【難易度別】AI資格おすすめ9選|キャリアパス・将来性も解説!
最終更新日:2024.11.13
AIは成長市場であり、AI人材の需要は今後ますます高まることが予想されます。
AI関連の資格を取得することは、AI分野でのキャリアアップや就職活動において大きなメリットとなります。資格を通じて体系的にAIの知識やスキルを学ぶことで、市場価値の高い人材へと成長できるでしょう。
この記事では、AI資格の概要や資格選びのポイント、おすすめAI資格を難易度別で紹介します。
AI資格とは?
AI資格とは、人工知能(AI)に関する知識やスキルを証明するための資格です。AIの技術は近年急速に発展しており、さまざまな産業分野でAI人材の需要が高まっています。
AI資格を取得することで、AIに関する専門知識やスキルを習得していることを客観的に示すことができ、就職や転職、キャリアアップに有利に働く可能性があります。
AI資格の種類
AI資格は、認定主体によっていくつかの種類に分類できます。それぞれの特性を理解することで、自分に合った資格を選ぶことが重要です。
大きく分けると、ベンダー資格、協会資格、大学認定資格の3種類があります。
ベンダー資格
特定の企業が提供する製品やサービスに関する知識やスキルを認定する資格です。
AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudなど、クラウドプラットフォームを提供する企業が、それぞれのサービスに特化したAI資格を設けています。
これらの資格は、特定のプラットフォームを使いこなすスキルを証明するものとなるため、就職・転職活動において有利に働く可能性があります。
協会資格
特定の団体や協会が、AIに関する一般的な知識やスキルを認定する資格です。
日本ディープラーニング協会(JDLA)が提供するG検定やE資格は、AIの基礎知識や実装能力を測る資格として広く認知されています。
これらの資格は、特定のベンダーに依存しないため、汎用性の高いスキルを証明できます。
大学認定資格
大学が独自に提供するAI関連の資格です。大学での研究成果や教育内容に基づいて設計されており、高度な専門知識やスキルを習得できることが特徴です。
大学認定資格は、AI分野の研究開発職や高度な専門性を要する職種を目指す人にとって、キャリアアップの道を開く可能性があります。
資格の種類をまとめると以下のようになります。
資格の種類 | 認定主体 | 特徴 | 例 |
ベンダー資格 | 特定の企業 | 特定の製品・サービスに関する知識・スキル | AWS Certified Machine Learning – Specialty, Microsoft Azure AI Fundamentals |
協会資格 | 特定の団体・協会 | AIに関する一般的な知識・スキル | G検定, E資格 |
大学認定資格 | 大学 | 高度な専門知識・スキル | 各大学が独自に提供 |
自分に合った資格を選ぶためには、それぞれの資格の難易度や費用、将来性などを考慮する必要があります。
資格取得の目的を明確にし、どの資格が自分のキャリアプランに合致するかを見極めることが重要です。
資格選びのポイント
AI資格は種類が多く、それぞれ目的や難易度、費用が異なります。自分に合った資格を選ぶためには、次の4つのポイントを考慮することが重要です。
目的
資格取得の目的を明確にしましょう。キャリアアップ、転職、スキルアップなど、目的によって適切な資格は異なります。
例えば、転職を考えている場合は、企業の求めるスキルに対応した資格を選ぶと良いでしょう。単にAIの基礎知識を学びたい場合は、入門レベルの資格で十分です。
難易度
自分のスキルレベルに合った難易度を選びましょう。AI資格には、初心者向けから上級者向けまでさまざまなレベルのものがあります。
自分の現在の知識や経験を踏まえ、無理なく取得できる資格を選択することが大切です。最初から難易度が高い資格に挑戦すると、挫折してしまう可能性があります。
費用
資格によっては、受験料や教材費など、費用が大きく異なる場合があります。無料のものから数十万円かかるものまで、幅広いです。予算に合わせて、無理なく取得できる資格を選びましょう。
将来性
AI技術は常に進化しており、資格の価値も変化していく可能性があります。将来性のある資格を選ぶことで、長期的なキャリア形成に役立ちます。
特定の技術に特化した資格よりも、汎用的な知識やスキルを習得できる資格の方が、将来性が高いと言えるでしょう。
【難易度別】おすすめAI資格9選
AI関連資格は多岐に渡りますが、ここでは難易度別に分けて9つの資格を紹介します。
自身のスキルや目指すキャリアパスに合わせて最適な資格を選択しましょう。
初心者向けのAI資格
AIについて学び始めた方や、AI領域の仕事に興味があるという方は、まずはこちらの資格から取得を目指すと良いでしょう。比較的難易度が低く、AIの基礎知識を体系的に学ぶことができます。
G検定
G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する、ディープラーニングの基礎知識を問う試験です。合格することで、ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して事業活用する能力が証明されます。
