【2024年版】職種別:給与・賞与・労働人口推移と分析レポート

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最終更新日:2024.09.04

【2024年版】職種別:給与・賞与・労働人口推移と分析レポート

1. レポートの目的

本レポートでは、令和2年から令和5年までに実施された「賃金構造基本統計調査」から、各職種における「決まって支給する現金給与」「年間賞与その他特別給与額その他特別給与」「労働人口」の推移を分析し、給与の増減傾向、労働人口の増減傾向に基づく示唆を提供します。

2.調査手法

令和2年~令和5年の「賃金構造基本統計調査」における「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」より、職種別に以下の数値を抽出。

  • 決まって支給する現金給与

  • 年間賞与その他特別給与額

  • 労働人口

上記数値から、以下の数式によって年収推計を算出した。

(「決まって支給する現金給与」×12)+「年間賞与その他特別給与額」

次に、上記年収推計、および「決まって支給する現金給与」および「年間賞与その他特別給与額」について、それぞれ以下の数式において、以下の通りCAGR(年平均成長率)を算出し、成長率の高い10職種と低い10職種を選出した。

{(令和5年の数値)/(令和2年の数値)^(1/3)}-1

なお、選出にあたり、以下の職種は除外した。

  • その他の経営・金融・保険専門職業従事者

  • その他の機械整備・修理従事者

  • その他の機械組立従事者

  • その他の商品販売従事者

3.結果の概要

本レポートでは、令和2年から令和5年の「賃金構造基本統計調査」に基づき、各職種の年収の推移を分析しました。その結果、以下の傾向が明らかになりました。

年収増加TOP10職種の特徴

  • コロナ禍からの需要回復: タクシー運転者や製銑・製鋼・非鉄金属製錬従事者など、コロナ禍で需要が減少した業界が回復傾向にあり、賃金上昇を牽引しています。

  • 専門性の高い職種の需要増加: 法務従事者や歯科医師など、専門知識やスキルを要する職種は、社会情勢の変化や需要増に伴い、賃金が上昇しています。

  • 人手不足による賃金上昇: 外勤事務従事者や理容・美容師など、人手不足が深刻な業界では、賃金上昇によって人材確保を図る動きが見られます。

年収減少ワースト10職種の特徴

  • デジタル化・自動化の影響: 公認会計士や税理士など、デジタル化・自動化の影響を受けやすい職種では、業務効率化や人員削減が進み、賃金が減少傾向にあります。

  • 需要構造の変化: 著述家、記者、編集者など、紙媒体を主とする業界は、デジタルメディアの台頭による需要構造の変化に対応しきれず、賃金が減少しています。

  • 少子化・ライフスタイルの変化: 小・中学校教員は少子化による生徒数減少、音楽家や舞台芸術家はコロナ禍の影響や娯楽の多様化によって、賃金が減少しています。

3. 年収が増加した職種トップ10

職種

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

1

タクシー運転者

2996.2

2804

3613.3

4189.9

11.83%

2

外勤事務従事者

3193.4

3473.1

4544.4

4164.3

9.25%

3

法務従事者

8786.8

9453.6

9713.9

11216.8

8.48%

4

大工

3777.3

4055.4

4066.6

4570.7

6.56%

5

歯科技工士

3901.6

4273.4

4298.7

4648.6

6.01%

6

歯科医師

7875.1

7872.4

8104.1

9243

5.48%

7

製銑・製鋼・非鉄金属製錬従事者

4776.1

5162.3

5022.6

5521.4

4.95%

8

理容・美容師

3298.3

3240.7

3301.4

3797.4

4.81%

9

クレーン・ウインチ運転従事者

5036.6

4917.6

5133.2

5779.5

4.69%

10

歯科衛生士

3561.1

3866.5

3824.7

4043.2

4.32%

単位:千円

賃金アップの背景に明暗、深刻な人手不足が原因である業界も

賃金が増加した職種の傾向とその背景を分析した結果、以下の3つの傾向が見て取れます。

1.コロナ禍の脱却による景気の回復

タクシー運転者、製銑・製鋼・非鉄金属製錬従事者などは、コロナ禍による需要減から脱却し、市場が成長軌道に乗ったことが大きな背景となっています。

2.時代に対応する専門職の需要増加

増加する事業承継・M&A実務などへ対応できる法務従事者や、口腔医療のニーズ増加を受けての歯科医師など、近年需要が高まっている専門職について、賃金の増加傾向が見られます

