新卒の3割超が3年以内に離職──厚労省2026年公表データで読む「1年目の壁」と若手リスキリングの設計

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最終更新日:2026.10.28

厚生労働省は2026年10月23日、2023年3月に学校を卒業して就職した人の離職状況を公表しました。就職後3年以内の離職率は大卒31.2%、高卒36.9%。前年より下がったものの、新卒の3割以上が3年以内に最初の職場を離れる構図は変わっていません。

本記事では、この最新データを「いつ・どこで・なぜ辞めるのか」に分けて読み解き、新卒の早期離職を防ぐために企業が打つべき手を、若手のリスキリング(学び直し・育成)の視点から整理します。

この記事で分かること

  • 2026年10月公表の新卒3年以内離職率(大卒31.2%・高卒36.9%)と前年からの変化
  • 事業所規模・産業・年次別に見た「辞めやすい職場」の特徴
  • 早期離職を防ぐために企業が次に行うべきこと(チェックリスト付き)

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新卒の3年以内離職率は何%?2026年公表の最新データ

結論から言うと、2023年3月卒の就職後3年以内離職率は、大卒31.2%(前年比2.6ポイント低下)、高卒36.9%(同1.0ポイント低下)です。中卒は54.5%(同0.4ポイント上昇)、短大等は43.1%(同1.4ポイント低下)でした。

大卒は2021年3月卒の34.9%、2022年3月卒の33.8%から2年連続で下がりました。高卒も38.4%→37.9%→36.9%と低下が続いています。ただし大卒でおよそ3人に1人、高卒で3人に1人以上が3年以内に辞めている水準は、長く大きくは変わっていません。

学歴3年以内離職率(2023年3月卒)前年差
中学54.5%+0.4pt
高校36.9%▲1.0pt
短大等43.1%▲1.4pt
大学31.2%▲2.6pt
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)」2026年10月23日公表

なお、この数値はハローワークに提出された雇用保険の加入届をもとに、新卒と推定される就職者の離職を集計したものです。会社都合・自己都合の区別や、転職先の有無までは分かりません。

どんな職場で離職が多い?事業所規模と産業の差

事業所の規模が小さいほど離職率は高いのか

はい。規模が小さい事業所ほど、3年以内離職率ははっきり高くなります。大卒では、従業員5人未満の事業所で58.2%、1,000人以上で24.2%と、約2.4倍の差があります。高卒でも5人未満61.3%に対し、1,000人以上は24.4%です。

事業所規模別の新卒3年以内離職率の横棒グラフ。大卒は5人未満58.2%、5〜29人50.6%、30〜99人39.7%、100〜499人31.7%、500〜999人29.0%、1,000人以上24.2%。高卒は5人未満61.3%から1,000人以上24.4%まで低下
図1:事業所規模別 就職後3年以内離職率(2023年3月卒)。出典:厚生労働省

図1の要点:大卒は5〜29人で50.6%、30〜99人で39.7%、100〜499人で31.7%、500〜999人で29.0%。高卒は5〜29人で53.3%、30〜99人で45.5%、100〜499人で36.4%、500〜999人で29.4%です。大卒の5人未満(58.2%、0.7ポイント上昇)と高卒の30〜99人(45.5%、0.3ポイント上昇)を除き、どの規模でも前年より下がりました。

規模による差の背景には、教育担当を専任で置きにくい、配属先の選択肢が少ない、相談相手が上司1人に限られる、といった中小企業の育成体制の事情があると考えられます(この点は統計からの推測であり、公表資料が原因を示しているわけではありません)。

離職率が高い産業はどこか

大卒・高卒とも、宿泊業・飲食サービス業と、生活関連サービス業・娯楽業が上位です。大卒では宿泊業・飲食サービス業が49.9%、生活関連サービス業・娯楽業が49.8%、教育・学習支援業が42.3%、医療・福祉が39.1%、小売業が38.1%でした。

高卒では宿泊業・飲食サービス業61.6%、生活関連サービス業・娯楽業61.1%、医療・福祉49.4%、教育・学習支援業49.3%、小売業48.5%です。大卒の宿泊業・飲食サービス業は前年から5.5ポイント下がっており、上位産業でも改善の動きは見られます。一方、大卒の電気・ガス・熱供給・水道業は11.8%、製造業は18.8%と低く、産業による差は4倍前後に開いています。