G検定は、AIの活用が進む現代において、ビジネスパーソンにとって必須の知識を習得できる資格として注目されています。AIの専門家だけでなく、AIを活用した事業展開を検討している方や、AI関連のプロジェクトに携わる方にもおすすめです。
試験は、オンラインで実施され、選択式の問題が出題されます。試験範囲は、人工知能(AI)に関する幅広い知識、機械学習、ディープラーニング、AIの社会実装など多岐にわたります。
そのため、受験対策としては、公式テキストの熟読に加え、関連書籍やオンライン学習サービスの活用が有効です。
出題範囲の大まかな分類と、その内容は以下の通りです。
分野 | 内容 |
技術分野 | 人工知能の定義、機械学習、ディープラーニング、ディープラーニングの応用例など |
法律・倫理分野 | AIに関する法律と契約、AI倫理・AIガバナンスなど |
ビジネス・社会 | AIプロジェクトの進め方、AIと社会 |
データサイエンティスト検定(DS検定)リテラシーレベル
データサイエンティストを目指す方にとって、最初の関門となるのがDS検定リテラシーレベルです。この検定は、データサイエンスの基礎知識を問うもので、合格すればデータ活用に必要な基本的なスキルを習得している証明になります。
DS検定リテラシーレベルは、データサイエンティスト協会が実施する検定試験で、データサイエンティストに求められる3つの力の「見習いレベル」に相当します。その3つの力とは、「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」「ビジネス力」です。試験では、これらの領域に関する基礎知識が問われます。
具体的には、統計学、機械学習、データ処理、プログラミング、SQL、ビジネスにおけるデータ活用などが出題範囲です。試験は選択式で、100問が出題され、試験時間は100分です。合格ラインは約79%~80%とされています。
DS検定リテラシーレベルは、データサイエンティストを目指す上で最初のステップとして最適な資格です。この検定に合格することで、データサイエンスの基礎知識を体系的に学ぶことができ、今後の学習や実務に役立つでしょう。
AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentals
AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentalsは、AzureにおけるAIサービスの基礎知識を問うMicrosoftの認定資格です。
AIの基礎概念からAzureのAIサービスの具体的な機能まで、幅広く学習することができます。この資格は、クラウドやAzureの初心者、AIの基礎を学びたい方におすすめの資格です。
AI-900の概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
レベル | 初級 |
受験資格 | なし |
試験時間 | 45分 |
問題数 | 40~50問 |
受験料 | 13,750円(税込) |
AI-900では、下記5つの分野から出題されます。
- AIワークロードと考慮事項(15~20%)
- Azureでの機械学習の基本原則(20~25%)
- AzureのComputer Visionワークロードの機能(15~20%)
- Azureの自然言語処理(NLP)ワークロードの機能(15~20%)
- Azureでの生成系AIワークロードの特徴(15~20%)
AIワークロードと考慮事項では、AIソリューションを実装する際の考慮事項(公平性、信頼性と安全性、プライバシーとセキュリティ、包括性、透明性、説明責任)について問われます。
Azureでの機械学習の基本原則では、回帰、分類、クラスタリング、ディープラーニングといった機械学習の手法や、Azure Machine Learningを使ったモデルの管理と配備について問われます。
AzureのComputer Visionワークロードの機能では、画像分類、物体検出、光学式文字認識、顔検出といったComputer Visionの技術と、Azure AI Visionサービスの活用方法について問われます。
Azureの自然言語処理(NLP)ワークロードの機能では、キーワード抽出、感情分析、言語モデリングといったNLP技術と、Azure AI Language、Azure AI Speechサービスの活用方法について問われます。
Azureでの生成系AIワークロードの特徴では、Azure OpenAI Serviceを用いた自然言語生成、プログラミングコード生成、画像生成といった機能について問われます。
AI-900は、AIの基礎知識を身につけるための入門資格として最適です。AI-900の学習を通して、AI技術の全体像を把握し、今後のAI学習の基盤を築くことができます。
また、上位資格であるAzure Data Scientist Associate(AI-100)やAzure AI Engineer Associate(AI-102)の受験準備にも役立ちます。
中級者向けAI資格
AIの基礎知識を習得した方向に、さらに専門性を高めるための資格を3つご紹介します。
統計検定2級
統計検定2級は、大学基礎課程(1~2年次学部共通)レベルの統計学の知識と活用スキルを問う試験です。この試験を通して、大学基礎科目としての統計学の知識と、それを用いた問題解決能力を身につけることができます。
資格取得は実務経験の保証にはなりにくいですが、業務で最低限活用できる統計学の知識を有していることの証明にはなります。
業務でデータ分析を活用したいと考えている方は、まず2級の取得を目指すと良いでしょう。また、機械学習やデータ分析を本格的に行う際にも、2級相当の統計学スキル習得は必須です。
統計検定2級の概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
目的 | 大学基礎科目レベルの統計学の知識習得度と活用のための理解度を問う |
受験資格 | なし |
受験料 | 一般価格:7,000円(税込)、学割価格:5,000円(税込) |
試験形式 | 4~5肢選択問題(CBT) |
試験時間 | 90分 |
問題数 | 35問程度 |
出題範囲 | 統計検定3級・4級に加え、1変数データ、2変数以上のデータ、推測のためのデータ収集法、確率、確率分布、標本分布、推定、仮説検定、カイ二乗検定、線形モデルなど |
合格水準 | 100点満点中60点以上 |
統計検定2級の合格率は、過去のPBT方式試験の結果を見ると約40%です。統計検定3級の合格率が約60%であることと比較すると、2級の方が合格難易度は高いと言えるでしょう。
合格に必要な勉強時間は、一般的に50~60時間程度とされています。大学で数学や統計学を履修していた方や、統計検定3級を取得済みの方などは、より短い勉強時間で合格できる可能性があります。
効果的な勉強方法としては、公式テキスト・公式問題集の活用、無料教材の利用、統計検定2級対策講座の受講などが挙げられます。公式テキストで試験範囲を網羅的に学習し、公式問題集や過去問で実践力を高めましょう。
無料教材を活用することで、弱点克服や知識定着を図ることも可能です。さらに、オンライン講座などを利用すれば、自分のペースで効率的に学習を進めることができます。
AI実装検定
AI実装検定は、Pythonを使ったAI実装スキルを身につけるための実践的な資格です。ビジネスで通用するAI実装力を測ることを目的としており、難易度別にB級、A級、S級の3つのレベルが用意されています。
AIに興味がある入門者レベルであれば、まずB級に挑戦するのがおすすめです。ディープラーニングや機械学習の基本概念を理解しているかどうかが問われます。高校理系卒業程度のレベル感で、G検定の前段階に位置づけられています。
さらにAI技術者として活躍したい場合は、A級とS級を目指しましょう。A級は、E資格受験資格レベルの知識を有し、数学、プログラミング、AIに関する基礎知識と実装力を試す試験です。S級は最難関レベルで、画像処理、自然言語処理、有名モデルの実装など、より高度な実装能力が求められます。
レベル | 内容 | 受験料 |
B級 | AIの基本概念 | 一般:9,900円(税込) 学割:5,500円(税込) |
A級 | 数学、プログラミング、AIの基礎知識と実装力 | 一般:14,850円(税込) 学割:8,250円(税込) |
S級 | 高度なAI実装能力(画像処理、自然言語処理など) | 33,000円(税込) |
AI実装検定は、CBT形式で実施されます。選択問題形式で、各レベルごとに試験時間と合格基準が設定されています。合格者には「ディープラーニング実装師」の称号が付与され、レベルに応じた認定証と合格ロゴが発行されます。
資格取得後は、AIエンジニアやデータサイエンティスト、AIコンサルタントなど、AI関連のさまざまな職種で活躍できる可能性が広がります。AI技術の需要はますます高まっており、AI実装検定でスキルアップを目指すことは、キャリアアップにもつながるでしょう。
AI-102: Designing and Implementing a Microsoft Azure AI Solution
この試験は、Azure AI サービスを活用したAIソリューションの設計・実装能力を測るものです。AIソリューション開発の全フェーズ、つまり要件定義から設計、開発、デプロイ、統合、メンテナンス、パフォーマンス調整、監視までを網羅しています。
試験では、PythonやC#といった言語を用いたソリューション開発経験、REST APIやSDKを使った画像処理、自然言語処理、ナレッジマイニング、生成AIソリューション構築経験が評価対象となります。Azure AIポートフォリオの構成要素やデータストレージオプションに関する理解も重要です。
具体的な出題範囲は以下の6つのスキル領域に分かれています。各領域の配点は10~35%で、特に自然言語処理ソリューションの実装が最も大きな割合を占めています。
スキル領域 | 出題割合 |
Azure AI ソリューションの計画と管理 | 15-20% |
コンテンツ モデレーション ソリューションの実装 | 10-15% |
コンピューター ビジョン ソリューションの実装 | 15-20% |
自然言語処理ソリューションの実装 | 30-35% |
ナレッジ マイニングとドキュメント インテリジェンス ソリューションの実装 | 10-15% |
生成 AI ソリューションの実装 | 10-15% |
合格ラインは700点以上で、試験は定期的に更新されます。試験対策としては、Microsoft Learnで提供されている学習ガイドや無料の練習用評価を活用することが推奨されます。
上級者向けのAI資格
上級者向けのAI資格は、AI分野における専門的な知識や高度なスキルを証明するものです。
これらの資格は、既にAI関連の実務経験があり、さらに専門性を深めたい方、キャリアアップを目指したい方におすすめです。取得難易度は高いですが、その分市場価値も高く、企業からの需要も大きいのが特徴です。
E資格
E資格は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定する、ディープラーニングの実装をリードできる人材育成を目的とした資格です。AIエンジニアとして活躍したい、あるいは転職を目指している方にとって、取得しておくべき資格の一つです。
昨今の第3次AIブームにおいて、ビジネスにおけるAIの実用性が向上し、AI導入を検討する企業が増加しています。AIの適用分野は今後さらに広がることが予想され、それに伴いAIエンジニアの需要も増加していくと考えられます。
E資格は、AIエンジニアに必要不可欠なディープラーニングの知識と実装スキルを証明できる資格として注目されています。
E資格の概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
資格名称 | E資格 |
資格認定団体 | 一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA) |
試験日程 | 年2回(2月中旬、8月下旬) |
受験費用 | 一般:33,000円 学生:22,000円 協会会員:27,500円 |
受験会場 | 全国各地 |
出題範囲 | 機械学習、深層学習、開発・運用環境 |
出題形式 | CBT、4択 |
試験時間 | 120分 |
申し込み方法 | 日本ディープラーニング協会の公式Webページから申し込み |
受験資格 | JDLA認定プログラムの修了(試験日の過去2年以内) |
E資格は、ディープラーニングの理論を理解し、機械学習やディープラーニングを実装する知識・スキルを有することを認定します。世界初のAIエンジニア認定資格として注目を集めており、取得難易度は高いと言われています。
合格率は約7割ですが、受験者の多くはある程度の知識と経験を有しているため、実際は数字以上に難易度が高いと考えられます。試験時間120分に対して問題数は約100問と、1問あたり1分程度で解答する必要があるため、スピーディーな解答能力も求められます。
E資格の受験には、JDLA認定プログラムの修了が必須です。これらのプログラムは、初心者からある程度のディープラーニング知識を持つ人まで、さまざまなレベルに対応したものが用意されています。価格、受講形式、サポート体制などもプログラムによって異なるため、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
AWS Certified Machine Learning-Specialty
AWS Certified Machine Learning-Specialtyは、AWS クラウドを用いた機械学習の専門知識を認定する資格です。機械学習モデルの構築、トレーニング、チューニング、デプロイといった実践的なスキルが問われます。
開発者やデータサイエンティストといった職種で、AWS環境での機械学習ワークロードに携わる方を対象としています。認定取得を目指すには、AWS Certified Machine Learning – Specialty 試験 (MLS-C01)に合格する必要があります。
試験概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
レベル | 専門知識 |
時間 | 180分 |
コスト | 300USD |
形式 | 複数選択・複数応答(65問) |
提供言語 | 英語、日本語、韓国語、簡体字中国語 |
受験方法 | Pearson VUEテストセンターまたはオンライン監督付き試験 |
受験にあたっては、AWSクラウドでの機械学習ワークロードに関する2年以上の実務経験、MLアルゴリズムの基礎知識、ハイパーパラメータ最適化の経験、機械学習/深層学習フレームワークの使用経験などが推奨されています。
試験対策としては、公式の模擬試験や学習コンテンツが用意されているAWS Skill Builderの利用をおすすめします。その他、AWSトレーニング、ホワイトペーパー、FAQなども学習に役立ちます。
受験資格は特にありませんが、下記のような経験・知識があると望ましいとされています。
- AWSクラウドでのML/深層学習ワークロード開発、設計、実行における2年以上の実務経験
- 基本的なMLアルゴリズムの理解
- 基本的なハイパーパラメータ最適化の実践経験
- MLおよび深層学習フレームワークの使用経験
- モデルトレーニング、デプロイ、運用のベストプラクティスに関する知識
これらの経験・知識を身につけることで、試験合格の可能性を高めることができるでしょう。
Professional Data Engineer
Google Cloudが提供するProfessional Data Engineer認定資格は、データエンジニアリング分野における高度な専門知識とスキルを認定する資格です。
データ処理システムの設計・構築・運用、データ分析のための準備、そしてデータワークロードの管理と自動化など、幅広い領域における能力が問われます。
この資格を取得することで、企業におけるデータ活用戦略の中核を担う、データエンジニアとしての高い実力を証明できます。
Professional Data Engineer試験では、以下の5つの主要な分野に関する能力が評価されます。
評価分野 | 説明 |
データ処理システムの設計 | データ処理システム全体のアーキテクチャ設計能力を評価。ビジネス要件を理解し、適切な技術を選択、統合する能力が求められる |
データの取り込みと処理 | さまざまなソースからのデータの収集、変換、加工、そして品質管理を行う能力を評価。大量データの処理技術に関する知識も重要 |
データの保存 | データの保存方法、データベース技術、データライフサイクル管理など、データ保存に関する包括的な知識を評価。目的に応じた最適なストレージソリューションを選択する能力が求められる |
分析用データの準備と使用 | 分析に適した形式にデータを加工し、データウェアハウスやデータレイクなどの分析基盤にデータを統合する能力を評価する |
データ ワークロードの管理と自動化 | データ処理ワークロードの監視、パフォーマンス最適化、セキュリティ確保、そして自動化に関する能力を評価する |
この試験は、2時間で50~60問の多肢選択式問題が出題されます。受験料は200ドル(税別)で、英語と日本語で受験可能です。
受験資格に必須条件はありませんが、3年以上の実務経験、特にGoogle Cloudを使ったソリューションの設計・管理経験が1年以上あることが推奨されています。
認定資格の有効期限は2年間で、更新には再認定試験に合格する必要があります。
資格取得後のキャリアパスと将来性
AI関連資格を取得することで、どのようなキャリアパスが拓けるのか、そしてその将来性について解説します。
AI分野は急速に発展しており、資格取得は専門性を証明し、キャリアアップの大きな助けとなります。資格と実務経験を組み合わせることで、市場価値の高い人材を目指せるでしょう。
AIエンジニア
AIエンジニアとは、AI技術を活用してビジネス上の課題を解決する職種です。企業のニーズに合わせてAIシステムを開発・実装したり、既存システムにAIを組み込んだりします。
幅広い知識とスキルが求められるAIエンジニアの仕事内容や必要スキル、キャリアパスについて解説します。
【AIエンジニアの仕事内容】
AIエンジニアの仕事内容は多岐に渡りますが、主な業務は以下の通りです。
- AIシステムの開発・実装:機械学習やディープラーニングなどを用いて、企業のニーズに合わせたAIシステムを開発・実装します。
- 既存システムへのAI導入:既存のシステムにAIを組み込み、業務効率化やサービス向上を図ります。
- データ分析・モデル構築:大量のデータから必要な情報を抽出し、AIモデルを構築します。
- アルゴリズム開発:AIモデルの精度向上のため、新しいアルゴリズムを開発・改良します。
- パフォーマンス改善:開発したAIシステムの精度向上や速度改善を行います。
- 最新技術の調査・研究:常に最新のAI技術を調査・研究し、自身のスキル向上に努めます。
【AIエンジニアに必要なスキル】
AIエンジニアとして働くためには、以下のようなスキルが求められます。
- プログラミングスキル:Python、R、Javaなど、AI開発に用いられるプログラミング言語の知識とスキル。
- 機械学習・ディープラーニングに関する知識:AIの基盤となる技術に関する深い理解。
- データ分析スキル:大量のデータを分析し、必要な情報を抽出する能力。
- アルゴリズム開発スキル:AIモデルの精度向上のためのアルゴリズム開発能力。
- 数学・統計学の知識:AIモデルの構築や評価に必要な数学・統計学の知識。
- コミュニケーション能力:クライアントやチームメンバーと円滑にコミュニケーションをとる能力。
- 問題解決能力:複雑な問題を分析し、最適な解決策を見出す能力。
【AIエンジニアのキャリアパス】
AIエンジニアのキャリアパスは、経験やスキルに応じてさまざまな選択肢があります。
経験年数 | 役割 | 業務内容 |
1〜3年 | ジュニアAIエンジニア | 上級エンジニアの指導のもと、AIシステム開発の一部を担当 |
3〜5年 | AIエンジニア | AIシステム開発の全体像を把握し、主体的に開発業務を推進 |
5〜10年 | シニアAIエンジニア | プロジェクトリーダーとして、チームを率いてAIシステム開発を推進 |
10年以上 | AIスペシャリスト/AIコンサルタント | 特定のAI技術領域に特化し、専門家として活躍/企業のAI導入をコンサルティング |
AIエンジニアは、AI技術の発展とともに需要が高まっているため、将来性のある職種と言えます。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データ分析の専門家としてビジネスにおける課題解決や意思決定を支援する役割を担います。彼らは統計学や機械学習などの専門知識を駆使し、大量のデータから隠れたパターンや洞察を抽出します。
これらの分析結果に基づいて、ビジネス戦略の立案や新製品開発、顧客満足度の向上など、さまざまな分野で貢献します。データサイエンティストは、データアナリストと比較すると、より高度な分析手法を用いたり、分析結果から得られた示唆をビジネスに結び付ける役割が強い点が特徴です。
データサイエンティストの業務内容には、以下のようなものがあります。
- データ収集:さまざまなソースから必要なデータを集め、分析に適した形に加工します。
- データ分析:統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いて、データの傾向や相関関係を分析します。
- モデル構築:予測モデルや最適化モデルなどを構築し、ビジネス上の意思決定を支援します。
- レポーティング:分析結果を分かりやすく可視化し、関係者に報告します。
- プレゼンテーション:分析結果に基づいた提言を行い、経営層や事業部門に説明します。
データサイエンティストに必要なスキルは以下の通りです。
- 統計学の知識:データ分析の基礎となる統計学の知識は必須です。
- プログラミングスキル:PythonやRなどのプログラミング言語を用いてデータ分析を行います。
- 機械学習の知識:さまざまな機械学習アルゴリズムを理解し、適切な手法を選択できる必要があります。
- データ可視化スキル:分析結果を分かりやすくグラフやチャートで表現するスキルが必要です。
- コミュニケーションスキル:分析結果を関係者に分かりやすく説明する能力が求められます。
- ビジネス理解:分析対象のビジネスについて理解し、分析結果をビジネスに結び付ける必要があります。
データサイエンティストのキャリアパスは多様です。企業のデータ分析部門やコンサルティング会社、IT企業などで活躍するほか、専門性を高めてAI研究者やデータサイエンスの専門家を目指すことも可能です。
スキル | 説明 |
統計学 | データ分析の基礎となる知識 |
プログラミング | Python, Rなど |
機械学習 | アルゴリズムの理解と選択 |
データ可視化 | 分析結果の表現 |
コミュニケーション | 関係者への説明 |
ビジネス理解 | 分析結果とビジネスの関連付け |
AIコンサルタント
AIコンサルタントは、企業の抱える課題をAI技術で解決に導く仕事です。顧客企業へのヒアリングを通して課題を明確化し、最適なAIソリューションを提案、導入を支援します。
DX推進のキーパーソンとして、AIを用いた組織改革や業務効率化も担う場合があります。単に技術的な知識だけでなく、ビジネスへの応用力が求められる専門性の高い職業です。
AIコンサルタントの仕事内容を以下にまとめます。
- 顧客企業のヒアリングと課題発見
- AI技術を活用した解決策の提案
- 導入支援とプロジェクトマネジメント
- AI導入効果の分析と改善提案
- 社内組織変革、業務効率化支援
AIコンサルタントの年収は500万円~1,000万円以上と高水準で、経験と実績によってはさらに高額になる可能性もあります。主な勤務先はIT系や総合コンサルティング企業です。
AIコンサルタントになるために必須の資格はありませんが、関連資格の取得はスキルアップとキャリア形成に役立ちます。
資格名 | 内容 |
Pythonエンジニア認定試験 | Pythonプログラミングスキル |
統計検定 | 統計学の知識 |
G検定 | ディープラーニングの基礎知識 |
E資格 | 機械学習の応用スキル |
データサイエンティスト検定 | データ分析スキル |
AIコンサルタントに必要なスキルは、AIに関する全般的な知識、ビジネスへの応用スキル、プロジェクトマネジメント能力です。プログラミングスキルは必須ではありませんが、Python, R言語, C言語, JavaScriptなどの知識があれば業務に役立ちます。
また、VS Code, Git, Docker, Kubernetesなどの開発ツールの知識もあればなお良いでしょう。
AIコンサルタントを目指す方は、大学で情報システム系の幅広い知識を習得するのが一般的です。情報科学系の学科だけでなく、経済学部や経営学部で経営やマネジメントを学び、副専攻や大学院でAI関連の専門性を高める方法もあります。
AI資格に関するよくある質問
ここでは、AI資格の取得を考えている方向けに、よくある質問とその回答をまとめています。
資格取得にかかる費用は?
