「生成AI時代のリスキリングサミット2024」開催。Day2イベントレポート
最終更新日:2024.10.04
「生成AI時代のリスキリングサミット2024」を実施。内閣官房副長官 村井 英樹氏の基調講演、及び国策のプロフェッショナルファームである株式会社KIZASHIによる講演が行われた【DAY2】をレポート。
生成AI時代のリスキリングを推進する国策のプロフェッショナルファーム、株式会社KIZASHI(以下:KIZASHI)は、実行委員会幹事社として、「生成AI時代のリスキリングサミット2024」を2024年9月11日(水)および12日(木)に開催した。「生成AI時代のリスキリングサミット2024」とは、リスキリングを「人材を起点とした変革の手段」と定義し、リスキリングが日本企業の文化として根付くことを目的としたシンポジウムである。リスキリングの「今」に焦点を当て、最新動向や事例、サービス、ハウツーなどのコンテンツをお届けし、基調講演やパネルディスカッションを通じて、経営ビジョンの実現に向けたリスキリングの第一歩を踏み出すきっかけを提供する。
今回は、DAY2の基調講演やハイライトについてお送りする。
「新しい資本主義」における三位一体の労働市場改革と、人生100年時代を充実させるためのリスキリング
DAY2の基調講演は、内閣官房副長官であり、岸田政権における成長戦略「新しい資本主義」実現本部の事務局長も務める村井英樹氏の講演だ。
村井氏は述べる。
岸田政権では「新しい資本主義」のもと、賃金が上昇する→消費が拡大する→企業が成長への投資を行う→労働生産性が向上する→賃金がさらに上昇するという好循環を実現させ、従来のコストカット型経済から成長型経済への移行を目指してきた。その結果、33年ぶりの5%を超える春季労使交渉での賃上げ、史上最高値水準の株価、初めて600兆円の大台を超えた名目GDP等、新たな経済ステージ移行への兆しが見え始めている。また、現在のDX/GXの潮流の中で絶え間なく起きる非連続的なイノベーションが、個人に必要とされるスキルや労働需要を大きく変化させることから、誰もが生涯を通じてスキルを獲得することが重要であり、年齢に関わらず能力を発揮して働ける環境整備が必須となっている。
そのような背景の中で「新しい資本主義」では、最優先の課題である賃上げを筆頭に「人への投資」を重要な課題と位置づけている。その上で、①リスキリングによる能力向上支援、②ジョブ型人事の導入、③成長分野への労働移動の円滑化からなる「三位一体の労働市場改革」を進めている。
さらに村井氏は、キャリアを巡る時代の変化についてこう語る。
従来の日本では、一旦就職をすると学び直しをしなくなる傾向にあった。これは、終身雇用制度や年功賃金制などの戦後からの雇用システムや、新卒一括採用中心であり人事異動は企業主導となっていた時代背景によるものだ。一方、現在は、キャリアは会社から与えられるものではなく、企業が職務ごとに要求されるスキルを明らかにすることで、働き手が自分の意思でリスキリングを行って、キャリアを「選択」する時代になってきている。持続的な賃上げを実現するためにも、社外からの人材にも門戸をひらき、社内外問わずキャリアを選択できるようにする必要がある。そのため、既にジョブ型人事を導入している企業に協力を依頼し、導入範囲・等級・報酬制度・労使関係などが具体的にわかる事例を集めた「ジョブ型人事指針」を8月28日に発表した。
また日本の労働生産性は、OECD加盟国38国の中でも32位にとどまる。持続的な賃上げには、生産性向上を通した付加価値の向上が不可欠であり、特に人手不足に悩む中小・小規模企業や、運輸業・宿泊業・飲食業について、官民をあげて生産性向上に取り組んでいく。
労働市場改革の観点でも、若い世代の賃金が低いという問題があり、これが結婚や子育てに影響を与えているとも言われており、また、60代の約4割が70歳まで働きたいと希望しているという調査もある。能力のある若手やシニア層に労働機会を提供することが、人手不足を解消するためにも必要となる。
加えて、日本では、獲得したスキルに応じた賃金差が小さく、海外と比べて高いスキルをもった労働者が報われにくいという課題もある。今後、リスキリングによる能力向上支援などの労働市場改革を進めることで、この賃金格差を縮小する必要がある。
