キャリアプランとは?面接時に困らない例文や作成のポイントを紹介
最終更新日:2024.06.28
キャリアプランは、面接時によく尋ねられる質問の一つです。
「あなたの今後のキャリアプランを教えてください」
「5年後、10年後にはどのようなキャリアを描いていますか?」
このような質問に対し、しっかりとしたキャリアプランを答えられるように準備しておくことは大切です。
しかし、キャリアプランの具体的な描き方がわからず、面接で困ってしまう人も少なくありません。
この記事では、キャリアプランの意味や面接時に求められる理由を踏まえて、職種別・年齢別の例文を紹介します。あわせて、具体的な考え方や書き方を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
キャリアプランとは
キャリアプランとは、理想のキャリアを実現するまでの計画、あるいはそれを立案する行為を指します。具体的には「現在の自分のキャリア」「理想のキャリア」「足りないスキルや経験を補うために必要な行動」という3点を整理し、言語化します。
キャリアプランがあると、将来のなりたい姿やそのために必要なスキルや経験が明らかになり、計画的にキャリアを積み上げていけるようになります。
昨今は働き方の多様化で、働く人も企業も個人のキャリアを重視する傾向にあり、採用面接時に面接官から応募者にキャリアプランを尋ねることが増えてきました。キャリアプランは、自身の職業人生をより豊かにするために重要なものとなっています。
キャリアプランとキャリアップの違い
キャリアプランによく似た言葉に、キャリアアップがあります。
キャリアアップとは、自身のキャリアを現状よりも向上させる取り組みを指します。例えば、一般社員から課長や部長といった管理職に昇進する、AI関連の資格を取得してAIエンジニアに転職し収入を上げるなどです。
キャリアアップは、やみくもにスキルを磨いたり、転職活動をしたりするだけでは望ましいものに近づきません。理想のキャリアアップを実現するには、自身の中でキャリアの計画を立てること、すなわちキャリアプランを策定することが重要となります。つまりキャリアプランは、キャリアアップに不可欠な手段であると言うことができます。
キャリアプランとキャリアパスの違い
キャリアパスとは、企業が従業員の昇進や異動、配置転換などを見通し、計画的に用意する昇格のルートのことを指します。つまり、企業側が従業員のキャリアを支援するためにつけた道筋ということができます。
一方、キャリアプランは個人が自らの将来のキャリアを描いて設計するものです。
企業が用意したキャリアパスに沿って自分のスキルアップや昇進を目指すのも一つの方法ですが、自分の強みや興味関心に合わせて独自のキャリアプランを立てることもできます。
自分の理想のキャリアプランを描きつつ、会社のキャリアパスも意識しながら、柔軟にキャリア形成を考えていくことが大切です。
キャリアプランとキャリアデザインの違い
キャリアデザインは、自分らしい生き方や働き方を大局的に設計し、人生の目的や価値観に沿ったキャリア形成を目指す取り組みを指します。キャリアプランが自身の仕事を中心としているのに対し、キャリアデザインはそれを含めて行われるという違いがあります。
面接時にキャリアプランを聞かれる理由
近年、企業の採用面接において、面接官からキャリアプランを聞かれることが珍しくなくなってきました。理由はさまざまですが、主に入社後のミスマッチによる早期離職の予防があります。
働き方の多様化に伴い、「この企業で働くことで望ましいキャリアが形成できるのか」を考える労働者が増えています。もしそれが叶わない場合、早期に離職を選択する人が多いのが実情です。そのため企業側でも、自社が用意しているキャリアパスと、応募者のキャリアプランがマッチしているかどうかを慎重に見るようになってきています。
このほかに、キャリアプランを聞くことで、応募者の仕事に対する意欲や熱意、価値観、性格をよく知ることができる、という理由もあります。
キャリアプランを事前に用意し、企業側に安心感と信頼感を与えられるようにしておきましょう。
面接時に役立つキャリアプランの回答例文
キャリアプランは、一人ひとりによって内容は異なるものの、企業側から職種ごと・年代ごとにある程度期待されている内容があります。
面接においてキャリアプランを聞かれたときは、自身の経験や強みによって企業のニーズに応えられることを説明しつつ、自分の思い描くキャリアプランを伝えることが重要になります。
職種別のキャリアプランの回答例文
営業職のキャリアプランの回答例文
営業職のキャリアプランで重要なのは、これまでの営業経験で培ったスキルと強みをいかに活かし、今後のキャリアにつなげていくかというビジョンを示すことです。
