代替期間に応じ27万円、45万円、67万5,000円。職務代行助成は対象となる手当の75%で、月16万円が上限です。

設備投資加算を新設

事業展開等リスキリング支援コースでは、一定の要件を満たす中小企業を対象に「設備投資加算」が新設されました。

事業展開やDX・GXに必要な訓練と、訓練で使用したものと同種の機器・設備の導入などを組み合わせる場合、対象となる導入費用の50%が加算対象となります。賃金要件または資格等手当要件など、複数の条件があります。

eラーニングの経費助成上限を見直し

事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニング・通信制訓練の1人1訓練当たりの経費助成上限が、中小企業30万円から15万円、大企業20万円から10万円へ引き下げられました。

また、人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースの定額制サービスでは、支給対象労働者について、修了した訓練の標準学習時間が10時間以上であることが求められるようになりました。

2026年5月14日から価格設定の疎明書が必要に

人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースでは、支給申請時に「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必要となりました。

助成金の有無によって不合理な価格差が生じていないかなどを、申請事業主自身が確認する仕組みです。

2026年8月3日からDX・GX訓練の対象を厳格化

事業展開等リスキリング支援コースでは、DX・GX関連訓練の対象範囲も変更されました。

職務に間接的に必要な知識や、職種を問わず共通して必要となるリテラシー・概念理解にとどまる訓練は対象外となります。

厚生労働省は、生成AIの「汎用的なプロンプトの作り方」を学ぶ訓練を対象外の例として示しています。一方、営業担当者が生成AIを使って商品提案書を作成・修正する方法を学ぶなど、具体的な職務に直接活用する訓練は助成対象の例とされています。

また、同コースで同一労働者が助成を受けられる訓練は一年度3回までで、そのうちeラーニングを含む訓練は一年度1回までとなりました。2026年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練から算入されます。

8月3日改正については、以下の記事で詳しく解説しています。

生成AIの汎用研修は助成対象外に|リスキリング助成金2026年8月3日改正

申請でつまずきやすい3つのポイント

1. 研修を決めてから助成金を調べる

最も避けたいのは、研修契約や日程を決めてから助成金の確認を始めることです。

計画届には期限があるため、研修の稟議段階から「どのコースを使うのか」「いつまでに何を提出するのか」を並行して確認する必要があります。

2. 助成対象外の経費を含めてしまう

2026年度からは、申請事業主と密接な関係にある者との取引に係る訓練経費についても対象範囲が明確化されています。

たとえば申請企業の代表者等の親族への講師謝金や、親会社・子会社からの施設借上費、自社の代表者や従業員が代表を務める教育訓練機関への受講料などは、経費助成の対象外となる場合があります。

「助成金を使えば実質無料になる」「後からキャッシュバックする」といった提案にも注意が必要です。訓練経費は申請事業主が全額負担することが原則で、実質的な返金などがある場合は不正受給となる可能性があります。

3. 支給申請後の書類を捨ててしまう

助成金の申請に使用した書類は、支給決定日の翌日から起算して5年間保存する必要があります。

労働局は追加書類の提出や事業所調査を行う場合があります。支給後も、計画届、出席記録、賃金台帳、請求書、領収書などを一式で管理しておくことが重要です。

不正受給と判断された場合は、助成金の返還だけでなく、延滞金や不正受給額の2割相当額が請求され、原則として5年間、雇用関係助成金を受給できなくなる場合があります。

厚生労働省や労働局・ハローワークが、特定の民間事業者に助成金の勧誘を委託することもありません。一方的なFAXや「必ず受給できる」といった勧誘には注意が必要です。

リスキリングドットコムの見解

2026年度の改正を見ると、人材開発支援助成金は単に「研修費を補助する制度」から、企業が実際に人材を育成できる環境をつくることを重視する制度へと、より明確に方向づけられています。

45歳以上を対象としたOJTとOFF-JTの組み合わせ、長期教育訓練休暇の代替要員への助成、設備投資との一体支援は、社員が学ぶための時間や実践機会を企業側がどう確保するかという課題に踏み込んだ仕組みです。

一方、定額制研修の学習時間要件やDX・GX訓練の対象見直しからは、「契約した」「受講した」だけではなく、職務に必要な能力が実際に身につく訓練かどうかを重視する方向性が読み取れます。

企業に求められるのは、助成金に合わせて研修を探すことではありません。

まず「誰の、どの業務を、どのように変えたいのか」を明確にし、必要なスキルと学習方法を決める。そのうえで利用できる助成制度を確認する順番が重要です。

助成金を研修費の単なる値引きと捉えるのではなく、対象者、職務、学習時間、実践、配置までを含めた人材育成計画を実行するための制度として活用することが求められます。

出典元

厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内 令和8年8月3日版」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf

厚生労働省「人材開発支援助成金(コース共通)令和8年4月8日からの変更点について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687558.pdf

厚生労働省「中高年齢者実習型訓練を新設しました」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001688194.pdf

厚生労働省「新規採用助成・職務代行助成を追加しました」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687556.pdf

厚生労働省「設備投資加算を新設しました」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001687557.pdf

厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コース 令和8年8月3日からの変更点について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf