情報セキュリティマネジメント試験とは?合格率や取得するメリットを解説
最終更新日:2024.09.13
企業の情報漏洩や不正アクセスが社会問題化するなか、セキュリティ対策の重要性はかつてないほど高まっています。
情報セキュリティマネジメント試験は情報セキュリティを確保し、組織を守るための基礎スキルを証明する国家資格です。
この記事では、試験の概要から合格率、学習方法まで紹介しています。受験を検討している人はもちろん、情報セキュリティに興味がある人の参考になれば幸いです。
情報セキュリティマネジメント試験について
情報セキュリティマネジメント試験は、情報処理技術者試験の一区分として、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施しています。
情報セキュリティに関する知識や技術を体系的に習得し、実践的なスキルを身につけられるとして、多くの企業から注目されています。
情報セキュリティマネジメント試験とは
情報セキュリティマネジメント試験とは、情報セキュリティを確保し、不正アクセスや情報漏洩などの脅威から組織を守るための基礎スキルを認定する国家試験です。
具体的には、情報セキュリティの3要素である「機密性」「完全性」「可用性」などを学習し、情報セキュリティマネジメントの計画・運用・評価・改善できる能力が問われます。
情報セキュリティマネジメントの重要性
現代社会において、インターネットの普及と企業活動のグローバル化に伴い、顧客情報や企業機密を守る情報セキュリティの重要性が増しています。
そして、不正アクセスや情報漏洩などのリスクに備えるだけでなく、社内の情報管理や業務手順の見直し、意識改革などの取り組みも求められています。
そのため、企業だけでなく社会全体の問題として、安全な情報セキュリティを計画・運用・評価・改善できるセキュリティマネジメントの育成が急務です。
情報セキュリティ人材はあらゆる職場で求められていることから、試験の重要性も高まっています。
情報セキュリティマネジメント試験の概要
情報セキュリティマネジメント試験を受けるにあたって、試験の概要をわかりやすくまとめたのでご紹介します。
試験の時期
情報セキュリティマネジメント試験は、CBT方式(Computer Based Testing) により、随時実施されています。CBT方式とは、試験会場に用意されたコンピュータを使用して試験を実施する方式です。
通年試験となるため、年間通していつでも受験可能です。
なお、身体的な事情などによりCBT方式での受験が難しい場合は、春期(4月)と秋期(10月)の年2回、筆記による試験も実施されています。
情報セキュリティマネジメント試験の受験資格
情報セキュリティマネジメント試験は、受験資格に制限がない試験です。そのため、年齢、学歴、職歴などは一切問われません。
出題形式と合格基準
情報セキュリティマネジメント試験の受験時間は120分で、科目A試験と科目B試験が同時間内におこなわれます。
出題される問題数は科目A試験とB試験で合計60問、合格基準は600点(1,000点満点)です。
解答方式 | 問題数 | 主な出題内容 | |
科目A試験 | 多肢選択式(四肢択一) | 48問 | ・情報セキュリティ全般
・情報セキュリティ管理 ・情報セキュリティ対策 ・情報セキュリティ関連法規 |
科目B試験 | 多肢選択式 | 12問 | ・業務の現場におけるケーススタディ
・情報セキュリティ管理の実践力 |
参照:情報セキュリティマネジメント試験 出題内容|独立行政法人 情報処理推進機構
より詳細な出題内容や最新情報は、こちらからご確認いただけます。
情報セキュリティマネジメント試験の合格率
情報セキュリティマネジメント試験の合格率は、年度や時期によって変動しますが、おおむね50〜70%台となっています。
年度 | 合格率 |
2020 | 66.6% |
2021 | 53.2% |
2022 | 56.2% |
2023 | 72.6% |
2024 | 73.0% |
※2024年:4〜7月の実績
そのため、ITに関する国家資格のなかでも、比較的受験しやすい試験といわれており、しっかり対策することで合格を目指せるでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験の受験料
情報セキュリティマネジメント試験の受験料は、7,500円(消費税込)です。
支払い方法 |
・クレジットカード
・コンビニエンスストア ・銀行ATM(Pay-easy) |
申込内容の変更は試験日3日前まで可能ですが、受験申込後のキャンセルや返金はおこなわれません。
情報セキュリティマネジメント試験のメリット
情報セキュリティマネジメントの資格取得は、主に以下3つのメリットを期待できます。
- 企業における役割と活躍シーンの拡大
- キャリアアップに有利
- 関連する上位資格へのステップアップ
自身のキャリアプランに合わせて、情報セキュリティマネジメント試験の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
企業における役割と活躍シーンの拡大
情報セキュリティマネジメント試験の合格者は、情報セキュリティに関する専門知識を持つ人材として認められます。そして、以下のような責任ある役割を任される可能性が高まります。
- 情報セキュリティポリシーの策定・運用
- 情報セキュリティ教育の実施
- セキュリティシステムの導入・運用