営業職のキャリアプランの回答例文 |
これまで新規開拓営業を中心に、年間目標の120%以上を達成してきました。お客様のニーズを引き出し、提案型の営業スタイルを確立できたことが強みだと感じています。今後は、御社で組織マネジメントについて学び、営業チームをけん引するリーダーとして、部下の育成にも力を入れていきたいと考えています。将来的には営業部長として、会社の業績拡大に貢献したいと思っています。 |
事務職のキャリアプランの回答例文
昨今、ChatGPTを始めとする生成AIによって、事務職の仕事が代替されつつあります。事務職の面接では、事務スキルを高めるだけでなく、幅広い視野と問題解決力を培い、生成AIにはできない人材として活躍するためのプランを描くことがポイントになるでしょう。
事務職のキャリアプランの回答例文 |
これまでは、事務処理や資料作成など、部署内の仕事を効率的かつ正確に遂行してきました。今後は、事務職としてのスキルを磨きつつ、他部署との連携を密に取り、会社全体の業務改善に貢献したいと考えています。特に事務作業の自動化や情報共有の仕組み作りなどを行い、会社の生産性向上に寄与したいと思っています。 |
マーケティングのキャリアプランの回答例文
マーケティングのキャリアプランは、自社商品やサービスの価値をいかに効果的に伝え、顧客の課題解決につなげていくかがポイントです。
マーケティングのキャリアプランの回答例文 |
これまでの経験としては、商品企画からプロモーション、データ分析までマーケティング業務全般に携わり、新商品の売上目標達成に貢献してきました。 今後のキャリアプランとしては、マーケティングの専門知識を深めて市場分析力を高めたり、顧客ニーズを的確に捉えて競合との差別化を図る企画力を身につけたりしながら、会社の売上拡大と新たな市場開拓に尽力していきたいと考えています。そのためにも、御社の研修制度などを活用し、マーケティングのプロフェッショナルとして成長していきたいと思います。 |
エンジニアのキャリアプランの回答例文
エンジニアの採用面接でキャリアプランを聞かれたときは、自分の強みやスキルを活かせるポジションを目標に掲げ、その実現に向けて具体的な行動計画を示すことが重要です。
エンジニアのキャリアプランの回答例文 |
エンジニアとして、私はこれまでWebアプリケーション開発を中心に、要件定義から設計、実装、テストまで一連のプロセスを経験してきました。特に、大規模システムのパフォーマンスチューニングやセキュリティ対策などに注力し、信頼性の高いシステム構築に貢献してきたと自負しています。 今後は、最新の技術トレンドを常にキャッチアップしつつ、アーキテクチャ設計やプロジェクトマネジメントにも挑戦していきたいと考えています。将来的にはシステム全体を俯瞰し、ビジネス課題に即したソリューションを提案・実現することを目指します。 |
年代別のキャリアプランの回答例文
20代のキャリアプランの回答例文
20代の場合は、実務経験がまだ浅いことがほとんどかもしれません。これまでの学生時代の経験や学んだことを踏まえ、自分の強みをどのように活かしていくのか、これから仕事に必要なスキルや経験をどのように積んでいくのかを明確にすることがポイントになるでしょう。
20代のキャリアプランの回答例文 |
大学時代は主にマーケティングを学び、インターンでWebマーケの実務経験を積みました。御社に入社後は、まずは与えられた仕事に真摯に取り組み、マーケティングの専門知識とスキルを磨いていきたいです。将来的には、自社サービスのブランディングや新規事業の立ち上げにも携わり、会社の成長に貢献できる人材になることを目指します。そのために、御社の研修制度などを活用して、戦略立案力や論理的思考力を鍛えていきたいと考えています。 |
30代のキャリアプランの回答例文
30代の場合は、企業の中心人物として活躍が期待されています。キャリアプランでは、これまでの経験をどのように活かして会社に貢献していくのかが重視される傾向にあります。
30代のキャリアプランの回答例文 |
入社10年目となり、これまでは営業として個人の売上目標達成に注力してきました。今後は、その経験を活かして部下の育成にも力を入れ、チーム全体の営業力強化に貢献したいと考えています。将来的には営業部長として、会社の売上拡大と優秀な営業組織づくりに尽力したいと思います。 |
40代のキャリアプランの回答例文
40代の場合は、自身のこれまでの経験を活かしつつ、後進の育成にも尽力することが求められます。リーダーシップやコーチング力、戦略立案力などの高度なスキルを身につけ、管理職として活躍することを示す内容がよいでしょう。
40代のキャリアプランの回答例文 |
これまで営業職として、新規開拓や既存顧客のフォローを通じて売上に貢献してきました。また営業チームの統括マネージャーとして、後輩の育成にも力を入れてきました。今後はより高いマネジメントスキルやリーダーシップを身につけ、各チームメンバーが難易度の高い課題に挑戦できるように、適切なアドバイスや支援を行っていきたいと考えています。また、将来的には営業部長として、部門の業績向上に尽力したいと思っています。 |
50代のキャリアプランの回答例文
50代の場合、後輩の指導やメンタリング、さらには部門全体のマネジメントにも携わることが期待されます。また、長年培ってきた知見を活かし、中長期的な企業の方針策定にも提言できることが求められます。
50代のキャリアプランの回答例文 |
現在、20年以上にわたって営業職として培ってきた経験と知識を活かし、後輩社員の育成に力を注いでいます。今後は、これまでのノウハウを伝承しつつ、部下のマネジメントを通じて部門全体の業績向上に貢献したいと考えています。同時に、営業現場で得た知見を活かし、会社の中長期的な方針策定にも積極的に提言していきたいと思います。将来的には、営業部門の責任者として、会社の業績拡大と企業価値向上に貢献できるよう尽力する所存です。 |
キャリアプランを考えるときは?書き方の手順4ステップ
面接時にキャリアプランをスムーズに答えられるようにするためには、まず自身の中でキャリアプランを作成しておくことが重要です。主な手順を紹介します。
ステップ1.自分の強み・弱み、興味・関心を洗い出す
キャリアプランを考える第一歩は、現在の自分をよく知ることです。以下のような観点で自己分析を行いましょう。
- 得意なこと、スキルは何か
- 苦手なことや弱みは何か
- 仕事での興味や関心は何か
- やりがいを感じるときはどんなときか
- ストレスを感じたり不満を覚えたりするときはどんなときか
これらの観点について、具体的なエピソードを思い出しながら書き出してみてください。客観的な視点を得るために、他者評価を取り入れるのも有効です。
自分の強みを活かせる仕事、興味のある仕事が見えてくると、将来のキャリアの方向性が明確になります。一方、弱みは克服すべき課題として認識しておきましょう。
自己理解を深めることが、説得力のあるキャリアプラン作りにつながります。
ステップ2.将来就きたい仕事や役職をイメージする
自己分析を行ったら、次に将来どのような仕事をしたいか、どんな役職に就きたいかをイメージします。
このとき重要なのが、単に実現したいものを漠然とイメージするのではなく、それを実現することで自身の市場価値を高められるかもあわせて考えることです。
市場価値とは、企業や社会にとってどの程度必要とされるかを示すものです。市場価値を考えながらビジョンを描くと、理想的なキャリアアップにつながる可能性が高くなります。
以下のような観点から考えてみましょう。
- 自分の強みを活かせる仕事や役職は何か
- やりがいを感じられそうな仕事や役職は何か
- 自分の理想とするキャリアモデルの人は何をしているか
- 就きたい仕事やなりたい役職は、企業にどの程度必要とされているのか
- 就きたい仕事やなりたい役職は、どれくらい社会に貢献できるのか
- 自身の年齢の場合、企業や社会はどのような役割を期待しているのか
自分にとって理想的で、かつ市場価値の高い仕事や役職の姿が明確になれば、キャリアプランを実現させるためのモチベーションも生まれます。
ステップ3.将来像の実現に向けて必要なスキル・経験を明確にする
将来就きたい仕事や役職をイメージできたら、次はそれを実現するために必要なスキルや経験を明確にします。例えば、以下のような表を作成するとよいでしょう。
就きたい仕事・役職 |
必要なスキル |
必要な経験 |
営業マネージャー |
リーダーシップ コミュニケーション能力 交渉力 戦略的思考力 データ分析力 |
営業チームのマネジメント経験 部下の育成・指導経験 大口顧客との交渉経験 営業戦略の立案・実行経験 売上データの分析・活用経験 |
人事部長 |
組織マネジメント力 人材育成力 労務管理の知識 コミュニケーション能力 戦略的思考力 |
人事部門の管理職経験 人材育成プログラムの企画・運営経験 労務問題への対応経験 経営層との調整・交渉経験 人事戦略の立案・実行経験 |
このように表にまとめることで、目指すキャリアに必要な要素が明確になります。 現時点で不足しているスキルや経験にはチェックを入れ、それらを身につけるための具体的なアクションプランを立てていきましょう。
ステップ4.具体的な行動計画を立てる
最後に、ステップ2でイメージした将来像の実現に向けて、ステップ3で明確にした必要なスキルや経験を身につけるための具体的な行動計画を立てましょう。 いつまでに何をするのかを明確にすることがポイントです。