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新卒はいつ辞める?いちばん多いのは1年目

年次別に見ると、離職がもっとも多いのは入社1年目です。大卒は1年目11.0%、2年目10.9%、3年目9.3%。高卒は1年目17.4%、2年目11.0%、3年目8.5%で、高卒は特に1年目に集中しています。

年次別の新卒離職率と企業の打ち手の表。大卒は1年目11.0%・2年目10.9%・3年目9.3%、高卒は1年目17.4%・2年目11.0%・3年目8.5%。3年以内計は大卒31.2%、高卒36.9%
図2:就職後の年次別離職率(2023年3月卒)と時期別の打ち手。数値は厚生労働省、打ち手はリスキリングドットコム編集部の整理

図2の要点:3年間の離職の約3分の1(大卒)から半分近く(高卒)が1年目に起きています。つまり「3年目に辞める」より前に、最初の1年の受け入れ方が定着を大きく左右します。

若手が最初の会社を辞める理由は何か

厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」によると、初めて勤務した会社を辞めた理由(3つまで回答)は、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」28.5%、「人間関係がよくなかった」26.4%、「賃金の条件がよくなかった」21.8%、「仕事が自分に合わない」21.7%の順でした。

勤続期間別では、1年未満で辞めた人は「人間関係がよくなかった」が最も多く、1年〜10年未満では「労働時間・休日・休暇の条件」が最多です。1年目は職場の関係づくり、2年目以降は働き方と業務量、という順に課題が移っていくと読めます。

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新卒の早期離職を防ぐには?企業が次に行うべきこと

答えは、「採用して終わり」ではなく、入社後3年間を育成の設計期間として扱うことです。データが示す「1年目に多い」「小規模ほど高い」「人間関係と労働条件が主な理由」という3点に合わせ、次の順で手を打つのが現実的です。

リスキリングドットコムの整理:3年間の育成を「知る→使う→任せる」で設計する

時期ねらい具体策の例
入社〜1年目(知る)仕事と人間関係の不安を減らす配属前の業務プレビュー、メンターと月1回の1on1、受け入れ管理職向けの面談研修
2年目(使う)業務量を整え、成長実感を持たせる業務の棚卸し、定型作業の生成AI活用、小さな改善テーマの担当
3年目(任せる)次の役割を見せる後輩指導やプロジェクトの一部を任せる、身につけるスキルと受講講座を本人と決める
リスキリングドットコム編集部による整理(厚生労働省データをもとに作成)

企業が次に行うべきことチェックリスト

  • 自社の新卒の1年目・2年目・3年目の離職者数を、部署別に集計しているか
  • 配属前に、実際の仕事内容・1日の流れ・繁忙期を具体的に伝えているか
  • 直属の上司以外に、相談できる先輩・メンターを決めているか
  • 受け入れ側の管理職に、1on1やフィードバックの研修を行っているか
  • 若手の残業時間と休日取得を毎月確認しているか
  • 生成AIなどで定型作業を減らし、若手が学ぶ時間をつくっているか
  • 2〜3年目に任せる役割と、そのために学ぶスキルを本人と共有しているか
  • 小規模事業所の場合、外部研修・業界団体・公的支援など社外の育成資源を使っているか

小規模の事業所では、社内だけで育成体制を整えるのは簡単ではありません。外部の研修や公的な支援制度、ほかの会社と合同で行う新人研修などを組み合わせるのも一つの方法です。

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リスキリングドットコムの見解

3年以内離職率の低下は前向きな変化です。ただ、1年目の離職が最も多いという事実は、若手が「学ぶ前に」辞めていることを示しています。若手の離職対策は福利厚生や給与だけの話ではなく、入社直後から「何を学び、いつ何を任されるのか」が見える育成設計の問題だと私たちは考えます。

生成AIの普及で、新人が担ってきた定型業務は減りつつあります。だからこそ、空いた時間を放置せず、「知る→使う→任せる」の順に経験を積ませる道筋を示せる企業ほど、若手に選ばれ、定着していくはずです。若手のリスキリングは、早期離職を防ぐ投資でもあります。

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参考・出典

公開日:2026年10月26日