3.高齢化などによる人手不足

外勤事務従事者や理容・美容師など、近年で大きく労働人口が減少している職種について、労働者の確保のために賃金が上昇している傾向がみられます。

3.の労働人口の大幅な減少が起きている業界においては、より省力化・自動化などの動きが進んでいくとも考えられるため、業界の入れ替えに対応できるリスキリングが必要になってくると言えそうです。

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1. タクシー運転者

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

232.1

225.3

294.1

338.5

13.40%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

211

100.4

84.1

127.9

-15.37%

年収計(千円)

2,996.2

2,804.0

3,613.3

4,189.9

11.83%

労働人口 (十人)

9,053

10,969

17,930

16,445

22.02%

分析結果

タクシー運転者の年収は令和2年から令和5年にかけて大きく増加しました。これは、労働人口の増加と、それに伴う労働需給の逼迫が大きく影響していると考えられます。

特に令和3年から令和4年にかけて労働人口が大幅に増加しています。同年6月10日より観光目的の入国受け入れが解禁されたことで、需要が高まったと考えられます。

インバウンド需要の回復を受け、この傾向はしばらく続くと予想されますが労働人口の増加や、加えて、電動キックボードなどの「マイクロモビリティ」の普及といった現状もあり、この傾向は徐々に落ち着くと予想されます。

2. 外勤事務従事者

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

229.5

248.4

297.4

295.2

8.75%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

439.4

492.3

975.6

621.9

12.28%

年収計(千円)

3,193.4

3,473.1

4,544.4

4,164.3

9.25%

労働人口(十人)

1,129

1,756

1,724

729

-13.57%

分析結果

「外勤事務」とは、水道・電気・ガスのメーター検診や、テレビ、新聞、その他インフラサービスの利用料を集金する仕事全般を指します。

ここ数年の経緯を見てみると、特に令和4年から令和5年にかけて、大幅に労働人口が減少していることが分かります。

令和4年の「年間賞与その他特別給与額」が突出して高い点を踏まえると、定年退職などを含む離職者が多く出た可能性が考えられます。

3.法務従事者

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

648.4

642.8

565.5

770.8

5.93%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

1006

1740

2927.9

1967.2

25.05%

年収計(千円)

8,786.8

9,453.6

9,713.9

11,216.8

8.48%

労働人口 (十人)

801

764

703

2,435

44.86%

分析結果

法務従事者の給与、賞与、労働人口は共に増加傾向にあることがうかがえます。

  • 事業承継やM&Aの増加

  • SDGs推進に関する法整備

  • 生成AIなどの新技術への対応

といった情勢から、企業法務の実務ニーズが増加していることが背景にあるかと思われます。

今後需要が増加していく職種として、リスキリングなどのニーズも高まっていきそうです。

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4. 大工

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

280.8

313.3

307.6

336.8

6.25%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

407.7

295.8

375.4

529.1

9.08%

年収計(千円)

3,777.3

4,055.4

4,066.6

4,570.7

6.56%

労働人口 (十人)

1,049

1,512

1,384

1,668

16.72%

分析結果

大工の給与、賞与、労働人口は共に増加傾向にあります。一方で「若手の人手不足が続いている」という状況も叫ばれており、需要不足は今後も続いていくと考えられます。

人材不足による賃金上昇はもちろん、高齢化によって給与・賞与の下限が押し上げられているという見方もできるかもしれません。

5.歯科技工士・歯科医師・歯科衛生士

歯科技工士の過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

288.3

313.7

328.7

339.5

5.60%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

442

509

354.3

574.6

9.14%

年収計(千円)

3,901.6

4,273.4

4,298.7

4,648.6

6.01%

労働人口 (十人)

968

1,424

1,822

1,267

9.39%

歯科医師の過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

594.8

584.7

622.9

695.8

5.37%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

737.5

856

629.3

893.4

6.60%

年収計(千円)

7,875.1

7,872.4

8,104.1

9,243.0

5.48%

労働人口 (十人)

1,237

2,015

1,155

1,861

14.58%

歯科衛生士の過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

255.9

278.6

282.7

296.2

5.00%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

490.3

523.3

432.3

488.8

-0.10%

年収計(千円)

3,561.1

3,866.5

3,824.7

4,043.2

4.32%

労働人口 (十人)