以下は、20代の営業職の人の例です。
年次 |
具体例 |
1年目 |
先輩営業職の同行を通じて、営業の基礎スキルを習得する。商品知識を深め、顧客とのコミュニケーション力を高める。 |
3年目 |
担当顧客を増やし、売上目標の達成を目指す。顧客ニーズを的確に捉え、提案力を強化する。営業事務の効率化にも取り組む。 |
5年目 |
営業チームのリーダーとして、チームメンバーの育成に携わる。重要な顧客と信頼関係を構築する経験を通じて、課題解決力を向上させる。 |
7年目 |
営業部門の中核メンバーとして、部門に所属する社員をまとめ、モチベーションの維持・向上に務める。部門の目標達成に向けて、営業戦略の立案にも参画。 |
10年目 |
営業部門のマネージャーとして、部門の統括業務に関わる。社内の他部門と連携して、営業活動の効率化を推進する。後進の指導・育成にも注力。 |
このように、具体的な期間とその間の行動内容を示すことで、将来像の実現に向けた現実的なキャリアプランを描くことができるでしょう。
キャリアプランが思いつかないときは……困ったときの対処法
キャリアプランを考える際に、どうしても言語化が難しい場面が出てくるかもしれません。そうしたときにおすすめの対処法を紹介します。
他の人のキャリアを参考にする
キャリアプランが思いつかない場合は、他の人のキャリアを参考にするのも一つの方法です。
具体的には、社内の先輩社員、同業他社で活躍している人、業界の著名人などのキャリアを調べてみましょう。
彼らがどのようなキャリアを歩んできたのか、どのようなスキルや経験を積んできたのか、どのようなタイミングで昇進や転職をしたのか、どのように仕事とプライベートを両立させてきたのかなど、参考になるポイントが見つかるはずです。
ただし、あくまで参考程度に留めておくことが重要です。他人と自分では置かれている状況が異なるため、そのまま真似をしても上手くいかない可能性があります。自分なりの解釈を加えて、自分に合ったキャリアプランを考えていきましょう。
企業が用意しているキャリアパスを見てみる
自分のキャリアプランが思いつかないときは、企業が用意しているキャリアパスを参考にするのも一つの方法です。
自社のキャリアパスを確認することで、将来のキャリアの方向性を具体的にイメージしやすくなります。また、そのキャリアパスを踏まえて、自分に必要なスキルや経験が明確になるでしょう。
ただし、企業が用意したキャリアパスはあくまで一例であり、自分の強みや関心に合わせて柔軟にアレンジすることが大切です。
キャリアアドバイザーに相談する
キャリアアドバイザーに相談してみるのも一つの手です。キャリアアドバイザーとは、キャリア形成のプロフェッショナルであり、相談者の経歴や興味・関心をヒアリングしたうえで、最適なキャリアプランを一緒に考えてくれる心強い味方です。
プロの助言を得ることで、自分の可能性を広げる新たな選択肢に気づくことができるでしょう。キャリアプランに行き詰まったら、ぜひキャリアアドバイザーに相談することをおすすめします。
面接以外でキャリアプランを立てるメリット
キャリアプランは、面接の対策以外にも、さまざまなメリットがあります。
- 目標達成に向けて計画的に行動できる
- 仕事への目的意識が明確になり、今の仕事に対するモチベーションが上がる
- 方向性が定まり、着実にレベルアップできる
明確なキャリアプランを持つと、職業人生をより能動的に歩んでいくことができます。面接のときだけでなく、日頃から自身のキャリアプランを立てることもおすすめです。
まとめ
キャリアプランを明確にすることは、面接だけでなくキャリア形成においても重要です。
自分の強み・関心を把握し、目指す仕事や役職をイメージしたうえで、 そのために必要なスキルや経験を洗い出しましょう。そして、具体的な行動計画を立てることが大切です。
この記事が理想のキャリアプラン策定の一助となれば嬉しく思います。
記事監修
古今堂 靖
一般社団法人日本リスキリングキャリアコンサルタント協議会 理事長
大学中退後、ホスト、ブライダル司会者、青果市場、旅行添乗員、長距離トラック運転手、警備員、レコード会社勤務等を経て、財団法人関西カウンセリングセンター勤務、心理カウンセラー、キャリアコンサルタント養成の傍ら、特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会の立上げに参画して国家検定キャリアコンサルティング技能検定制度の創設に携わる。2024年3月に一般社団法人日本リスキリングキャリアコンサルタント協議会を立上げ、生成AI時代のリスキリングキャリアコンサルタントの養成を開始。