AI資格の取得にかかる費用は、資格の種類によって大きく異なります。資格試験の受験料だけでなく、事前の学習にかかる費用も考慮する必要があります。
主な資格の費用は以下の通りです。
資格名 | 受験料 | 学習費用 | 備考 |
G検定 | 11,000円(税込) | 市販テキスト:約3,000円~ オンライン学習:約30,000円~ | 受験料は2023年10月以降13,200円(税込)に改定予定 |
E資格 | 33,000円(学生は22,000円) | JDLA認定プログラム受講料:約100,000円~ | JDLA認定プログラムの受講が必須 |
データサイエンティスト検定(DS検定) | リテラシーレベル:5,500円~ | 市販テキスト:約3,000円~ オンライン学習:約30,000円~ | レベルによって受験料が異なる |
統計検定 | 2級:5,000円~ | 市販テキスト:約2,000円~ オンライン学習:約20,000円~ | 級によって受験料が異なる |
AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentals | 約12,000円 | オンライン学習:無料~ | |
AI-102: Designing and Implementing a Microsoft Azure AI Solution | 約19,000円 | オンライン学習:無料~ | |
AWS Certified Machine Learning – Specialty | 約24,000円 | オンライン学習:無料~ | |
Professional Data Engineer | 約24,000円 | オンライン学習:無料~ |
G検定やDS検定といった知識を問う資格は、比較的受験料が安く、市販のテキストで独学することも可能です。一方で、E資格のように実践的なスキルを問う資格は、認定プログラムの受講が必須となるため、費用が高額になります。
学習費用は、市販のテキストやオンライン学習サービスの利用、スクールに通うなど、学習方法によって異なります。自分に合った学習方法を選び、費用対効果の高い学習プランを立てることが重要です。
E資格の受験には、JDLA認定プログラムの受講が必須です。このプログラムの費用は約10万円から20万円が相場ですが、提供事業者によって学習内容、学習期間、費用が異なります。E資格の受験料と合わせて、25万円から35万円程度の費用が必要になるでしょう。
どの資格から始めるべき?