3,109

4,844

3,764

4,613

14.06%

分析結果

歯科技工士(5位)、歯科医師(6位)、歯科衛生士(10位)と、口腔医療にかかわる職種がトップ10に相次いで入りました。

世界経済フォーラムが、口腔衛生への投資の必要性を述べるレポートを2024年5月に発表するなど、口腔医療への注目は世界的に高まっています。

日本では、高齢化に伴う需要増や、マウスピースやワイヤーによる歯列矯正の普及などが後押しとなり、需要が増加していると予想されます。

6.製銑・製鋼・非鉄金属製錬従事者

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

319.5

350

344

358.5

3.91%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

942.1

962.3

894.6

1219.4

8.98%

年収計(千円)

4,776.1

5,162.3

5,022.6

5,521.4

4.95%

労働人口 (十人)

11,245

14,775

14,194

13,983

7.53%

分析結果

製銑・製鋼・非鉄金属製錬従事者の給与所得を見ていくと、特に令和5年の賞与額の上昇が大きく、この数値が年収全体の上昇に寄与しています。

2024年においても、日本製鉄が春闘で異例の月給3万5000円アップに合意するなど、業界全体で賃上げと人材確保の動きが出てきています。

コロナ禍による鉄鋼需要の減少から脱却し、2024年、25年は世界で需要拡大が見込まれるとの見通しもあり、賃上げの傾向は続くと予想されます。

7.理容・美容師

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

269.4

265

267.5

309.4

4.72%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

65.5

60.7

91.4

84.6

8.90%

年収計(千円)

3,298.3

3,240.7

3,301.4

3,797.4

4.81%

労働人口 (十人)

11,384

5,347

4,592

3,735

-31.03%

分析結果

理容・美容師業界では、令和2年から5年にかけて、継続して労働人口が減少し続けており、人材確保のための賃金改善の動きがあると予想されます。

リモートワークなどの普及による対面機会の減少や、原材料高騰の影響を受け、2024年1-4月には美容室の倒産がここ10年で最多のペースになるなど、業界全体が厳しい現実に直面しています。

8.クレーン・ウインチ運転従事者

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

356.8

358

365.5

418.3

5.44%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

755

621.6

747.2

759.9

0.22%

年収計(千円)

5,036.6

4,917.6

5,133.2

5,779.5

4.69%

労働人口 (十人)

2,205

1,761

2,082

2,479

3.98%

分析結果

クレーン・ウインチ運転従事者については、「決まって支給する現金給与」の額が上昇傾向にあり、これが年収増の主因となっています。資材高騰により建設業全体の見通しが暗い中で、唯一の高い年収成長率を見せています。

令和4年を区切りに大きく増加しており、また合わせて労働人口も増えていることから、大阪万博などの大規模なイベントを中心に需要が伸びているのではないかと予測されます。

4. 給与が減少した職種ワースト10

職種

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

1.

公認会計士,税理士

9,584.2

6,585.8

7,466.4

7,467.3

-7.98%

2.

著述家,記者,編集者

6,742.8

6,955.1

6,976.2

5,717.0

-5.35%

3.

事務用機器操作員

3,929.1

3,555.5

3,706.8

3,419.3

-4.53%

4..

秘書

5,310.9

5,328.8

5,200.4

4,758.5

-3.59%

5.

小・中学校教員

7,139.6

6,985.6

7,397.2

6,606.0

-2.56%

6.

車掌

6,025.3

5,181.8

5,195.9

5,607.3

-2.37%

7.

保健師

4,757.8

4,806.5

4,812.8

4,510.5

-1.76%

8.

ダム・トンネル掘削従事者,採掘従事者

5,082.5

4,609.7

5,530.7

4,820.7

-1.75%

9.

電気工事従事者

5,772.9

5,112.9

5,067.9

5,509.4

-1.55%

10.

音楽家,舞台芸術家

5,992.9

6,472.8

4,896.2

5,738.3

-1.44%

単位:千円

DX化・デジタル化の影響が顕著に

賃金が減少した職種の上位10職種を分析した結果、以下の3つの傾向が見えてきました。

デジタル化・自動化の影響

公認会計士や税理士、秘書など、従来型の業務プロセスが多くを占めていた職種において、デジタル化や自動化の影響が顕著に表れています。

会計ソフトや業務効率化ツールの普及により、ルーティンワークが減少し、必要な人員が減少していることが賃金減少の背景にあると考えられます。

一方で、「事務用機器操作員」などは、労働人口が急増していました。ChatGPTをはじめとする生成AI活用関連の業務の増加との関連が予想され、今後給与が増加する職種となる可能性が考えられます。

