職業訓練とは?メリット・種類・受講の流れをわかりやすく解説

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最終更新日:2024.10.22

職業訓練の概要と種類 職業訓練(ハロートレーニング)とは、仕事に就くために必要な知識やスキルを身につけるための職業訓練のこと。 職業訓練の種類: ◆公共職業訓練 ハローワークで求職申込みをしており、主に雇用保険を受給している方が対象。都道府県が実施主体となり、様々な分野の職業訓練を実施。 ◆求職者支援訓練 ハローワークに求職の申し込みをしている方などが対象。厚生労働大臣の認定を受けた民間事業者が実施主体となり、就職に有利なスキルを習得するための訓練を実施。

変化の激しい時代において、「職業訓練」は、新たなスキルや知識を身につけることで、自分に合った仕事を見つけ、キャリアアップや安定した雇用につなげるための有効な手段として注目されています。

職業訓練とは、厚生労働省が実施している「公共職業訓練」や都道府県が実施している「求職者支援訓練」などがあり、雇用保険を受給できない求職者の方や、在職中でスキルアップを目指す方など、幅広い方を対象に、さまざまな職業訓練が実施されています。

この記事では、職業訓練の内容や種類、メリット、受講の流れ、よくある質問などをわかりやすく解説していきます。

職業訓練(ハロートレーニング)とは?

職業訓練(ハロートレーニング)とは、仕事に就くために必要な知識やスキルを身につけるための職業訓練のことです。

厚生労働省によって実施されている公的な制度で、失業中の方や転職を考えている方などが対象となります。

職業訓練は、公共職業訓練と求職者支援訓練の2つに分けられます。

訓練の種類

説明 主な対象者
公共職業訓練 都道府県が実施主体となり、さまざまな分野の職業訓練を実施

ハローワークで求職申込みをしており、主に雇用保険を受給している方

求職者支援訓練

厚生労働大臣の認定を受けた民間事業者が実施主体となり、就職に有利なスキルを習得するための訓練を実施

ハローワークに求職の申し込みをしている方など

職業訓練は、専門学校や公共の職業訓練施設、民間企業などが実施主体となり、それぞれの分野に特化したカリキュラムを提供しています。

職業訓練の受講場所

職業訓練は、主に公共職業訓練と求職者支援訓練の2つに分けられます。

訓練の種類

場所
公共職業訓練

公共職業訓練施設、委託訓練施設(民間訓練機関)

求職者支援訓練

求職者支援訓練施設(民間訓練機関)

公共職業訓練は、国や都道府県が設置する公共職業訓練施設、または国や都道府県から委託を受けた民間訓練機関である委託訓練施設で行われます。

一方、求職者支援訓練は、すべて厚生労働大臣の認定を受けた民間訓練機関である求職者支援訓練施設で行われます。

公共職業訓練施設、委託訓練施設、求職者支援訓練施設は、いずれも全国に設置されており、お住まいの地域や希望する訓練内容によって、最適な場所を選ぶことができます。

それぞれの施設は、訓練内容や設備、カリキュラム、就職支援などが異なります。

職業訓練の受講を検討する際には、ハローワークの窓口相談や、各訓練機関のホームページ、説明会などを利用して、自分に合った施設を見つけることが大切です。

職業訓練のメリット

職業訓練の大きなメリットは、無料でスキルを身につけられることです。

さらに、スキルアップだけでなく、就職支援を受けられる点も魅力です。ここでは、職業訓練を受ける主なメリットを4つご紹介します。

メリット

内容
受講料無料

原則として、受講料は無料。ただし、テキスト代や材料費などは自己負担となる場合がある

就職支援を受けられる

職業訓練校では、就職支援の専門スタッフがいる。キャリアカウンセリングや求人情報の提供、面接対策など、一人ひとりの状況に合わせてサポートを受けられる。積極的に活用することで、就職活動を有利に進めることが期待できる
生活費のサポートを受けられる場合がある

条件を満たせば、職業訓練の受講期間中に「職業訓練受講給付金」や「職業訓練受講支援給付金」などの経済的なサポートを受けられる。これらの制度を利用することで、経済的な不安を軽減しながら、安心して訓練に集中することができる

自分に合ったペースで学べる

職業訓練にはさまざまなコースがある。自分のレベルや目標に合ったコースを選ぶことで、無理なくスキルアップを目指せる。また、短期間で集中的に学びたい方や、働きながら自分のペースでスキルアップしたい方など、それぞれのライフスタイルに合わせて受講方法を選べる点も魅力

このように、職業訓練には多くのメリットがあります。

就職活動がうまくいかず悩んでいる方や、スキルアップしてキャリアアップを目指したい方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

職業訓練の種類

職業訓練には、大きく分けて「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2つがあります。

公共職業訓練

公共職業訓練とは、主に雇用保険を受給している方が、スキルアップを通じて早期再就職を目指すための制度です。

公共職業訓練には、以下のようなメリットがあります。

メリット

内容
費用が無料

教材費なども無料で受講できる(ただし、資格取得など、費用が必要になる場合もある)

雇用保険の給付が延長される

一定の要件を満たせば、雇用保険の給付期間が延長される
就職支援を受けられる

ハローワークが就職の支援を行ってくれる

公共職業訓練は、都道府県が設置した施設や、都道府県から委託された民間施設で行われます。

公共職業訓練の受講を希望する場合、原則として住所地を管轄するハローワークで受講申し込みを行います。

その後、選考が行われ、受講が決定されます。 なお、公共職業訓練の中には、「受講あっせん」や「受講指示」と呼ばれる制度があります。

受講あっせん(受講指示)とは?

受講あっせんとは、ハローワークが、その方の状況に応じて、受講することが特に有効であると判断した場合に、公共職業訓練の受講をあっせんする制度です。

求職者支援訓練

主に雇用保険を受給できない求職者の方(受給が終わった方も含む)を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための職業訓練を無料(テキスト代等は自己負担)で実施しています。

厚生労働大臣の認定を受けた民間訓練機関において、個々の状況に応じて、就職に必要な知識や技能を習得することができます。

項目

内容
対象

主に雇用保険を受給できない求職者の方

内容

就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練
費用

無料(テキスト代等は自己負担)

実施場所

厚生労働大臣の認定を受けた民間訓練機関

求職者支援訓練を受講するには、まずハローワークで「求職者支援制度」の利用申し込みを行い、支援を受けるための「職業訓練受講給付金」の支給要件に該当するかを確認する必要があります。

ハローワークで職業相談等を通じて受講が必要と認められた場合に、受講することができます。

求職者支援制度とは?

求職者支援制度とは、転職やスキルアップを目指したいけれど、すぐに仕事に就くのが難しい方を対象に、経済的な不安を軽減しながら、就職活動に必要なスキルや知識を身につけることができる国の制度です。

具体的には、雇用保険を受給できない求職者の方や、雇用保険を受給できる期間が終了した方などが対象です。 この制度では、厚生労働大臣の指定する職業訓練(求職者支援訓練)を受講することができます。

求職者支援訓練を受講する方の多くは、職業訓練の受講を許可された場合、職業訓練を受講している期間、月10万円の職業訓練受講給付金を受給できます。

その他にも、訓練施設までの交通費を支給する通所手当や、訓練施設から自宅までの距離が遠い場合に支給される寄宿手当などを受けることができます。

給付金の種類

支給額

職業訓練受講手当

月10万円
通所手当

訓練施設へ通所する場合の定期乗車券などの額(上限あり)