その上で、村井氏は、政府の取組として以下を強調する。
岸田政権では、デジタル推進人材を2024年度末までに45万人、2026年度末までに230万人育成する方針を打ち出している。そのため、在職者や離職者向けに、人材開発支援助成金やハロートレーニング、教育訓練給付など多様な支援策を用意している。特に、教育訓練給付の中でも第四次産業革命スキル習得講座、通称「Reスキル講座」。これは、ITやデータを中心とした将来の成長が強く見込まれ、雇用創出に貢献する分野において、社会人が高度な専門性を身につけてキャリアアップを図る、専門的・実践的な講座だ。
最後に、村井氏はこう結んだ。
生涯にわたり前向きに学習を続けていくことが、人生100年時代をより充実したものにしていくための秘訣であり、リスキリングこそが極めて有用な手段。政府・企業・教育機関等と連携しながら、みなさんがリスキリングを自分ごととして捉え、積極的に取り組んでいただきたい。
熟知した国の戦略と蓄積されたノウハウにより、IT導入補助金の採択率97.9%を誇る株式会社KIZASHIの事業戦略と、Z世代への取り組み
IT導入補助金や助成金の支援サポートを行う、株式会社KIZASHI顧問の柴田寛文氏と代表取締役の菅野哲也氏が登壇。
元経済産業省・元厚生労働省で、IT導入補助金制度やリスキリング政策などを行っていた柴田氏と、美容業界での起業を経ている菅野氏。2021年に設立されたKIZASHIは、今年度よりリスキリング事業に本格的に参入し、ReSkilling.comや、雑誌『RESKILLING』を創刊している。
KIZASHIが手掛ける「KIZASHI ENGINE 」は、自社ツール・サービスを拡販したい事業者向けの、IT導入補助金や助成金を活用した戦略設計・企画開発、オペレーション設計、申請・報告まで一貫してサポートするサービスだ。
中でもIT導入補助金とは、中小企業などが経営課題解決に向けてITツールの導入支援をする補助金のこと。賃上げが目的であり、国策による人への投資や、三位一体の労働市場改革推進のための補助金のひとつである。当該補助金は申請して終了ではなく、生産性が向上したか等の事後報告も必須となっており、KIZASHIではここもサポートしている。またIT導入補助金は、メーカー側と企業が共同申請をする仕組みだが、平均的な採択率は50%~60%だという。一方で、KIZASHIがサポートを行った場合の採択率は97.9%にものぼる。
「この高い採択率は、KIZASHIが国の戦略を熟知し先を見てサポートできる点や、毎年8000種類以上出てくる様々な補助金について、社員ひとりひとりがプロとなるための社内教育を行っている点、10,000件を超える中小企業へIT導入補助金のサポートをしてきたノウハウが蓄積されている結果です。」(菅野氏)
補助金がおりることで、企業は生産性を向上させることができると同時に、売上・粗利は変わらず実質割引営業が可能となるメリットも生じる。
そもそも私たち日本人は、自分のことを過小評価する傾向にある。よって、専門領域を深めて成長領域でのスキルを磨き、スキルの掛け算による人材価値を向上させる中で、自分だけでキャリアデザインを描くことが難しい一面もある。だからこそ、デジタルに詳しいキャリアコンサルタントが支援し、国の助成金を利用しながら、業務時間内でのリスキリングを定着させる必要性がある。
「これまで、生成AI分野とリスキリングは別で語られることが多かったですが、やはりリスキリングの習得には生成AIやITスキルは不可欠であり、AIの使い方を把握している人材は価値も高いです。リーダー層や経営者だけでなく、色々な立場の方がリスキリングを自分ごと化として引き寄せ、時代に沿ったキャリアデザインをしてほしいと願っています。」(柴田氏)
そのためにKIZASHIでは、東京ガールズコレクション2024にて、リスキリングのマインドや生成AIの活用等を学べる「TGC RESKILLING SCHOOL」の開講を発表。Z世代が楽しめるように、推し活やSNSマーケティングの要素も取り入れ、より広く「リスキリング」が社会に浸透するような新しい取り組みを行っているのだ。