需要構造の変化

著述家、記者、編集者など、紙媒体を主な活動の場としていた職種は、デジタルメディアの台頭により需要構造が大きく変化しています。紙媒体の需要減少は著しく、デジタルコンテンツへの対応が遅れている現状が、賃金の減少に繋がっていると考えられます。

少子化・ライフスタイルの変化

小・中学校教員は、少子化による生徒数減少の影響を大きく受けています。生徒数の減少は教員数の削減に繋がり、ひいては給与の減少に繋がっていると考えられます。また、音楽家、舞台芸術家などは、コロナ禍における活動制限の影響に加え、娯楽の多様化や人々のライフスタイルの変化により、従事者の増加に対して、需要が伸び悩んでいる可能性があります。

長期的な需要の減少や、今までにない職種に対応するために、新たなスキルを身に着けていくことが求められると言えるでしょう。

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1. 公認会計士,税理士

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

570.2

448.6

476.8

506.4

-3.88%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

2741.8

1202.6

1744.8

1390.5

-20.25%

年収計(千円)

9,584.2

6,585.8

7,466.4

7,467.3

-7.98%

労働人口 (十人)

3,964

997

1 711

2,113

-18.92%

分析結果

公認会計士,税理士の給与、賞与、労働人口は全て減少傾向にあります。特に令和3年の労働人口の減少が顕著で、コロナ禍による事務所の倒産、会計ソフトなどのサービスをはじめとする自動化・デジタル化が主な主因として考えられます。

令和4年、5年と労働人口および賃金は回復傾向にあるものの、以前の水準と比較すると年収は大きく落ち込んでいます。

2. 著述家,記者,編集者

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

454.1

459.2

468.1

402.4

-3.95%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

1293.6

1444.7

1359

888.2

-11.78%

年収計(千円)

6,742.8

6,955.1

6,976.2

5,717.0

-5.35%

労働人口 (十人)

4,490

5,157

4,792

6,674

14.12%

分析結果

著述家,記者,編集者については、労働人口については大幅な減少は見られないものの、「決まって支給する現金給与」「年間賞与その他特別給与額」双方が一貫して減少傾向にあります。

デジタル化の進展と紙媒体の需要減少が主な原因として考えられます。

3.事務用機器操作員

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

270.7

259.2

274.1

271.1

0.05%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

680.7

445.1

417.6

166.1

-37.51%

年収計(千円)

3,929.1

3,555.5

3,706.8

3,419.3

-4.53%

労働人口 (十人)

6,181

6,305

8,809

20,987

50.30%

分析結果

「事務用機器操作員」とは、「電子計算機、タイプライター、テレックス 又はこれに準ずる事務用機器の操作」をする人を指し、たとえばエクセルを利用してデータをグラフ化したり、文章を基にプレゼンテーションを作成するような業務も含まれます。

「年間賞与その他特別給与額 (千円)」が大幅な減少を見せている一方、労働人口が令和5年に大幅に増加しています。

予測ではありますが、2022年にChatGPTが登場したことを受け、生成AI活用に関する業務が増加したことが要因として考えられます。

新たな職種であるため賞与も発生しておらず、そのことが「年間賞与その他特別給与額」を引き下げたとみることもできます。給与は減退したものの、令和6年以降に給与が大幅に増加する可能性が考えられる職種と言えるでしょう。

4. 秘書

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

351.3

361.2

350.6

326.9

-2.37%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

1095.3

994.4

993.2

835.7

-8.62%

年収計(千円)

5,310.9

5,328.8

5,200.4

4,758.5

-3.59%

労働人口 (十人)

1,497

1,584

1,464

2,022

10.54%

分析結果

労働人口は増えているものの、給与、賞与ともに減少傾向にあります。特に令和5年以降の賞与額の下落が目立ちます。

オンライン秘書などのサービスの登場により、リモート化・副業化が進んだことや、生成AIなどを活用したアシスタントの普及などが要因として考えられそうです。

5. 小・中学校教員

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

448.5

444.5

464.6

424.9

-1.79%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

1757.6

1651.6

1822

1507.2

-4.99%

年収計(千円)

7,139.6

6,985.6

7,397.2

6,606.0

-2.56%

労働人口 (十人)