寄宿手当

月10,700円

求職者支援制度を利用することで、経済的な不安を解消しながら、就職活動に必要なスキルを身につけることができます。

職業訓練のコース例

公共職業訓練は、主にものづくりやITなど、専門性の高い分野のコースが多い傾向にあります。

一方、求職者支援訓練は、Webデザインや事務など、就職に有利なスキルを短期間で習得できるコースが多い傾向にあります。

職業訓練のコースは、就職を目指す方の年齢層や希望職種、目指すキャリアに合わせて選択することができます。

公共職業訓練の場合

公共職業訓練では、さまざまな分野の専門的な知識やスキルを身につけることができます。ここでは、具体的なコース例をいくつかご紹介します。

コンピュータ制御科

コンピュータ制御科とは、コンピュータを使って機械や装置を自動で制御する技術を学ぶ職業訓練コースです。

工場の生産ラインやロボット、自動車など、さまざまな分野で活用されている技術を習得することができます。

カリキュラム例

内容
電気・電子回路

センサーやモーターなど、制御に必要な電気・電子部品の働きを理解し、回路を設計・製作する

機械工学

機械の構造や運動の原理、材料力学などを学び、制御対象となる機械についての知識を深める
制御理論

フィードバック制御やシーケンス制御など、機械や装置を思い通りに動かすための制御理論を学ぶ

実習

実際に、工作機械やロボットなどを用いた制御システムの設計・製作を行い、実践的な技術を身につける

コンピュータ制御科を卒業すると、工場の製造ラインの自動化やロボット開発、FA機器の設計・開発、システムエンジニアなどの仕事に就くことができます。

自動車整備科

職業訓練の「自動車整備科」は、自動車整備士の資格取得を目指せる学科です。

この学科では、自動車の構造や整備に関する知識・技術を学び、実際に自動車を分解・組立したり、故障箇所を診断したりする実習などを行います。

職業訓練校には、厚生労働省が認可した「自動車整備士養成施設」に指定されているところもあり、卒業と同時に自動車整備士の資格を取得できる場合があります。

ただし、職業訓練校によっては、自動車整備士の資格取得を保証していない場合もあるため注意が必要です。

機械技術科

ものづくりの現場で活躍したいと考えている方におすすめなのが「機械技術科」です。

機械技術科では、機械の設計や加工、溶接、組立といった幅広い業務に必要な知識や技術を基礎から学ぶことができます。

カリキュラムは2年間で構成されており、1年次では機械要素や測定、製図、材料といった基礎知識を学びます。

実技では、手動で操作する機械を使った部品作りなどを通して、実践的な技術を習得します。また、溶接や技能検定(旋盤)といった資格取得も目指します。

2年次になると、1年次で培った知識や技術を基に、より専門性の高い内容を学びます。

例えば、プログラムを用いた自動加工や高度な加工技術などです。さらに、より上位の資格取得に挑戦したり、総合課題として修了制作に取り組んだりすることで、即戦力として就職できることを目指します。

機械技術科を修了すると、機械部品製作会社や農業機械製作会社、精密金型製作会社、構造物鉄工製作会社、自動車部品製作会社、食品加工機械製作会社といった、さまざまな業種への就職が期待できます。

テクニカルメタルワーク科(溶接・荷役コース)

この訓練コースでは、金属製品製造業への就職を目指し、溶接工・製缶工として必要な技能・技術を習得します。

具体的には、下記のようなカリキュラム内容になっています。

カリキュラム内容

金属加工基本作業

各種溶接作業

玉掛け・床上操作式クレーン運転作業

フォークリフト運転作業

訓練修了後には、下記の資格を取得することができます。

取得できる資格

ガス溶接技能講習

フォークリフト運転技能講習

床上操作式クレーン運転技能講習

玉掛け技能講習

アーク溶接特別教育

自由研削といし特別教育

粉じん作業特別教育

溶接や製缶、玉掛け、クレーン・フォークリフト運転といった業務に興味のある方は、ぜひ受講を検討してみてはいかがでしょうか。

IoTプログラミング科

IoTプログラミング科とは、近年、製造業や農業などさまざまな業界で注目されているIoT(=Internet of Things)のシステム構築に必要な知識やスキルを習得できるコースです。

IoTクリエイター科カリキュラム例

・電気・電子基礎(電気工学基礎、電子工学基礎、電気・電子工作法)

・制御機器基礎(機械概論、制御工学基礎、制御機器組立法)

