『Future of jobs report 2025』(仕事の未来)が公開。今後成長する仕事、無くなる仕事とは
最終更新日:2025.02.14

世界経済フォーラム公式サイトより引用
「自分の仕事は将来なくなる?」「どんなスキルを身につければいい?」といった悩みを抱えている人は、日本において少なくありません。本記事では、世界経済フォーラムが2025年1月に発表した「Future of Jobs Report 2025(仕事の未来レポート2025年版)」を基に、AI・自動化の影響、成長産業、衰退職種を具体的に示し、2030年までに必要なスキルを解説しています。リスキリング、キャリアチェンジを考える全ての方へ、役立つ内容となっています。
1. 雇用数は全体として増加する見込み
2023年5月に公開された「Future of Jobs Report 2023(仕事の未来レポート2023年版)」では、今後5年間で6,900万件の雇用が創出され、8,300万件の雇用が喪失すると予測されていました。しかし、今回の2025年版レポートでは、より楽観的な見通しが示されています。
2025年版レポートの予測(2025年から2030年)
項目 | 件数 | 備考 |
---|---|---|
雇用創出 | 1億7,000万件 | 現在の総雇用数の14%に相当 |
雇用喪失 | 9,200万件 | 現在の総雇用数の8%に相当 |
純増 | 7,800万件 | 現在の総雇用数の7%に相当 |
構造的労働市場変化 | 22% | 現在の総雇用のうち、創出と喪失を合わせた割合 |
この予測は、世界経済フォーラムが1,000社以上のグローバル企業(従業員数1,400万人以上)を対象に行った調査に基づいています。
2. 成長が見込まれる仕事
今後5年間で成長が期待される仕事は、主に以下の要因によって牽引されると予測されています。
- テクノロジーの進化: 特にAI、ビッグデータ、ロボティクス、自動化
- グリーントランジション: 気候変動対策、再生可能エネルギー
- 地政学的断片化: 安全保障関連
具体的には、以下の職種が成長率(%)で上位に挙げられています。
下記の上位5つの職種において、成長要因としては特にテクノロジーの進化による影響が大きいです。
順位 | 職種 |
---|---|
1 | ビッグデータスペシャリスト |
2 | フィンテックエンジニア |
3 | AI・機械学習スペシャリスト |
4 | ソフトウェア・アプリケーション開発者 |
5 | セキュリティ管理スペシャリスト |
また、絶対数で見た場合に最も増加が見込まれるのは、以下の職種です。
順位 | 職種 |
---|---|
1 | 農業労働者 |
2 | 軽トラックまたは配送サービスのドライバー |
3 | ソフトウェア・アプリケーション開発者 |
4 | 建築職人 |
5 | 店舗販売員 |
これらの職種は、テクノロジーだけでなく、人口動態や経済状況の変化も成長の要因となっています。
3. 衰退する仕事
一方、今後5年間で衰退が予測される仕事は、主に以下の要因によって減少すると考えられています。
- テクノロジーの進化: 特にデジタルアクセス拡大、AI、ロボティクス、自動化
- 人口動態の変化: 高齢化、労働年齢人口の減少
- 経済成長の鈍化
具体的には、以下の職種が減少率(%)で上位に挙げられています。
順位 | 職種 |
---|---|
1 | 郵便局員 |
2 | 銀行窓口係・関連事務員 |
3 | データ入力事務員 |
4 | レジ係・チケット係 |
5 | 事務アシスタント・秘書 |
絶対数で見た場合に最も減少が見込まれるのは、以下の職種です。
順位 | 職種 |
---|---|
1 | レジ係・チケット係 |
2 | 事務アシスタント・秘書 |
3 | ビル管理人、清掃員、家政婦 |
4 | 資材記録・在庫管理係 |
5 | 印刷関連職 |
4. 求められるスキルの変化
レポートでは、今後5年間で労働者の既存のスキルセットの約39%が陳腐化するか、変化が必要になると予測されています。しかし、この「スキルの不安定性」は、過去のレポートと比較して鈍化傾向にあります(2023年版では44%、2020年版では57%)。これは、リスキリングやアップスキリングの取り組みが浸透してきたことが要因と考えられます。
企業が最も重視するコアスキルは、以下の通りです。
- 分析的思考力
- レジリエンス(精神的耐久力および回復力)、柔軟性、アジリティ(俊敏性)
- リーダーシップと社会的影響力
また、急速に需要が高まっているスキルとしては、以下が挙げられています。
- AIとビッグデータ
- ネットワークとサイバーセキュリティ
- テクノロジーリテラシー
これらのテクノロジー関連スキルに加えて、創造的思考力、レジリエンス、柔軟性、アジリティ、好奇心と生涯学習も、引き続き重要性が増すと予測されています。
ただし、リスキリングやアップスキリングの浸透は世界的な見地であり、日本としては十分に浸透していない状況であることを留意し、さらに取り組みを加速させる必要があります。
5. 企業が取り組むべきこと
レポートでは、企業が直面する最大の障壁として「スキルギャップ」が挙げられています(63%の企業が指摘)。そのため、85%の企業が従業員のアップスキリングを優先事項としています。続いて、70%の企業が新しいスキルを持つスタッフを雇用する予定であり、40%がスキルの重要性が低下するについれスタッフを削減する予定で、50%が衰退する役割から成長する役割にスタッフを移動させる計画を立てています。
上記の背景から、スタッフを削減することなく、成長する役割および産業へ従業員を転換するためにリスキリングが重要であり、日本においてさらなるリスキリングの浸透および推進する必要があります。
リスキリングドットコムは、日本におけるリスキリングの浸透および推進に引き続き尽力していきます。
まとめ
「Future of Jobs Report 2025(仕事の未来レポート2025年版)」は、今後5年間の労働市場が、テクノロジーの進化、グリーントランジション、地政学的断片化、人口動態の変化、経済状況など、さまざまな要因によって大きく変化することを予測しています。
企業はこれらの変化に対応するため、従業員のリスキリングをはじめとした、さまざまな対策を講じる必要があるでしょう。
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