2,729

3,308

3,315

3,296

6.49%

分析結果

小・中学校教員の給与、賞与、労働人口は全て減少傾向にあります。少子化による生徒数の減少が主な原因と考えられます。

こうした現状を踏まえ、政府は時間外勤務手当して支給される「教職調整額」を、基本給の4%から10%へ増額する方針を定めるなど、待遇改善に向けた動きを行っています。

6. 車掌

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

374

340.5

350.6

367.2

-0.61%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

1537.3

1095.8

988.7

1200.9

-7.90%

年収計(千円)

6,025.3

5,181.8

5,195.9

5,607.3

-2.37%

労働人口 (十人)

1,807

1,525

1,730

1,911

1.88%

分析結果

車掌については、令和3~4年を通じて「決まって支給する現金給与」および「年間賞与その他の特別給与額」双方に下落がみられるものの、その後は回復基調にあります。

労働人口の増加やインバウンド需要の復調も受け、今後上昇に転じていく傾向にあると言えるでしょう。

7. 保健師

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

324.2

323.8

333.8

312.9

-1.18%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

867.4

920.9

807.2

755.7

-4.49%

年収計(千円)

4,757.8

4,806.5

4,812.8

4,510.5

-1.76%

労働人口 (十人)

1,469

1,576

1,266

1,381

-2.04%

分析結果

保健師は、健康相談や健康指導などを行う国家資格で、各地域の保健所・保険センターのほか、企業や病院などでも勤務しています。

高齢化や地域の医師不足などの現状から需要は高まっているものの、収入は伸び悩んでいる現状があります。

特に「年間賞与その他特別給与額 (千円)」が令和3年を境に大幅に減少しており、コロナ禍における予防接種などの実施との関連性が考えられます。

8. ダム・トンネル掘削従事者,採掘従事者

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

370.3

335.7

411.6

355

-1.40%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

638.9

581.3

591.5

560.7

-4.26%

年収計(千円)

5,082.5

4,609.7

5,530.7

4,820.7

-1.75%

労働人口 (十人)

588

579

1,042

526

-3.65%

分析結果

令和4年のみ突出して、「決まって支給する現金給与 (千円)」および「労働人口」が増加しており、その後大きく減少しています。

その原因は不明ですが、令和4年を除くと、どの項目も減少傾向にあることから、業界全体で需要が縮小しているとみることがができます。

9. 電気工事従事者

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

386

348

344.3

367.4

-1.63%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

1140.9

936.9

936.3

1100.6

-1.19%

年収計(千円)

5,772.9

5,112.9

5,067.9

5,509.4

-1.55%

労働人口 (十人)

22,453

19,886

19,448

20,065

-3.68%

分析結果

令和3~4年で「決まって支給する現金給与 」および「年間賞与その他特別給与額」が減少していましたが、令和5年にはいずれも回復し、労働人口も増加しています。

コロナ禍による影響から徐々に復調しつつあるとみてよいでしょう。

10. 音楽家,舞台芸術家

過去4年の給与、賞与、労働人口の変化

項目

令和2年

令和3年

令和4年

令和5年

年平均成長率(CAGR)

決まって支給する現金給与 (千円)

379.6

426.7

360.3

408

2.43%

年間賞与その他特別給与額 (千円)

1437.7

1352.4

572.6

842.3

-16.32%

年収計(千円)

5,992.9

6,472.8

4,896.2

5,738.3

-1.44%

労働人口 (十人)

1,468

2,169

5,972

2,124

13.10%

分析結果

令和4年に、「決まって支給する現金給与 」および「年間賞与その他特別給与額」の双方が大きく減少しています。一方で労働人口は大きく増加していることから、一時的な需要の増加があったとみられます。

2022年ごろから大規模イベントが復活し、コロナ禍以前の市場規模を取り戻していたことも踏まえると、イベント解禁とともに新たな従事者が増えた可能性が考えられます。

総括:今後起きる「職種の入れ替え」へ、リスキリングによる対応を

本レポートで示したように、給与、賞与、労働人口は職種によって大きく異なる推移を見せています。特に、人手不足が深刻な業界では賃金の上昇が見られる一方で、DX化・デジタル化の影響を受けやすい職種では給与の減少が見られる傾向があります。

今後、AIや自動化技術の進展により、さらに多くの職種で「入れ替え」が加速すると予想されます。既存のスキルや知識だけでは将来のキャリアの安定は難しく、リスキリングによる能力開発が不可欠と言えるでしょう。

【リスキリング講座一覧を見る】

https://reskilling.com/lesson/