・IoT基礎(IoT概論、ネットワーク概論、プログラム概論、情報セキュリティ)

・システム構成実習

・プログラミング

・制御プログラミング

・トラブルシューティング

・IoTシステム製作

プログラミング未経験者でも、基礎から実践まで、体系的に学ぶことができるカリキュラムが特徴です。

この職業訓練を受けることで、IoTシステムエンジニアやプログラマー、ネットワークエンジニアなどの仕事に就くことを目指せます。

特に、近年では、工場の生産設備の自動化や、データ分析による生産効率の向上などを実現するために、IoTシステムの導入が進んでおり、関連する職業の求人も増加傾向にあります。

求職者支援訓練の場合

求職者支援訓練では、就職活動に役立つ実践的なスキルを身につけることができます。企業のニーズを反映したコース設定が多く、就職に直結しやすいことが特徴です。

Webデザイン科

Webデザイン科は、Webサイトの設計や制作に必要なスキルを学ぶコースです。職業訓練校や専門学校などさまざまな場所で学ぶことができます。

未経験からWebデザイナーを目指す方や、スキルアップを目指したい方におすすめのコースです。

職業訓練校では、HTML、CSS、JavaScriptといったWebサイト制作の基礎となるプログラミング言語を学ぶことができます。また、Photoshop、Illustratorといったデザインソフトの使い方を学ぶこともできます。

Webデザイン科では、基礎的な知識・スキルを習得するだけでなく、実際にWebサイトを制作する実践的な授業も行われています。

ポートフォリオの作成サポートなども受けられるため、卒業後にWebデザイナーとして就職活動を行う際にも役立ちます。

仕事で活かせるパソコン基礎科(託児)

この講座は、就職活動中の方や転職を考えている方を対象に、基本的なビジネスマナーから、企業の事務部門で必要とされるパソコンスキルまでを3ヶ月間で習得することができます。

訓練の特徴として、MOS(Word2019/Excel2019)の資格取得を目指せるほか、就職活動に必要な知識や書類作成のスキルも身につけることができます。

また、託児サービスがあるので、子育て中の方でも安心して受講できます。受講料は無料で、テキスト代のみ自己負担となります。

ただし、職場体験や職場見学、企業実習などに参加する場合には、別途交通費がかかる場合があります。

受講を希望される方は、ハローワークで相談のうえ、お申し込みください。

2ヶ月で学ぶ介護職員初任者研修科(短時間)

働きながら介護の資格を取得したい方に向けて、短期間で介護職員初任者研修を修了できるコースがあります。

短時間で開催されるため、仕事や家事との両立が可能です。以下にカリキュラム例を記載します。

コース名

就業・就業希望の別 訓練期間 時間 定員 自己負担額 訓練内容
2ヶ月で学ぶ介護職員初任者研修科 就業・就業希望 2ヶ月(1.5ヶ月) 9:30~16:30 20名 無料

介護職員初任者研修

Java・Webプログラミング科

Javaは、世界中で広く使われているプログラミング言語です。Webサイトや業務システム、Androidアプリなど、さまざまな開発に使われています。

この講座では、Javaプログラミングの基礎から応用、そしてWebアプリケーション開発に必要な知識・技術を習得し、IT業界への就職を目指します。

習得できるスキル

  • Javaプログラミングスキル
  • Webアプリケーション開発スキル
  • データベースの構築・運用スキル

期待される就職先

  • システムエンジニア
  • プログラマー
  • Webアプリケーション開発エンジニア

学習内容例

  • プログラミング基礎(Java)
  • Webサイト制作基礎(HTML、CSS)
  • データベース基礎
  • Javaを用いたWebアプリケーション開発
  • チーム開発演習
  • 就職支援