- セキュリティインシデント発生時の対応
- 情報セキュリティ監査の実施
これらの役割をとおして、企業のセキュリティレベル向上に貢献することが期待されます。
キャリアアップに有利
情報セキュリティマネジメントの試験合格者は、情報セキュリティに関する専門知識を持ち合わせていること、情報セキュリティに対する意識の高さをアピールできます。
昨今、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まっているため、企業はセキュリティ対策に積極的に取り組む必要があります。
そのため、試験合格者は企業にとって貴重な人材であり、昇進や昇格などのキャリアアップにも大きく貢献してくれるのです。
関連する上位資格へのステップアップ
情報セキュリティマネジメント試験で得た知識は、さらに専門性を高めるための基礎知識として、関連する上位資格の取得に活かせます。
たとえば、より専門性の高い「情報処理安全確保支援士」の受験を考えているなら、情報セキュリティマネジメント試験は基礎固めとして最適です。
このほかにも、「ITストラテジスト」「SPREAD情報セキュリティサポーター」「SPREAD情報セキュリティマイスター」など、公的な上位資格の取得を目指す際にも役立つでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験の申し込みから受験までの流れ
情報セキュリティマネジメント試験を受けるにあたって、申し込みから受験当日までの流れを把握しておきましょう。
試験の申し込み
情報セキュリティマネジメント試験は、株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ (以下、CBTS)のWebサイトからおこないます。
申し込みの流れは、以下のとおりです。
①CBTSの利用者IDを登録する | 申込内容や試験結果の確認、受験日時の変更ができる |
②受験者規約を確認し、受験予約に進む | 【受験予約の流れ】 1.希望する試験を選択する 2.アンケートに回答する 3.試験の日付・会場・時間を選択する 4.郵便物の送付先住所を入力する 5.支払い方法を選択し、支払い手続きを実施する |
③予約完了のお知らせが届く | メールに記載されている申込内容や支払い手続き、試験会場地図を確認する |
試験当日の流れ
試験当日の流れは、以下のとおりです。
- 試験開始時刻の30分前から開場、試験開始時刻の15分前までには会場に到着しましょう。本人確認書類を忘れずに持参してください
- 受付後、注意事項の説明や操作方法の確認があります
- 試験室では、指定された席に着席し、試験監督員の指示に従って試験を開始してください
- 試験終了後は試験結果を確認し、忘れ物がないことを確認してから退場しましょう
CBTS方式で受験した場合は、試験終了後に画面上に成績が表示されます。さらに、試験終了後2~3時間後にはマイページでも確認が可能です。
ただし、正式な合格発表は受験月の翌月中旬となります。情報処理推進機構のWebサイト、またはマイページで必ずご確認ください。
CBT方式で受験ができない場合
身体の不自由などによりCBT方式で受験できない人のために、筆記方式による試験(特別措置)を実施しています。
筆記方式による試験は春期(4月)と秋期(10月)の年2回実施しているため、受験を希望する場合は、受験申込前に特別措置申請をおこないましょう。
特別措置の対象者 |
・肢体不自由(上肢、下肢、体幹、その他運動機能障害)
・視覚障害 ・その他の身体不自由などにより、CBT試験会場で受験できない場合 |
特別措置の詳細については、CBTSのWebサイトをご確認ください。
また、CBT方式を受験できるが、車椅子や筆談対応などを希望する場合は、受験申込前に「ハンディキャップWEB申請」をおこなってください。申請後、サポートセンターから連絡があります。
情報セキュリティマネジメント試験の勉強方法
試験に合格するための勉強方法は、主に「過去問題を解く」と「参考書を活用する」の2つです。
過去問題を解く
情報セキュリティマネジメント試験の合格を目指すうえで、過去問題を解くことは非常に有効です。過去問題を解くことで、試験問題の形式や出題傾向を掴めます。
過去問題は市販で販売されている、参考書や問題集に収録されています。さらに、試験実施団体であるIPAのWebサイトでは、過去問題の一部が公開されているので積極的に活用しましょう。
参考書を活用する
参考書は試験範囲の内容を体系的にまとめ、重要なポイントを絞って解説しているため、効率的に学習を進められます。
なお、参考書を選ぶ際は、以下3点をチェックしましょう。
- 発行年度が新しいか
- 科目AとBの対策がバランスよいか
- 最新動向や試験対策に役立つ情報が掲載されているか
情報セキュリティマネジメント試験は、その年によって出題傾向が変わるため、最新の情報が反映されている参考書を選ぶことが重要です。
まとめ
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに関する知識を証明できる国家資格です。
企業において情報セキュリティの重要性が高まっている今、受験者は増加傾向にあります。将来、情報セキュリティ分野で専門性を高めたいと考えている人は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
試験の合格率は50〜70%になるため、しっかりと対策し合格を目指しましょう。