AI資格は種類が多く、どれから始めたら良いか迷ってしまう方もいるかもしれません。資格選びで重要なのは、ご自身の現在のスキルレベルと目指すキャリアパスを明確にすることです。
AIの基礎知識を身につけることが目的であれば、まず「G検定」をおすすめします。G検定は、AIに関する幅広い知識を問う試験であり、AIの全体像を理解するのに最適です。さらに、ディープラーニングの基礎知識を深めたい場合は、「ディープラーニングG検定」の受験も検討しましょう。
すでにAIの基礎知識があり、データ分析スキルを磨きたい方は、「データサイエンティスト検定(DS検定)リテラシーレベル」がおすすめです。この資格は、データサイエンスの基礎知識に加え、ビジネスにおけるデータ活用の理解度も問われます。
プログラミングスキルを活かしてAI開発に携わりたい方は、「AI実装検定」から始めるのが良いでしょう。Pythonを使ったAI実装スキルを身につけることができ、実践的なスキル習得に役立ちます。
クラウド環境でのAI開発に興味がある方は、クラウドベンダー資格である「AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentals」または「AWS Certified Machine Learning – Specialty」に挑戦してみましょう。これらの資格は、それぞれのクラウドプラットフォームにおけるAIサービスの活用方法を学ぶことができます。
資格名 | 対象者 | 難易度 |
G検定 | AIの基礎知識を学びたい方 | 初級 |
ディープラーニングG検定 | ディープラーニングの基礎知識を深めたい方 | 初級 |
データサイエンティスト検定(DS検定)リテラシーレベル | データ分析スキルを磨きたい方 | 初級~中級 |
AI実装検定 | プログラミングスキルを活かしたい方 | 中級 |
AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentals | Microsoft AzureでのAI開発に興味がある方 | 初級~中級 |
AWS Certified Machine Learning – Specialty | AWSでのAI開発に興味がある方 | 中級~上級 |
資格取得はあくまでスキルアップの手段の一つです。資格取得後も継続的に学習し、実践経験を積むことで、真のAI人材として活躍できるでしょう。
資格は就職に有利?
AI資格は、就職活動において有利に働くのでしょうか?結論から言うと、資格の有無だけで採用が決まるわけではありませんが、就職活動全体で見ると有利に働くケースが多いです。
特に未経験でAI関連の仕事に就きたいと考えている人にとって、資格取得は大きなアピールポイントになります。企業は、未経験者を採用する際に、応募者のポテンシャルを見極める必要があります。
AI資格を取得していれば、AI分野への関心の高さと学習意欲を客観的に証明できます。企業によっては、資格取得者に対して選考を優遇するケースもあるため、選考の初期段階で有利に働く可能性があります。
資格 | メリット | 就職に有利な点 |
E資格 | ディープラーニングに関する高度な知識を証明 | AIエンジニア、データサイエンティストなど専門性の高い職種への就職で有利 |
G検定 | ディープラーニングの基礎知識を証明 | AIプロジェクトに関わるさまざまな職種で有利 |
統計検定 | 統計学の知識を証明 | データ分析業務で有利 |
もちろん、資格を持っているだけでは不十分です。実務で必要なスキルを身につけていること、そしてそれらを適切にアピールすることが重要です。
資格取得は、学習の過程で得られた知識やスキルを証明する一つの手段であり、就職活動における強力な武器となります。資格取得を目標にするだけでなく、その過程で得られる知識やスキルをどのように実務で活かせるかを考えながら学習を進めることが大切です。
その上で、ポートフォリオの作成や面接対策など、他の選考ステップにも力を入れることで、資格を最大限に活かした就職活動を行うことができます。
まとめ
AI資格は、スキルアップだけでなく、客観的なスキル証明として転職活動やキャリアアップにも役立ちます。自分に合った資格を見つけ、取得を目指すことで、AI分野でのキャリアを大きく前進させることができるでしょう。
資格の種類はさまざまで、難易度や対象スキルも異なります。それぞれの資格で何が学べるのか、自分のキャリアプランにどのように役立つのかを理解した上で、資格を選ぶことが重要です。
例えば、G検定はAIの基礎知識を問う資格で、AI分野の全体像を理解したい方や、AIを活用したビジネスに関わりたい方におすすめです。
一方、E資格はより実践的なスキルを問う資格で、AIエンジニアを目指している方や、より高度なAI技術を習得したい方におすすめです。
自分に最適な資格を選ぶためには、まず自分の現在のスキルレベルとキャリア目標を明確にする必要があります。そして、それぞれの資格で何が学べるのか、どのようなスキルが身につくのかを比較検討し、自分に合った資格を選びましょう。
記事監修
小澤 健祐
AINOW編集長 / 生成AI活用普及協会 協議員
「人間とAIが共存する社会をつくる」がビジョン。ディップが運営するAI専門メディア AINOW編集長を務める。書籍「生成AI導入の教科書」。1000本以上のAI関連記事を執筆。一般社団法人生成AI活用普及協会 協議員。その他、AI領域で幅広く活動。生成AI教育事業を展開するCynthialyの顧問、日本最大のAI活用コミュニティ「SHIFT AI」のモデレーター&パートナーインフルエンサー、ディップの生成AI活用推進プロジェクト「dip AI Force」の推進、生成AIとエンターテイメントの融合を進めるAI Booster顧問なども務める。