Java・Webプログラミング科では、プログラミング未経験者でも基礎からしっかりと学ぶことができるカリキュラムが組まれていることが多くあります。

また、実際に企業で開発現場を経験した講師陣から実践的なスキルを学べることも魅力です。

職業訓練コースの選び方

職業訓練は、新しい仕事に就くためのスキルアップやキャリアチェンジの機会として、多くのメリットがあります。

しかし、数あるコースの中から自分に最適なものを選ぶことは簡単ではありません。そこで、職業訓練コースを選ぶ際に考慮すべき4つのポイントを紹介します。

ポイント

内容
期間

自分の希望に合う期間のコースを選ぶ。短期間で集中的に学びたい方、じっくり時間をかけて専門知識を身につけたい方など、自分に合った期間のコースを選択することが重要

通学距離

無理なく通える範囲にあるコースを選ぶ。毎日通うことを考えると、自宅からの距離は重要な要素。交通手段や所要時間、交通費なども考慮する

訓練内容

自分の希望する職種に役立つ内容のコースを選ぶ。コースの内容が自分のキャリアプランと合致しているか、将来の目標に繋がる内容であるかをしっかり確認することが大切
訓練校の雰囲気

実際に訓練校に見学に行き、雰囲気を確かる。訓練校の雰囲気は、学習意欲やモチベーションに大きく影響する。施設や設備、講師やスタッフの対応、訓練生の様子などを実際に見てみること

上記以外にも、訓練校の就職支援体制や、訓練内容のレベルなども確認しておくと良いでしょう。

これらのポイントを踏まえ、自分に最適な職業訓練コースを見つけてください。

職業訓練の受講の流れ

職業訓練の受講の流れを、具体的なステップでご紹介します。

ステップ

内容
1. ハローワークへ求職申込

まずは、住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みを行う。その際に、求職者支援制度についても説明を受ける

2. ハローワークでの職業相談

ハローワークにて、希望する職業やこれまでの経験などを相談する。相談内容に基づいて、あなたに適切な職業訓練コースの選定が行われる。もし、職業訓練受講給付金の受給を希望する場合は、この際に併せて相談しておく
3. 受講申込

訓練コースが決まったら、「受講申込書」を受け取り、必要事項を記入する。募集期間内に、記入済みの申込書をハローワークに提出する

4. 受講申込書の提出

ハローワークで受け付けた「受講申込書」を、訓練実施機関に提出する。提出方法は持参または郵送

5. 選考

訓練実施機関が実施する選考を受ける。選考方法は、コースによって異なり、面接や筆記試験などが実施される

6. 就職支援計画の作成(支援指示)

選考の結果は、訓練実施機関から郵送で通知される。合格通知を受け取った方は、ハローワークに選考結果通知書を持参し、「就職支援計画書」を受け取る

7. 訓練受講

いよいよ訓練開始。開講日には、「就職支援計画書」の写しを持参すること
8. 訓練期間中及び訓練修了後

訓練期間中および訓練修了後3ヶ月間は、求職者支援制度による支援が継続される。就職が決まっていない方は、月に1度、指定された日にハローワークに来所し、就職に向けた職業相談を受けること

これらのステップを踏むことで、スムーズに職業訓練を受講し、就職活動を進めることができます。

職業訓練に関するQ&A

職業訓練の受講を検討する際、さまざまな疑問を持つ方がいるかと思います。ここでは、よくある質問とその回答を紹介します。

どんな人が対象ですか?

職業訓練は、特定のスキルを習得したい、あるいはキャリアアップを目指したいなど、さまざまなニーズを持つ方が対象です。

職業訓練の対象者は、大きく2つのカテゴリーに分けられます。

対象者

説明
就職を目指している方

新卒者、転職希望者、失業者、非正規雇用者など、就職活動中の方が対象となります。

キャリアアップを目指している方

現在のスキルを向上させたい方、新たなスキルを身につけてキャリアチェンジをしたい方などが対象となります。

受講料はかかりますか?

職業訓練に興味を持つ方にとって、気になるポイントの一つが受講料ではないでしょうか。

結論から言うと、公共職業訓練は原則無料ですが、求職者支援訓練の場合は無料・有料のコースがあります。

どちらの訓練制度も、テキスト代など、訓練内容によっては一部費用がかかる場合があります。

訓練期間中は生活費のサポートはありますか?

職業訓練には、条件を満たすことで生活費など経済的な負担を軽減する制度があります。

■職業訓練の生活費サポート

制度の種類

支給要件(主なもの) 支給額
職業訓練受講給付金 世帯全体の収入が一定額以下であることなど

訓練期間中、基本手当の日額の60%相当額(上限額あり)

特定求職者雇用促進奨励金

世帯全体の収入が一定額以下であること、雇用保険の受給資格がないことなど 月額10万円または8万円(年齢、世帯状況、訓練内容により異なる)
母子家庭の母等に対する生活支援法に基づく支援 母子家庭の母または父子家庭の父であること、住民税所得割額が一定額以下であることなど

訓練期間中、月額最大10万円(支給要件に応じて加算あり)

高等職業訓練促進給付金

大学卒業後2年以内または高等学校卒業後3年以内で、ハローワークに求職の申し込みをしていることなど 訓練期間中、月額10万円または11万8,000円(離職後最初の職業訓練か2回目以降かで異なる)
教育訓練支援給付金 雇用保険の被保険者期間が3年以上(特定受給資格者等は1年以上)あること、教育訓練の受講開始日が雇用保険の受給資格決定日前であることなど

訓練期間中の訓練にかかる費用を本人に支給(40歳未満は訓練科目の内容に応じて加算給付あり)

企業主等が行う職業訓練の訓練経費等

企業などが従業員に対して職業訓練を実施した際に、訓練内容や訓練時間に応じて、国が企業などに訓練経費や賃金の一部を助成

職業訓練の制度を利用することで、金銭的な不安を軽減しながら、スキルアップやキャリアチェンジを目指せる可能性があります。

自分に合った制度を活用し、積極的に職業訓練への参加を検討してみてはいかがでしょうか。

受講申し込みは何日前までに行えばよいですか?

職業訓練の受講申し込みは、締め切り日が設定されています。締め切り日は、コースや訓練機関によって異なり、訓練開始日の1週間前から1ヶ月前までと幅があります。

募集期間も、訓練開始日の3ヶ月前から1ヶ月前までとコースによってさまざまです。具体的な締め切り日は、ハローワークや各訓練機関のホームページなどで確認できます。

希望するコースが決まっている場合は、早めに情報を収集し、余裕をもって申し込みを行いましょう。

まとめ

職業訓練は、スキルアップやキャリアチェンジをしたい方にとって、費用面やカリキュラム、就職支援などの面でメリットの大きい、国が推奨する公的な支援制度です。

職業訓練には、主に「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類があり、それぞれ対象者やコース内容、期間が異なります。

訓練制度

対象者 コース内容 期間 特徴
公共職業訓練 失業保険受給者、転職希望者など 製造、IT、建築など、幅広い分野 1ヶ月~2年

公的機関が運営、就職支援あり

求職者支援訓練

失業保険受給資格のない求職者など 医療事務、介護、Webデザインなど 1ヶ月~1年

民間事業者が運営、就職支援あり

職業訓練の受講を検討する際には、まずハローワークに相談し、自分に合った訓練コースを見つけることが重要です。

職業訓練は、就職やキャリアアップを希望する方にとって、新たな道を切り開くための有効な手段となるでしょう。 ぜひこの記事を参考にして、職業訓練の受講を検討してみてください。

記事監修

古今堂 靖

一般社団法人日本リスキリングキャリアコンサルタント協議会 理事長

大学中退後、ホスト、ブライダル司会者、青果市場、旅行添乗員、長距離トラック運転手、警備員、レコード会社勤務等を経て、財団法人関西カウンセリングセンター勤務、心理カウンセラー、キャリアコンサルタント養成の傍ら、特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会の立上げに参画して国家検定キャリアコンサルティング技能検定制度の創設に携わる。2024年3月に一般社団法人日本リスキリングキャリアコンサルタント協議会を立上げ、生成AI時代のリスキリングキャリアコンサルタントの養成を開始。